マーケティングの資格取得は、経営者にも大きなメリットをもたらす。本記事では、マーケティングの資格取得が経営者にどのようなメリットをもたらすのかについて解説したあと、おすすめのマーケティング資格について紹介する。

目次

  1. マーケティングの資格を経営者が取得するメリット
    1. マーケティングの知識を体系的に学べる
    2. 伝え上手なマーケターになれる
  2. 伸びる企業の経営者はマーケティングを上手に伝えている
  3. マーケティングをイチから学びたい人におすすめの資格&検定3選
    1. (1)マーケティング・ビジネス実務検定
    2. (2)マーケティング検定
    3. (3)JMAマーケティングコース
  4. Webマーケティングを学びたい人におすすめの資格&検定4選
    1. (1)ネットマーケティング検定
    2. (2)Webアナリスト検定
    3. (3)Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)
    4. (4)IMA検定
  5. PRに役立つマーケティング資格
    1. PRプランナー資格認定制度
    2. 商品プランナー資格認定試験
  6. 【上級者向け】企業経営に役立つマーケティング資格
    1. 中小企業診断士
    2. MBA(経営学修士)
  7. マーケティングの資格を経営者が実務に昇華するコツ
  8. マーケティングの資格取得に関するよくある質問
    1. Qマーケティングに関する国家資格は何ですか?
    2. Qマーケティング検定は何に役立つ資格ですか?
    3. Qマーケティング検定の難易度は?
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(画像=baranq/Shutterstock.com)

マーケティングの資格を経営者が取得するメリット

経営者がマーケティングの資格を取得するとどのようなメリットがあるだろうか。まずは、そのメリットを解説する。

マーケティングの知識を体系的に学べる

マーケティングは、体系的な知識を駆使して戦略的に活用することが求められる分野だ。しかし、日々の業務のなかで断片的に経験を積むだけでは、真の理解には至らず学んだ気になっただけで終わってしまうことが多い。こうした状態では、経営戦略を立てる際に段階を踏んだ立案ができず、経験を活かしきれないままリーダー的ポジションについてしまう可能性がある。

そのため、一度立ち止まり原点に立ち返って基礎から学び直すことが重要だ。マーケティングの資格を取得する過程では、基本概念から業界用語、戦略立案の実践的な手法まで、すべてを体系的に学ぶことができる。これにより、断片的な知識が整理され、たしかな基盤を持ったうえでマーケティング戦略を立案する力が養われる。

「今さら資格?」と感じる人もいるかもしれない。しかし、特に経営者にとっては資格そのものよりも「取得のための学びの過程」こそが非常に価値があるのだ。この過程を通じて、理論と実践の両面からマーケティングを深く理解し、企業経営に役立てることができる。

伝え上手なマーケターになれる

経営者が「伝え上手なマーケター」であることは理想だ。経営者には、マーケティングを体系的に理解するだけでなく、その知識を言語化し、チームやステークホルダーに効果的に伝える能力が求められる。マーケティングに関する資格取得は、そのための有効な方法の一つだ。

資格取得の過程では、学んだ知識を他者に伝える訓練が自然と行われる。具体的には、学んだ内容を言葉で表現し、論理的に説明する力が養われる。このスキルは、チームを指導し、戦略を共有する際に非常に重要であり、経営者としての影響力を高めるだろう。

経営者のなかには、次のような悩みを持つ人も少なくないだろう。

  • いつも感覚で進めてしまう
  • 戦略的な立案が苦手
  • アイデアが出てこない
  • チームにうまく伝えられない

こうした悩みを解消するためには、マーケティングの資格取得が大いに役立つ。資格を通じて得られる知識は、感覚に頼ることなく戦略的かつ論理的に考え、アイデアを創出し、チームに効果的に伝えるための基盤となる。

マーケティングの資格は、実務に携わる人の「学びなおし」としても意味があり、特に経営者にとっては、その過程が非常に価値のある経験となるだろう。資格取得を通じて、経営者自身が伝え上手なマーケターとなれれば、企業の成長を促進するための力強いリーダーシップを発揮することが期待できる。

伸びる企業の経営者はマーケティングを上手に伝えている

マーケティングは、経営者だけが理解しているだけではまったく意味がなく組織として売上を伸ばしていくためには、経営者がいかに「現場へ伝えられるか」が重要になる。そのためには、ただ現場に足を運べばいいというわけではない。重要なのは「口を出す」ということだ。実は伸びている企業の経営者ほど販売戦略や広告、宣伝手法の討議に積極的に参加している。

