サッポロビール「濃いめのレモンサワー」
(画像=サッポロビール「濃いめのレモンサワー」)

サッポロビールのRTD商品が好調だ。

大黒柱の「濃いめのレモンサワー」や、2023年に発売10周年を迎えた「男梅サワー」は前年の実績を上回っており、新商品の「ニッポンのシン・レモンサワー」は計画通りの実績になっているという。市場全体の1~6月の実績が概ね前年比100%程度で推移している中、サッポロビールでは104%と市場を上回る動きとなっている。

※RTD=Ready To Drink、チューハイ・サワー等のふたを開けてすぐ飲める低アルコール飲料。

サッポロビールマーケティング本部ビール&RTD事業部兼新価値開発部グループリーダーの後藤正明氏は「ことしの当社のRTDのテーマを“新・食中酒”とし、お客様にとっての食生活をより豊かにしていくことを活動の基本としていく。他社の二番煎じや“差別化をするための差別化”をせず、新市場創造型の商品で“お客様にとってのいちばん星”を目指してきた結果が好調に繋がっているのではないか」と話す。

サッポロビールマーケティング本部ビール&RTD事業部兼新価値開発部グループリーダーの後藤正明氏
(画像=サッポロビールマーケティング本部ビール&RTD事業部兼新価値開発部グループリーダーの後藤正明氏)

〈「濃いめのレモンサワー」は「濃いからおいしい」訴求強める〉
上記3ブランドの動向を聞いてみると、「濃いめのレモンサワー」は上半期107%で折り返したという。

好調の理由として、〈1〉メインブランドとも言える「濃いめのレモンサワー」が1月のリニューアル以来好調を維持しているため、〈2〉もう一つの軸とするべく発売した、アルコール分5%の「若檸檬」がしっかりと育っていることや、限定商品がうまく機能していること、〈3〉「濃いめのレモンサワー」の家庭用と業務用の商品の情報発信を連動させていること――の3つを挙げる。

さらに「当社が行った調査では、“濃いめのレモンサワー” は“濃さ”ゆえのコストパフォーマンスの高さが支持されていることが分かっている。これまで“濃さ”をひたすらアピールしてきた成果だろう。ただ、ことしからは“濃い”から何がいいのかということをしっかりお客様に伝えており、“濃い”から“美味しい”としっかりアピールすることでさらなる発展に繋げていきたい」と明かした。

〈「ど真ん中の旨さ」でユーザーの「迷い」を解決―ニッポンのシン・レモンサワー〉
新商品の「ニッポンのシン・レモンサワー」は、松重豊さんが「迷える羊」に扮したTV-CMでも訴えている“ど真ん中の旨さ”がレモンサワーユーザーのトライアルを獲得できているとみる。

サッポロビール「ニッポンのシン・レモンサワー」
(画像=サッポロビール「ニッポンのシン・レモンサワー」)

「レモンサワーはここ数年ブランドが乱立しており、業界内にいてもどれを選べばいいか迷う時があった。最前線で市場を開拓する我々ですらそんな状態のため、“お客様は本当にどのレモンサワーを選べばよいかわからなくなっているのではないか”と仮説を立て、同商品の発売に至った」と話す。また、そのコンセプトから「濃いめのレモンサワー」との自社内競合はほとんど発生しておらず、これもサッポロビールRTD事業が好調を維持している1つの理由としている。

後藤氏は「スタートダッシュは成功したが、あくまでもまだ現在はお客様がトライアルしている段階。認知度で言えば26%だ。そのため、限定商品や新商品の投入はことしは予定しておらず、“レモンサワー選びに迷っていないか”というクエスチョンと、“あなたにとっての定番のレモンサワーになれる”というアンサーを一貫して訴えていく」と今後の方針を語った。

〈10周年をきっかけに多様な情報発信、前年比111%と好調―男梅サワー〉
10周年の「男梅サワー」ブランドはサッポロビールのRTDの中でも最も調子がよく、前年比111%で推移している。「10周年をきっかけとした様々な情報発信ができたほか、“濃いめのレモンサワー”同様に限定商品がうまく機能したため。限定品をきっかけとした、限定品から定番品に流れるブランド内の回遊もあったのではないかと思う」とする。業務用にも注力しているブランドだが「業務用市場向けの実績も、発売以来好調に推移している」とのこと。

サッポロビール「男梅サワー」
(画像=サッポロビール「男梅サワー」)

また、「男梅サワー」ブランドでは、サッポロビールと日本IBMが開発した商品開発AIシステム「N-Wing★(ニューウィングスター)」を初めて活用した「男梅サワー 通のしょっぱ梅」を発売。

同システムはこれまで商品化した約170商品で検討した配合(約1,200種)や原料情報(約700種)を含むレシピを学習していて、新商品のコンセプトや必要な情報を入力すると、瞬時に目標とする配合の骨格をもとに原料の組合せ、各原料が商品全体の中に占める割合(配合量)まで予測し、推奨配合と推奨香料からなるレシピを出力するもの。

今後の運用方法を聞いてみたところ「一番の強みは開発時間を短縮できること。浮いた時間を人間しかできないクリエイティブな業務に回し、更に開発力を強化していきたい。他にも既存商品のリニューアルにも活用していく」とのこと。

最後に市場全体を俯瞰した感想を聞いてみたところ「上半期の市場全体の出荷実績は前年比100%程度だが、10月1日には酒税改正も控えており、年間の着地では101%程度になるのではないかと見通している。前回の酒税改正の際にもビールの新ジャンルからRTDに流入してくるお客様は多く、各社その経験をもとに囲い込める商品を出してくるだろう。そういった要素もあり、上向きになると考えている」と話す。

また、ブームとなっている「無糖」については「当社が行った調査では、お客様視点で無糖チューハイをみたときに何が求められているかというと、“食事に合う”ということがわかっている。甘いものは食事に合わないという声がある中で、スッキリと楽しめるのが無糖の魅力。当社としても“新・食中酒”の価値を提案しており、そういった部分もカバーしてさらなる成長に繋げていきたい」とした。

〈酒類飲料日報2023年8月10日付〉