経営者,マーケティング,資格取得
(画像=baranq/Shutterstock.com)

経営者がマーケティングを「なんとなく知ったつもりになっている」という例は案外多く、それが組織の成長を頭打ちしている可能性は十分にある。またたとえマーケティングを理論上は理解していたとしても知識を実務へ昇華するのは別の話だ。そのためには、持っている知識を正しく言語化してチーム内で共有する能力が不可欠となる。

実際にはそこがうまくいっていないケースも多い。組織が伸び悩んでいるとしたら経営者がマーケティングの本質を体系的に理解できていないか、理解はしていてもそれを組織に言語化して伝えられずにチーム作りに失敗している可能性がある。

経営者にとってマーケティングの資格はどう役立つのか

本来マーケティングとは、体系的な知識を駆使して戦略的に生かしていくべきものなのだ。しかし日々の業務のなかで断片的かつ中途半端に経験を得てしまうと、いつのまにか「学んだ気になってしまう」ことがある。体系的なベースができないまま、リーダー的ポジションになってしまうと、いざ経営戦略を立てるとなっても段階を踏んだ立案ができない。

これでは、せっかくの経験もまったく使い物にならなくなってしまう。そんなときこそ一度立ち止まり原点に立ち返って基礎から学ぶことが効果的だ。

経営者こそ伝え上手なマーケターであるべき理由

経営者は「伝え上手なマーケター」であることが理想だ。経営者がマーケティングを体系的に理解するのと同時に言語化して伝える能力を身に付けなくてはならない。その方法の一つが資格の取得だ。「今さら資格?」と感じる人もいるかもしれないがマーケティングに関する資格は、持っていれば仕事ができるというわけではない。

そのため実務に携わる人の「学びなおし」としても十分意味があるのだ。特に経営者の場合、資格そのものというよりは、「取得のための学ぶ過程」こそ醍醐味である。なぜなら資格を取得する過程では、基本概念から業界用語、戦略立案の実践的な手法まですべて「言葉で」体系的に学ぶことができるからだ。

経営者のなかには以下のような悩みを持っている人もいるのではないだろうか。

・いつも感覚で進めてしまう
・戦略的な立案が苦手
・アイデアが出てこない
・チームにうまく伝えられない

そこでこのような悩みを持つ経営者向けにマーケティングの資格について紹介する。

伸びる企業の経営者はマーケティングを上手に伝えている

マーケティングは、経営者だけが理解しているだけではまったく意味がなく組織として売上を伸ばしていくためには、経営者がいかに「現場へ伝えられるか」が重要になる。そのためには、ただ現場に足を運べばいいというわけではない。重要なのは「口を出す」ということだ。実は伸びている企業の経営者ほど販売戦略や広告、宣伝手法の討議に積極的に参加している。

つまり放任しているわけではないのだ。部署へ任せきりにせず経営者自身がマーケティングの革新的なアイデアを出していくのが重要にある。例えばパナソニック創業者の松下幸之助氏の言葉である「任せて任さず」という有名なフレーズをご存じだろうか。この言葉は人材育成の場でよく用いられるものである。

しかしマーケティングという視点においては、あの松下氏が現場の看板やチラシにまで細かく指示をしていたことに注目すべきだろう。現場にはできる限り足を運び討議に参加することは「トヨタ式」でも知られる経営者のあり方だ。経営者は少なくとも現場や担当者が間違った方向へ進みそうになっているときに正しい知識と「言葉で」軌道修正をかけられる存在でありたい。

マーケティングをイチから学びたい人におすすめの資格&検定3選

「言われてみれば、自分はマーケティングを体系的に理解できていない」と感じた経営者は、まず基礎知識を固めるため、初歩的な資格から学ぶのも有意義だ。一見「こんなことを今さら」と感じる内容でも発展的な経験と絡めて学ぶことで今まで見えてこなかった自社の課題に気づき根本的な経営改善に生かせることがある。ここではマーケティングの基礎を学べる2つの検定と1つの研修を紹介していく。

・マーケティング・ビジネス実務検定
・マーケティング検定
・JMAマーケティングコース

(1)マーケティング・ビジネス実務検定

マーケティング・ビジネス実務検定では、マーケティング実務の基礎知識を身に付けるとともに体系的にマーケティングを学ぶことができる。「特定の業界・職種に頼らないマーケティングの検定試験」を目的とした資格試験で、マーケティングの基礎力を客観的に測ることができるスタンダードな資格の一つだ。

試験範囲には、損益計数などの計数管理やマーケティング関連法務(独占禁止法、不正競争防止法、特許法など)も含まれる。すべて基礎から理解を深めることができるので法規に苦手意識がある人にもおすすめだ。受験料はC級が5,700円(税抜き)からと手が出しやすいうえ、資格取得自体のハードルは低くA級以外は参考書1冊でカバーできるという声も。無理なく手軽に基礎知識を固めるのに適している。

(2)マーケティング検定

マーケティング検定は、公益社団法人日本マーケティング協会(JMA)が運営している内閣府認定の検定試験である。2017年に発足されたばかりで2級試験が2020年4月、1級試験は2021年の春にスタートする予定だ。コンピュータで手軽に受検できるCBT(Computer Based Testing)方式を採用しているため、随時受検できるのも良いところである。