つまり放任しているわけではないのだ。部署へ任せきりにせず経営者自身がマーケティングの革新的なアイデアを出していくのが重要にある。例えばパナソニック創業者の松下幸之助氏の言葉である「任せて任さず」という有名なフレーズをご存じだろうか。この言葉は人材育成の場でよく用いられるものである。

しかしマーケティングという視点においては、あの松下氏が現場の看板やチラシにまで細かく指示をしていたことに注目すべきだろう。現場にはできる限り足を運び討議に参加することは「トヨタ式」でも知られる経営者のあり方だ。経営者は少なくとも現場や担当者が間違った方向へ進みそうになっているときに正しい知識と「言葉で」軌道修正をかけられる存在でありたい。

マーケティングをイチから学びたい人におすすめの資格&検定3選

「言われてみれば、自分はマーケティングを体系的に理解できていない」と感じた経営者は、まず基礎知識を固めるため、初歩的な資格から学ぶのも有意義だ。一見「こんなことを今さら」と感じる内容でも発展的な経験と絡めて学ぶことで今まで見えてこなかった自社の課題に気づき根本的な経営改善に生かせることがある。ここではマーケティングの基礎を学べる2つの検定と1つの研修を紹介していく。

・マーケティング・ビジネス実務検定
・マーケティング検定
・JMAマーケティングコース

(1)マーケティング・ビジネス実務検定

マーケティング・ビジネス実務検定では、マーケティング実務の基礎知識を身に付けるとともに体系的にマーケティングを学ぶことができる。「特定の業界・職種に頼らないマーケティングの検定試験」を目的とした資格試験で、マーケティングの基礎力を客観的に測ることができるスタンダードな資格の一つだ。

試験範囲には、損益計数などの計数管理やマーケティング関連法務(独占禁止法、不正競争防止法、特許法など)も含まれる。すべて基礎から理解を深めることができるので法規に苦手意識がある人にもおすすめだ。受験料はC級が5,700円(税抜き)からと手が出しやすいうえ、資格取得自体のハードルは低くA級以外は参考書1冊でカバーできるという声も。無理なく手軽に基礎知識を固めるのに適している。

(2)マーケティング検定

マーケティング検定は、公益社団法人日本マーケティング協会(JMA)が運営している内閣府認定の検定試験である。2017年に発足されたばかりで2級試験が2020年4月、1級試験は2021年の春にスタートする予定だ。コンピュータで手軽に受検できるCBT(Computer Based Testing)方式を採用しているため、随時受検できるのも良いところである。

日本のマーケティング業界をけん引する組織が運営しているだけあり資格の信頼性も十分。実務で直感やあいまいな判断に頼らずに確固としたビジネスセオリーを身に付けたいという経営者におすすめだ。

(3)JMAマーケティングコース

JMAではもともとマーケティングに関する研修会を実施している。コースは受講者のレベルや目的ごとに「ベーシック」「マスター」「エグゼクティブ」の全3コースだ。受講費用は一般的な資格に比較するとベーシック27万円、マスター92万5,000円、エグゼクティブ一般63万円+5泊分の宿泊費(いずれも税抜き)と高額だが、その分内容も充実したものとなっている。

ベーシックコースでは「マーケティングの基本概念を網羅的に理解し有効に活用すること」が目的だ。有名私大教授などプロの講義のもと実践的なワークショップでプレゼンスキルも向上できる。同士と出会い他業種の経営者と交流したい人にもおすすめだ。またすでに経営幹部であるなど、より高度なマーケティング知識を身に付けて人脈を作りたい人はマスターコースを検討してみよう。

マスターコースでは最新の動向を知るとともに現場で活躍するビジネスパーソンの話を直接聞ける。そのほかディスカッションや論文作成の過程を通して、より即戦力となる提案能力を養うことが可能だ。ただし受講資格は実務経験5年以上という条件があるため注意しておこう。さらに上のエグゼクティブコースは、部長クラス以上のマネージャーが対象だ。

5泊6日の合宿形式で行う短期集中型のプログラムとなっている。学者レベルの一流講師陣とインタラクティブなディスカッションをしながらビジネスの課題とその解決策について理解を深めることができる。

