尾西食品(株)(古澤紳一社長)は8月9日、都内で「尾西食品主催メディアセミナー」を開催した。
テーマは「関東大震災から100年フードダイバーシティから考える防災と備蓄」。日本でもハラールやビーガンといった食が多様化するなか、「“誰一人取り残さない社会”に向け、何をすべきかを考えることを目的に開催した」(古澤社長)。有識者5名が登壇し、講演やパネルディスカッションを行った。
日本イスラーム文化センターのクレイシ・ハールーン事務局長やネパール政府公式通訳者のジギャン・クマル・タパ氏は、在日イスラム教徒やネパール人の人口推移、災害時の支援活動について報告。
タパ氏は「まずはお互いが違う人という感覚を持って、お互いが知り合う努力が求められるのではないか」と呼びかけた。東南アジアを研究分野とする慶大・野中葉准教授は、食が多様化するなかで非常食に求める点として「大事なのは情報開示。ハラール認証マークなどをつけて、一方的にこちら側が食べられるものを決めるのではなく、彼らが食べるものを選択できるよう情報を明確にするべきだ。例えばアレルギー表示のピクトグラムのように、豚肉や牛肉なども表示すると分かりやすい」とした。
さらに災害時への備えとして、「イスラム教にはもともと“共助”の教えがあるため、イスラム教そのものが社会のセーフティネットとして機能してきた。一方、日本では政府や自治体が“公助”としてセーフティネットを整えてきたが、コロナ禍などを通じてその脆弱性が表れたのも確かだ。日本も改めて共助について考えなければならない。また、災害時に我々が“助けなければいけない弱者”とみなす外国人も“助けることができる”という視点が大切ではないか。共助のなかに多様な人材が入り、お互いを助ける社会づくりが災害に強い国に繋がる」と話した。
〈米麦日報2023年8月21日付〉