コーヒーを使ったカクテルが欧米を中心に人気を集め、日本でもコーヒーカクテルを提供するカフェや、バーが増えているという。UCCコーヒーアカデミーは8月2日、洋酒メーカーのバカルディジャパンとコラボした体験セミナー「Coffee Cocktail Experience Vol.2」を、都内にある同アカデミー東京校で開催した。
3部構成からなるセミナーの第2回目で、この日のテーマは「オリジナルカクテルの構築に向けて」。バリスタやバーテンダーなど、開業を目指す人も含め約50人が参加し、リアルとオンラインで行った。
講師は、著名なバーテンダーである高宮裕輔氏(東京四ツ谷「TIGRATO」クリエイティブディレクター)と、ラテアート世界2位である赤川直也氏(「トランジットジェネラルオフィス」コーポレートバリスタ)。そして、UCCコーヒーアカデミーの専任講師である土井克朗氏が務めた。
高宮氏は、カクテルの創作には大きく2つのパターンがあり、味とコンセプトのどちらを先に作るかを決めることから始まるとする。そして、コンセプトを先に作る場合は、マインドマップの活用を勧めた。これは、用紙の中心にテーマやコンセプトを書き、関係するキーワード(爽快感やお店の特徴など)を木の枝が分岐するように線でつなげて追加するもの。その中から材料(柑橘系、コーヒーカクテル、昼飲みなど)を探し出し、味を組み立てていくという。
肝心な味の組み立て方については、特にオリジナルカクテルで重要なことは次の2つだと紹介した。ひとつは、素材(酒)+甘味+酸味or苦味。もうひとつは素材(酒)+甘味+酸味or苦味+αだとする。どちらも黄金比率は、素材4:甘味1:酸味or苦味1(+α)だという(シンプルなシロップとレモンを使用する場合)。高宮氏は、「この土台がしっかりしていれば、(味は)崩れない」と語った。
そして、高宮氏は、バカルディ社主催による世界規模のカクテルコンペティションのジャパンファイナルに進出した、バカルディスペリオールを使用した「Dot Line」と銘打ったコーヒーカクテルを実演した。
一方、赤川氏は、液体の濃度の数値を表す「TDS」(総溶解固形分)と、コーヒーの豆からどのくらいの成分を取り出すことができたかを示す「収率」ついて紹介した。
カクテル作りでスピリッツや割り材に合わせる際に、コーヒーの酸を使いたい場合は、TDSを上げ、収率を下げて濃度の高い未抽出で抽出するとコーヒーの果実味を出しやすいとした。ボディ感や苦味を出したい場合には、攪拌や抽出時間を延ばして収率を上げるとスピリッツや割り材に負けない味づくりができると話した。
赤川氏は、「コーヒー単体でおいしいものが、そのままカクテルで使用しておいしいわけではない。濃度が高いものや未抽出のものなど、カクテルに合わせて考えることが大切だ」とした。
UCCコーヒーアカデミー専任講師の土井さんは、次のように語る。「コーヒーは、入り口がブラックコーヒーだとハードルが高い。そこで、ミルクや他の飲料など、飲みやすいものをきっかけに飲む機会を提供したいと考えていた。その一つがアルコールだ」。
「私たちはどうしてもコーヒーをメインで考えてしまいがちだが、材料としてコーヒーを使用したり、今後使ってみたいという方々と交流しながら新しい可能性や使い方を生み出すことで、コーヒーの魅力や体験価値をいっそう提供していきたい」。