Webマーケティングを学びたい人におすすめの資格&検定4選

デジタル化が目まぐるしく進んでいるため「Webマーケティングについていま一つ理解しきれていない」という経営者もいるだろう。データの解析・統計の基本を経営者が理解しているかどうかで、あらゆる着眼点が変わってくるはずだ。ここではWebマーケティングを学びたい経営者向けの検定を4つ紹介する。

・ネットマーケティング検定
・Webアナリスト検定
・Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)
・IMA検定

(1)ネットマーケティング検定

ネットマーケティング検定は、インターネットの特性を理解したうえで「最も効果的なWebマーケティング手法を選択できる人材を育成すること」が目的だ。資格試験としてはそれほど難易度が高くなくすべて4択の択一選択式でマーケティング初心者でも取り組みやすい。あまり時間をかけずに手近に基礎用語だけ押さえたい場合にはおすすめの資格である。

(2)Webアナリスト検定

Webアナリスト検定は、約5時間の講座を受講した後、Webテストを当日または後日受検する形式である。そのため短時間でWebデータの分析力を付けたい人におすすめだ。主にGoogleアナリティクスなどの解析ツールの使い方、また市場調査で蓄積されたデータをマーケティングへ生かすための分析方法を体系的に学ぶのに適した資格である。

集客・回遊・コンバージョン・リピートに分けてユーザーフローに沿った分析のポイントを押さえることができるので、そのまま実務に生かしやすい。

(3)Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)

無料で受検できる「GAIQ」は「Googleアナリティクス個人認定資格」と呼ばれGoogleの公認資格である。世界共通のテストで主にGoogleアナリティクスの習熟度を認定する資格だ。合格後は12ヵ月有効となる。

(4)IMA検定

IMA(Internet Marketing Analyst)検定は、即実践できるマーケティングスキルを身に付けたい人におすすめの検定だ。テキストなどはなくすべてオンライン講義で学べるのも変化の速いWebマーケティングならではの特徴である。コースは「Standard」「Professional」の全2コースで「Standard」コースはサイト分析とリスティング広告の実践運用スキルを身に付けたい人向けだ。

「Professional」コースはターゲット別の集客プランの立案などより実践的な内容を学びたい人向けである。

いかなるマーケティング戦略においても立案および実行したら必ずその結果をデータ化して分析しなくてはならない。より効果的な戦略を立案したいなら見るべき数値を理解し正しく解析する力を身に付ける必要があるだろう。

PRに役立つマーケティング資格

企業の広報活動やプロモーション活動を成功させるためには、適切なマーケティングの知識とスキルが必要不可欠だ。マーケティング資格を取得することで、これらのスキルを体系的に学び、実践に活かすことができる。以下では、特にPR活動に役立つ2つのマーケティング資格について紹介する。

PRプランナー資格認定制度

PRプランナー資格認定制度は、広報・PR業務に従事するプロフェッショナルを育成するための資格制度である。広報・PRに関する知識とスキルを体系的に学び、実践的な能力を身につけることができるこの資格は、企業や団体のコミュニケーション戦略を効果的に展開するために非常に役立つ。

PRプランナー資格には、基礎的な知識を学ぶ「初級」、応用的なスキルを身につける「中級」、そして高度な戦略立案能力を問う「上級」の3段階がある。それぞれの段階で、広報活動の基本からメディアリレーションズ、危機管理、デジタルPRまで幅広い知識を習得できる。

特に上級資格を取得することで、企業や団体の広報戦略を総合的に立案・実施する能力を証明できるため、キャリアのステップアップや新たなビジネスチャンスの創出につながる。また、この資格は業界内での信頼性を高める効果もあり、広報・PRのプロフェッショナルとしての地位を確立する手助けとなる。

商品プランナー資格認定試験

商品プランナー資格認定試験は、商品企画やマーケティングに携わるプロフェッショナルを対象とした資格だ。商品開発のプロセス全体を理解し、消費者のニーズを的確に捉えた商品企画を行うための知識とスキルを習得できる。

この資格では、マーケットリサーチ、コンセプトメイキング、商品開発、プロモーション戦略など、商品企画に必要な各分野の知識を体系的に学ぶことが可能だ。また、具体的なケーススタディを通じて実践的なスキルを磨くことができるため、実務に直結した知識を得られる。

