NFTマーケティングとは
NFTを活用したマーケティングは、多くの分野で注目されています。
NFTがもたらす可能性
NFTは「Non-Fungible-Token」の略称となっており、日本語に訳すと「非代替性トークン」となります。
NFTの性質を活用することで、特定のデジタル画像などが本物であることを証明できるようになり、希少性の向上や偽物の特定などができるようになります。
また、NFTの取引やコントラクトの履歴は全てブロックチェーン上に刻まれ、それらのデータは改ざん不可能です。NFTの性質を活用することで、マーケティングの施策の幅が広がり、今までにはない体験を提供できるようになる可能性があります。
NFTを活用した実例
NFTの性質を活用した実例として最初に紹介したいのがアート分野です。これまでのデジタルアートは、誰でも簡単にコピーができ、本物であることや所有者の証明も困難でした。
しかし、NFT化したデジタルアートは、所有者や唯一無二であることの証明が可能になり、希少性や価値が向上しました。これまでに、数十億円で取引されたNFTアートも出てきています。
また、NFTは音楽との相性も良いです。アートと同様で、所有者の証明や唯一無二であることを証明できるようになり、価値の向上が期待されています。NFTと音楽プラットフォームを紐付けることで、再生数に応じて特典を与えるといった活用方法も注目されています。
2023年に注目されているのは、ゲームでのNFT活用です。ゲーム内のキャラクターやアイテムをNFT化することで、価値が向上します。また、獲得したアイテムなどを互換性のあるゲームで利用したり、売却したりできます。NFTゲーム市場は、大手のゲーム開発会社が続々と参入しているため、これから発展していく可能性があるでしょう。
NFTの所有権を証明できる性質を活用して、不動産の所有権をNFT化する事例も出てきています。所有者の情報はブロックチェーンに刻まれ、改ざん不可能です。アメリカではNFT化された住宅が実際に販売され、わずか3分足らずで約34億円で売却されたことが話題になりました。
NFTマーケティングの具体的手法
NFTマーケティングの具体的な手法を紹介していきます。
ユーティリティの設定
NFTの販売を成功させるためには、ユーティリティ(付加価値・特典)の設定が重要です。特定のNFTコレクションを購入することで、他のNFTコレクションの優先購入権が付与されるといった手法はよく使われます。また、NFT所有者に向けて追加でNFTを送る手法もあります。
最近では、特定のNFTを保有することで、リアルのお店で割引が受けられるというユーティリティも増えてきています。
ソーシャルメディアの活用
NFTマーケティングでは、TwitterやInstagramなどのソーシャルメディアを活用して宣伝することが大切です。特に、Twitterは必須と言えるほど重要であり、Twitter運用がNFTマーケティングの鍵を握っています。
具体的には、優先購入権のプレゼントキャンペーンなどを行なって注目を集める方法があります。
インフルエンサーマーケティング
既に発信力がインフルエンサーに宣伝をしてもらう手法もあります。インフルエンサーに紹介してもらうことで、一気に数万人〜数十万人にリーチすることが可能です。
Web3版のインフルエンサーマッチングサービスも始まりました。Web3時代もインフルエンサーが大きな力を持つ可能性があります。
コミュニティツールの活用
NFTマーケティングにおいては、コミュニティ形成が重要になります。NFTコミュニティとして一般的に利用されているのはDiscordです。
Discordは、クローズドなコミュニティを作ることが可能なので、オープンなTwitterやInstagramなどのSNSよりもコミュニティ形成に向いています。
また、ツールの導入やボイスチャットなどもできるため、Discordでのコミュニティ形成は必須と言えます。
コラボレーション
既に知名度や人気のあるNFTプロジェクトとコラボレーションする手法もよく使われています。具体的には、デザインでのコラボレーションや優先購入権の配布などがあります。
有名なNFTとコラボレーションすることで、新しいプロジェクトであっても注目を集めることができるでしょう。
ダイレクトメールマーケティング
NFTコレクションを買ってくれそうな人に対して、ダイレクトメールをして宣伝する手法がダイレクトメールマーケティングです。
