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わが国では長期にわたり経済が停滞し、増税、物価高に加え「年金不安」が囁かれています。少子高齢化が進むことが確実で、公的年金がそれほど期待できない中、老後の資金は自分で準備するというのが現実的です。そこで、老後の資金を着実に貯めていくことができる制度である「確定拠出年金」について解説します。

確定拠出年金の歴史

この確定拠出年金は日本でいつから始まったのでしょうか。
確定拠出年金が作られたのは2001年です。2001年に、「確定拠出年金法」という法律ができ、そこから日本では確定拠出年金の歴史が始まりました。

この法律の第1条を見ると、国としてどのように確定拠出年金を利用してほしいか、がよくわかります。
確定拠出年金の目的は「老後資金の準備」です。公的年金の不足部分を、確定拠出年金を活用して補っていってほしいという意図が読み取れます。

もう一つ読み取るべき大切なキーワードは、「自助努力」という部分です。

国の年金制度は国民年金、厚生年金が準備されていますが、それだけでは老後豊かに暮らしていくためには心もとないという声もあります。その部分を補う位置づけで、現役のうちに自助努力で貯めておく年金として、確定拠出年金は用意されています。

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この制度の位置づけとしては、上の[図表1]の通りです。一番下の1階に国民年金、2階に厚生年金があって、この2つが公的年金になります。

厚生年金適用事業所にお勤めの方は、この2階建て部分まで加入することができます。この2階建て部分に加えて、自助努力での資産形成を行っておきましょうね、ということで、3階建て部分で私的年金制度である「企業型確定拠出年金」を導入される企業が増えてきています。

個人型(iDeCo)と企業型

確定拠出年金は、企業型と個人型の2種類があります。これらは同じ確定拠出年金という名前ですが、微妙に特徴が違っています。
確定拠出年金と聞いて多くの人がパッとイメージされるのは、おそらく「iDeCo」でしょう。

iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」の略称で、各個人が金融機関から書類を取り寄せ、口座開設などを進めていくものになります。こちらも国が公的年金を補う位置づけで普及を推進している制度です。

一番の違いは、積み立てできる「金額」です。

iDeCoの場合、1ヶ月あたりの拠出限度額が2万3,000円なのに対し、企業型確定拠出年金は5万5,000円です。
つまり、毎月3万2,000円、年間38万4,000円も多く拠出することができます。できる金額が多くなれば、その分、取れる税制優遇メリットは大きくなりますし、多くの額を運用にも回せるようになります。資産運用効果が高まり、非課税メリットも大きくなる可能性大です。

iDeCoの2万3,000円の枠で物足りなさを感じる人は、業型確定拠出年金を魅力に感じていただけるでしょう。

確定拠出年金の加入者状況

企業型と個人型、それぞれの加入者状況を見てみましょう。

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[図表2]を見ていただくとわかるように、企業型、個人型共に加入者は右肩上がりで増えていて、企業型の加入者数は約750万人、個人型(iDeCo)の加入者数は約227万人、その2つを合わせると約1000万人の方々が確定拠出年金を利用している計算になります。

これは労働者人口6831万人のうち、6〜7人に1人は確定拠出年金を活用している計算で、思ったより多くの人が活用しているのです。
個人型であるiDeCoのほうがよく耳にするかもしれませんが、実は加入者数で見ると、企業型のほうがiDeCoよりも多いのです。

日本においては2001年から確定拠出年金がありますが、近年急速に加入者が増加してきている背景には、老後の長期化と年金不安があります。次回はその2つを詳しく見ていきましょう。

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著者

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岩崎 陽介(いわさき・ようすけ)
株式会社Financial DC Japan 代表取締役社長/1級DCプランナー

兵庫県西宮市出身。一橋大学商学部卒業。野村證券株式会社にて総額100億円の資産運用アドバイス業務を経験。社長賞をはじめとして数々の賞を獲得。海外留学生に選ばれ留学。帰国後、IFA(独立系資産運用アドバイザー)として独立。
その後、確定拠出年金に特化した株式会社Financial DC Japanを創業し、企業型確定拠出年金の普及に尽力している。独立系企業型D C導入会社中、導入実績全国No.1。著書「頭のいい会社はなぜ、企業型確定拠出年金をはじめているのか」は累計1万部突破。
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