商品プランナー資格を取得することで、企業内での商品開発プロジェクトにおいて中心的な役割を担うことができ、プロジェクトの成功に貢献する力を証明できる。さらに、資格保有者としての信頼性が向上し、キャリアアップや転職の際にも有利になる。

【上級者向け】企業経営に役立つマーケティング資格

企業経営のなかで高度なマーケティングスキルを求められることは多く、そのための資格取得は大いに役立つ。特に上級者向けのマーケティング資格は、経営戦略の策定や実行において大きな助けになるだろう。ここでは、企業経営に直接役立つ2つの上級資格について詳しく紹介する。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営課題を診断し、改善策を提案するための国家資格だ。この資格を取得することで、経営戦略、財務分析、人事管理、マーケティングなど幅広い分野に精通した経営コンサルタントとしてのスキルを身につけることができる。

中小企業診断士の資格取得には、一次試験、二次試験、実務補習などの厳しいプロセスがあるが、その過程を通じて実践的な経営知識とスキルを習得することが可能だ。特にマーケティング分野では、市場分析や顧客ニーズの把握、効果的な販売戦略の立案など、具体的かつ実践的なノウハウを学べる。

この資格を保有することで、中小企業の経営改善や成長支援に携わることができ、経営コンサルタントとしてのキャリアを築くことが可能になる。また、中小企業診断士は企業内での評価も高く、経営戦略の策定や実行においてリーダーシップを発揮できる。

MBA(経営学修士)

MBA(経営学修士)は、ビジネスリーダーとしての総合的な経営能力を高めるための大学院修士課程である。世界中のビジネススクールで提供されており、経営戦略、マーケティング、財務管理、組織行動、国際ビジネスなど多岐にわたる分野を学ぶことが可能だ。

MBAプログラムでは、ケーススタディを通じて実際のビジネスシナリオを分析し、戦略的な意思決定を行うスキルを養うことができる。また、グローバルな視点からビジネスを考える能力を培うことができるため、国際的なビジネス環境での活躍も期待できるだろう。

MBAを取得することで、企業内での昇進や転職の際に大きなアドバンテージを得ることができる。特にマーケティング分野では、消費者行動の分析、ブランド戦略の構築、デジタルマーケティングの活用など、最新の知識と実践的なスキルを学ぶことが可能だ。これにより、企業の成長を支える戦略的なマーケティングリーダーとしての役割を果たすことができる。

マーケティングの資格を経営者が実務に昇華するコツ

経営者として「マーケティング」をいかに組み込むことが重要であるかが理解できたのではないだろうか。もし事業を理想的な形で持続していきたいと思うのであればマーケティングの体系的な知識は必要不可欠だ。逆にマーケティングの本質を理解することで今まで定まらなかった方向性が明確になる可能性が高まる。

マーケティングをよく理解せずに感覚だけでビジネスを続けていくことはギャンブルに繰り返し投資するようなもののため、いつか大赤字に陥る可能性を高めてしまう。その状況に勘の良い社員は気づいてしまうかもしれない。経営者の本気を今一度示すためにも、どうか「今さら」と思わずにマーケティングの資格の取得を組織改革の一つのきっかけにしてみてはいかがだろうか。

マーケティングの資格取得に関するよくある質問

Qマーケティングに関する国家資格は何ですか?

A
マーケティングに関する唯一の国家資格は「中小企業診断士」である。中小企業診断士は、マーケティングを含む幅広い経営知識を持ち、中小企業の経営課題を診断し、改善策を提案するプロフェッショナルとしてのスキルを証明する。

Qマーケティング検定は何に役立つ資格ですか?

A
マーケティング検定は、マーケティングの基礎知識から実践的なスキルまでを体系的に学習するのに役立つ資格だ。取得することで、マーケティングに関する理解が深まり、ビジネスの現場での企画・戦略立案をより深く考えられるようになる。

Qマーケティング検定の難易度は?

A
マーケティング検定の難易度は、受験する級によって異なる。初級は基礎的な知識を問われるため初心者向けだが、中級・上級はより実践的かつ高度な内容が含まれるため、難易度が高くなる。特に上級は情報処理技術者試験の高度資格と同等レベルの難易度だ。

文・THE OWNER編集部

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