変化の激しい今の時代、どのように会社の存続を目指せばよいのか、悩みを抱えている経営者も少なくない。会社の実力を指す「経営力」は、中小企業の経営者が経営のかじ取りをするために必要な力だ。経営力の意味や経営力を構成する4つの要素について解説し、経営力を高める方法を紹介する。
目次
経営力とは
経営力とは、会社が業績をあげ、成長、発展していくための力のことだ。会社の実力、会社のレベルとも言い換えられる。また経営力は、会社を存続させる上で必要な経営者の能力や資質という意味で使われることもある。
経営力にはいくつかの要素があるが、経営力の高い会社は顧客や従業員、取引先の支持を得て、長く存続できる。逆にいえば、長く存続している会社は、一定の経営力を有していることが多いといえるだろう。
ただし、経営力は時代に大きく左右されるものでもある。もともと経営力のある会社でも、経営者が企業努力を怠った結果、顧客が離れ一瞬で経営力を失ってしまうこともある。また業績が傾き始めていた会社が、事業を引き継いだ経営者の力で見事復活し、顧客を取り戻すこともある。
とくに最近は、大企業が業績不振に見舞われたり、スタートアップ企業が急成長して市場のシェアを奪ったり、M&Aで業界再編が進んだりして、変化の激しい時代に差し掛かっている。
このような背景から、今改めて、会社の経営力とは何かが注目され始めた。
会社の経営力を構成する4つの要素
経営力とは、会社が業績をあげ、成長や発展していく力だと述べたが、具体的にはどのような視点で経営力を評価すればいいのだろうか。続いては、経営力を構成する代表的な4つの要素について、詳しく解説していく。
事業
まず、経営力を構成する要素として、事業がある。事業は会社の核ともいえる存在だ。商品力が強いと、必然的に経営力も高まる。
また、市場での競争力やブランド力、地域での認知度なども事業の一部であり、経営力を高める効果を持つ。専門性の高い中小企業なら、他社では真似できない技術力や長年培ってきたノウハウも事業の一部であり、経営力を高めることにつながるといえるだろう。
組織や人材
続いて、組織力や優秀な人材、チームワークも経営力を構成する要素といえる。
「経営の神様」とも呼ばれたパナソニック創業者の松下幸之助が重視していたのは、経営力の中でも組織や人材だったそうだ。松下幸之助は、経営理念のもと、全員の情熱によって経営力が形づくられると考えていた。
従業員の技術力や創造性といった個々の能力はもちろん、社会貢献意識や働きがい、成長意欲なども経営力につながる。
設備やシステム
設備やシステムも、経営力を構成する要素の1つだ。
たとえ商品やサービスが消費者に受け入れられ、順調に業績を伸ばしていたとしても、不祥事が1つ起これば経営は大打撃を受けることになりかねない。
商品やサービスを生み出す設備をはじめ、業績管理の仕組みや情報の管理体制、コンプライアンス(法令順守)などは、商品やサービスの品質、従業員の生産性に大きな影響を及ぼす重要な要素だ。
財務
資金力なくして、会社の経営を続けることはできない。たとえ黒字でも、資金が底をつくと、会社は倒産してしまう。財務も経営力を判断する上で外せない要素だ。
財務にかかわる経営力は、財務指標からはかることができる。また、金融機関との関係性は、資金調達力に大きな影響を及ぼす。
経営力のある経営者が持つ5つの能力
経営力のある経営者とは、どのような経営者なのだろうか。続いては、経営者が持つべき5つの能力について解説する。