サントリー食品インターナショナルは9日、2023年度第2四半期決算説明会を開催し、「売上収益」と、「非経常的な要因を除いた既存事業ベースの営業利益」が想定を上回る進捗となり、上半期としては過去最高を達成したと発表した。
2023年度第2四半期(1~6月)の連結業績は、売上収益7491億円(前期比10.3%増)、営業利益688億円(同14.4%減)となった。うち、国内実績は売上収益3282億円(7.3%増)、セグメント利益170億円(20.8%増)。なお、営業利益が減益したことは、前年第2四半期に計上したオセアニアのフレッシュコーヒー事業の譲渡益の反動が要因としている。
サントリー食品インターナショナルの小野真紀子社長は、「変動が激しく、不確実性の高い事業環境が続き、当社事業も影響を受けている」としつつも、「経営課題にスピーディーに対処し、強い事業構造に進化させるべく取り組んだ」と話した。
具体的には、日本での価格改定や自販機事業での構造改革の推進、海外での機動的価格改定を含めたRGM(収益を伴った売上成長)の徹底など、高収益・高利益体質な事業への進化に向けた取り組みを進め、着実に成果を上げたとする。
持続的な事業成長に向けた基盤強化では、日本において「天然水」と「GREEN DA・KA・RA」などが好調に推移し、(飲料計は)上期で過去最高の販売数量となった。海外ブランドも好調で、フランスの「Oasis」なども過去最高で推移しているという。
また、将来への成長投資では、サプライチェーン体制の強化に向けた積極的な投資を行い、日本では「信濃の森工場」に新ラインを増設。新カテゴリーの挑戦ではオセアニア飲料事業の成長加速に合わせ、Beam Suntory社との協業に向けた準備を始めたことを明らかにした。
小野社長は今後の方針について、「グローバル飲料企業として、質の高い成長を目指す。すなわち利益を伴う持続的な成長に向けてブランド戦略強化、事業構造改革、ダイバーシティ、サステナビリティを重点領域と捉え、取り組んでいく」と語った。
重点領域のうち、ブランド戦略強化では、コアブランドイノベーションを継続し、既存事業の基盤を強固にするとともに、「ボス」など戦略ブランドでクロスセル(顧客が商品を選ぶ際に関連商品も一緒に提案すること)の展開地域を拡大。加えてグローバルなサントリーブランドの創造に挑戦する。
事業構造改革では、高収益・高利益な事業体制の進化に向け、全セグメントで構造改革を推進する。
ダイバーシティについては、すでにグループ社員の6割が日本人以外であり、多様性のある人材が融合しあい、協働を進めている状況とする。小野社長は、「今年も異なる考え、価値観を融合しながら新たなイノベーションやアイデアを生み出し、実現する強い組織にしたい。そして、競争力の向上につなげたい」とした。
そして、サステナビリティは、社会や顧客からの信用を得てグローバルに事業を継続していくために、重要な経営課題のひとつとする。ただ、環境活動などに積極的に取り組む欧州や、リサイクルPETや資源循環の分野で進んでいる日本。まだ活動が進んでいないアジアなど、地域間の違いは大きい。小野社長は、「グローバルシナジーを活かし、リージョン別に適したアクションを推進することで、2030年目標に向けて着実に歩を進め、企業価値の向上を図っていく」とした。