創業を夢見ることはとてもワクワクします。
特に、世の中に出回っていない製品やサービスを自分の手で創りだすことは心弾むものがあります。
しかし、現実にはいろいろな壁があります。
「資金を調達すること」は、創業を志す人にとって、最初に直面する大きな壁ではないでしょうか?
この記事では、資金調達の方法や調達時などのポイントなどを詳しくご紹介しています。
創業の二つの区分
創業は、大きく二つに分けることができます。
良くある創業は、世の中にすでに製品やサービスがあり、一定の市場が見込まれる事業で立ち上げるケースです。
飲食業や美容室などで創業するケースなどが該当します。
もう一つはいわゆるベンチャー企業です。
AI、Iot、バイオなど新たな技術や専門性の高い知識などをベースとして、全く新たな市場を生み出すことを狙って起業するケースです。
資金調達の二つの区分
創業時の資金調達は、大きく二つに分けることができます。
銀行などからの借入(デッドファイナンス)と株式を利用する資金調達(エクイティファイナンス)です。
デッドファイナンス
飲食業など従来ある事業で創業する場合、金融機関なども過去の融資実績などの経験則がありますので、リスクを織り込んだ融資判断が可能となり、借入による資金調達が可能となります。
金融機関は、融資期間を通じて金利を得ることによって収益を上げることになります。
エクイティファイナンス
ベンチャー企業は、全く新たなビジネスモデルです。
大きなゲインが期待できる一方で、失敗するリスクも高くなっています。
そのため、創業段階では、金融機関は融資に慎重になります。
ベンチャー企業の資金調達は、ベンチャーキャピタルなどによる株式発行による出資が主流となっています。
ベンチャーキャピタルは、取得した株式を、IPO(株式公開)やM&Aによって売却することでゲインを得ることになります。
資金調達の方法
創業者に共通の資金調達手段とベンチャー企業に特有の資金調達は次のとおりです。
既存事業で創業資金を外部調達する場合、日本政策金融公庫の創業融資と自治体の制度融資のほぼ二択となっており、それぞれの仕組みやメリット・デメリットを充分に理解する必要があります。
共有の資金調達手段
資金調達の方法 | 資金調達の内容 | 調達時のポイント |
---|---|---|
自己資金 | 貯金など自分で持っているお金を出資する | ・自己資金の多さで創業への本気度を判断される ・創業に失敗したら、自分の財産を失ってしまう |
家族・知人 | 両親、配偶者、友達などから借入や出資を受ける | ・先々のトラブルを避ける ・事前の丁寧な説明と説得 ・返済条件などを文書化 |
補助金・助成金 | 特定の目的や費用へ国や自治体などが給付している返済の必要のない資金 | ・補助金は採択されないと受け取れない ・補助金、助成金は後払い清算なのでつなぎ資金が強い |
金融機関の融資 | 銀行などからの借入 | ・都市銀行はまず不可 ・地銀、信金は可能性あるが制度融資に誘導される |
日本政策金融公庫 | 無担保・無保証人で利用できる新創業融資制度を利用 | ・金利引き下げ措置あり ・面談審査あり |
制度融資(注記) | 自治体、金融機関、信用保証協会が連携している融資制度 | ・利子補給や信用保証料の補助 ・経営責任を問われる(原則、連帯保証人が必要) |
(注記)制度融資とは
制度融資とは、自治体、金融機関、保証協会の3者が一体となり、中小企業などの資金調達を支援する仕組みです。
事業者が返済不能になった場合、保険協会が事業者に替わり金融機関に返済します。
信用保証協会が信用を補完することにより、金融機関が融資しやすい仕組みとなっています。
特に、創業者向けには、自治体が定めた一定の要件を満たすことにより、①借入枠の拡充②利子補給③保証料の補助などの支援策があり、創業しやすい環境作りが行われています。
ベンチャー企業の資金調達手段
ベンチャー企業の場合、事業リスクが高いことと大きな金額での資金ニーズがあることから、金融機関としては手を出しにくい状況となっています。
そのため、資金の提供者は、ハイリスク・ハイリターンをいとわない投資家が中心となります。
▼エンジェル投資家
エンジェル投資家とは、ベンチャー企業に資金援助を行う個人投資家のことです。
ベンチャー企業から株式や転換社債を受け取り、売却などによってリターンを得ることを目的としています。
また、資金面の支援だけでなく、事業や経営の磨き上げなどのサポートも行っているエンジェル投資家も存在します。
現在では、個人投資家とエンジェル投資家のマッチングサービスも提供されていますので、活用を検討することも一策です。
▼ベンチャーキャピタル(VC)
ベンチャーキャピタルは、金融機関、大企業等の事業者を出資者とした投資会社です。
ベンチャーファンドを組成し、投資家から資金を集め、成長性のあるベンチャー企業を取捨選択し出資を行います。
Exit(IPOやM&A)により株式を売却することにより、金銭的なリターンを得ることを目的としています。
Exitまでの間は、より企業価値を高めるため、資金面支援だけでなく、役員の派遣、ネットワークづくりなど経営支援も行います。
最終的には、売却した株式資金は、ファンドの投資家に還元されます。
▼コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)
最近では、資生堂や富士通など上場企業が出資するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が増えてきています。
VCは、Exitによる金銭的リターンを目的としていますが、CVCは、新たな市場の創出など、事業会社の事業戦略の実現を目的としています。
そのため、IPOやM&Aよりも、事業会社の一部門化やグループ会社化などがExit戦略となります。
まとめ
最終的に創業が成功するかどうかは、創業資金をどのように、どれくらい調達できるかにかかってきます。
資金調達において重要なポイントは事業計画です。
資金調達とは第三者からお金を調達することです。
つまり、自分の想いを込めた事業計画で、どれだけ第三者を納得させることができるかどうかがとても重要となります。
特に、売上や投資計画などの数値計画は、資金調達額の前提となります。
まずは、経営者としてのご自身が納得・腹落ちする事業計画の作成に取り組むことが必要です。(提供:ベンチャーサポート税理士法人)