日本のマーケティング業界をけん引する組織が運営しているだけあり資格の信頼性も十分。実務で直感やあいまいな判断に頼らずに確固としたビジネスセオリーを身に付けたいという経営者におすすめだ。

(3)JMAマーケティングコース

JMAではもともとマーケティングに関する研修会を実施している。コースは受講者のレベルや目的ごとに「ベーシック」「マスター」「エグゼクティブ」の全3コースだ。受講費用は一般的な資格に比較するとベーシック27万円、マスター92万5,000円、エグゼクティブ一般63万円+5泊分の宿泊費(いずれも税抜き)と高額だが、その分内容も充実したものとなっている。

ベーシックコースでは「マーケティングの基本概念を網羅的に理解し有効に活用すること」が目的だ。有名私大教授などプロの講義のもと実践的なワークショップでプレゼンスキルも向上できる。同士と出会い他業種の経営者と交流したい人にもおすすめだ。またすでに経営幹部であるなど、より高度なマーケティング知識を身に付けて人脈を作りたい人はマスターコースを検討してみよう。

マスターコースでは最新の動向を知るとともに現場で活躍するビジネスパーソンの話を直接聞ける。そのほかディスカッションや論文作成の過程を通して、より即戦力となる提案能力を養うことが可能だ。ただし受講資格は実務経験5年以上という条件があるため注意しておこう。さらに上のエグゼクティブコースは、部長クラス以上のマネージャーが対象だ。

5泊6日の合宿形式で行う短期集中型のプログラムとなっている。学者レベルの一流講師陣とインタラクティブなディスカッションをしながらビジネスの課題とその解決策について理解を深めることができる。

Webマーケティングを学びたい人におすすめの資格&検定4選

デジタル化が目まぐるしく進んでいるため「Webマーケティングについていま一つ理解しきれていない」という経営者もいるだろう。データの解析・統計の基本を経営者が理解しているかどうかで、あらゆる着眼点が変わってくるはずだ。ここではWebマーケティングを学びたい経営者向けの検定を4つ紹介する。

・ネットマーケティング検定
・Webアナリスト検定
・Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)
・IMA検定

(1)ネットマーケティング検定

ネットマーケティング検定は、インターネットの特性を理解したうえで「最も効果的なWebマーケティング手法を選択できる人材を育成すること」が目的だ。資格試験としてはそれほど難易度が高くなくすべて4択の択一選択式でマーケティング初心者でも取り組みやすい。あまり時間をかけずに手近に基礎用語だけ押さえたい場合にはおすすめの資格である。

(2)Webアナリスト検定

Webアナリスト検定は、約5時間の講座を受講した後、Webテストを当日または後日受検する形式である。そのため短時間でWebデータの分析力を付けたい人におすすめだ。主にGoogleアナリティクスなどの解析ツールの使い方、また市場調査で蓄積されたデータをマーケティングへ生かすための分析方法を体系的に学ぶのに適した資格である。

集客・回遊・コンバージョン・リピートに分けてユーザーフローに沿った分析のポイントを押さえることができるので、そのまま実務に生かしやすい。

(3)Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)

無料で受検できる「GAIQ」は「Googleアナリティクス個人認定資格」と呼ばれGoogleの公認資格である。世界共通のテストで主にGoogleアナリティクスの習熟度を認定する資格だ。合格後は12ヵ月有効となる。

(4)IMA検定

IMA(Internet Marketing Analyst)検定は、即実践できるマーケティングスキルを身に付けたい人におすすめの検定だ。テキストなどはなくすべてオンライン講義で学べるのも変化の速いWebマーケティングならではの特徴である。コースは「Standard」「Professional」の全2コースで「Standard」コースはサイト分析とリスティング広告の実践運用スキルを身に付けたい人向けだ。

「Professional」コースはターゲット別の集客プランの立案などより実践的な内容を学びたい人向けである。

いかなるマーケティング戦略においても立案および実行したら必ずその結果をデータ化して分析しなくてはならない。より効果的な戦略を立案したいなら見るべき数値を理解し正しく解析する力を身に付ける必要があるだろう。

マーケティングの資格を経営者が実務に昇華するコツ

経営者として「マーケティング」をいかに組み込むことが重要であるかが理解できたのではないだろうか。もし事業を理想的な形で持続していきたいと思うのであればマーケティングの体系的な知識は必要不可欠だ。逆にマーケティングの本質を理解することで今まで定まらなかった方向性が明確になる可能性が高まる。

マーケティングをよく理解せずに感覚だけでビジネスを続けていくことはギャンブルに繰り返し投資するようなもののため、いつか大赤字に陥る可能性を高めてしまう。その状況に勘の良い社員は気づいてしまうかもしれない。経営者の本気を今一度示すためにも、どうか「今さら」と思わずにマーケティングの資格の取得を組織改革の一つのきっかけにしてみてはいかがだろうか。

文・THE OWNER編集部