全国ラムネ協会は7月27日、都内でラムネの取材会を実施した。同協会の木村英文会長(木村飲料社長)がラムネの歴史と現状、今後の見通しについて語った。
ラムネガラスびんは、以前は生産実績が年々減少傾向にあり、2014年に過去最低の約3450万本まで落ち込んだという。しかし、2013年12月に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された影響により、ラムネの海外需要が増加し、2020年には2014年の2倍となる約7150万本まで伸長した。
さらに、2021年には前年比1.5倍の約1億1050万本となり、2022年も約1億1360万本と伸長した(全国ラムネ協会調べ)。国内需要が減る一方で、日本のラムネは世界で認められて過去5年で倍増している状況となった。
木村会長は、ラムネが海外で人気になっている理由について、「味に加え、容器の独自性を訴求していることが輸出増の要因と考えられ、欧米・アジア圏などへの出荷が進んでいる」とした。
今後の目標は、2025年までに2億2000万本を達成し、2030年には5倍に成長させたい考えだという。目標達成に向けて、国内ではラムネに関するイベントの実施や全国清涼飲料連合会のホームページなどで「地サイダー・地ラムネ」の紹介していく考え。海外では、輸出先国の拡大と現在の輸出先への輸出数量拡大を目指すとした。
一方、課題としては、ラムネガラスびんの容器など資材の供給不足を挙げている。アメリカや中国など海外での大幅な需要増加に加え、近年のコスト上昇の影響を受け、ラムネガラスびんの製造はひっ迫している状況にある。
ラムネは他の飲料と比べて部品が多く、びんの他、ビー玉付きキャップ・ビー玉、充填キャッパーなど、1つでも部品が欠けると製造できないことも難点となっている。全国ラムネ協会に所属している企業の中には、在庫が足りずに新規の注文を断っている企業もあるという。木村会長は「輸出増による大幅な需要の増加はチャンスでもあると思っている。現状を整理しつつしっかり対処し、今後もV字回復を続けたい」と語った。