ダイレクトメールは、閲覧率が高いため興味を持ってもらいやすいです。また、定期的に宣伝ができるためリピーターの創出も可能です。
リアルイベント
リアルな展示会やイベントなどを開催し、より強力なファンを獲得する手法です。NFTのコミュニティは、基本的にはネットの中だけのものなので一定以上親密になることは難しいです。
しかし、リアルイベントを開催し直接ファンと会ってコミュニケーションを取ることで、より強固なコミュニティを形成できます。
広告の活用
街中のデジタル看板やネット広告を活用して宣伝する手法もあります。また、最近ではメタバース上のデジタル看板で宣伝できるようになっています。利用者の多いメタバースであれば、リアルと変わらない効果が期待できます。
ただし、NFTに関する規制によって広告を活用できない場合もあるので、注意が必要です。
NFTマーケティングの成功事例
NFTマーケティングの成功事例として1番に挙げられるのは、エアドロップを使った手法です。エアドロップとは、無料でNFTを配布することで、特に海外で流行しました。
定期的にエアドロップを行うことで、長くNFTを保有し楽しんでもらえるのがメリットです。また、エアドロップを予告することで、新規ユーザーの獲得もできます。
この手法は、海外の優良コレクションである「BAYC」や「Azuki」などでよく使われた手法で、過去にはエアドロップされたNFTが数百万円の価値を持った事例もあります。
しかし、エアドロップで稼ぐことのみを目的としたユーザーも一定数いるため、エアドロップ終了後に大量に出品され、価格が暴落するリスクもあるため注意が必要です。
これからのエアドロップを使ったマーケティングでは、あまり投資的な価値を持たないNFTの配布が一般的になる可能性があります。例えば、売却・転売ができないNFTや、LINE NFTなどの異なるブロックチェーン上でのNFT配布などが主流になるかもしれません。
今後は、投資的な価値だけでなく、NFTを長く保有してもらえるようにマーケティングを行なっていく必要があります。
NFTマーケティングの失敗事例
NFTマーケティングの失敗事例としては、2023年1月に大手自動車メーカー「ポルシェ」がリリースしたNFTコレクション「PORSCHΞ 911」が挙げられます。
ミントイベント開始数時間後には、ミント価格を割ってしまい、総ミント数7,500枚に対して2,363枚のミントが終わった段階でミントイベントを中止しました。
失敗の原因としては、価格設定のミスとロードマップの不明確さが挙げられます。
まず、価格設定に関しては、相場に合わない価格と発行枚数が失敗の原因になったと考えられます。ポルシェNFTの一時販売価格は、PORSCHΞ 911にちなんで0.911ETH、発行枚数は7,500枚でした。多数の熱狂的な自動車ファンを抱えるポルシェとはいえ、NFT市場が落ち込んでいる中、0.911ETHで7,500枚を完売させるのは困難なことだったようです。また、価格設定に関して、事前にコミュニティの意見を聞かず、いきなり販売してしまったことでコミュニティの反感を買ってしまったことも、失敗に繋がった要因と考えられます。
続いて、ロードマップの不明確さが失敗に拍車をかけたと言われています。NFT発売前に明確なロードマップを定義しなかったことで、ポルシェ側の考えとユーザー側の考えにズレが生じ、反発が生まれてしまいました。ポルシェNFTが今後どのように使われていくのかをユーザーに示し、コミュニティを形成していれば、ここまで悲惨な事態にはならなかった可能性があります。
NFTを販売する上では、相場を的確に読み取り価格や販売枚数、販売時期を決定する必要があります。また、そのNFTが何を目的としたプロジェクトで、何に使われるかを事前にユーザーやコミュニティに示す必要があるでしょう。
NFTマーケティングに向けての注意点
NFTマーケティングにおいての1番の注意点は、法的リスクです。NFTは発展途上の市場・技術であり、法の整備が整っていません。
NFTの売買や所有には税金や規制の問題があり、異なる国や地域によって異なる税法や法規制が存在するため、NFTに関連する取引や収益については、所在国や地域の税法や法規制を遵守する必要があります。また、専門家や弁護士であってもNFTに関しては、的確に答えられない場合があるので注意しましょう。
現段階でNFTを販売したり購入したりする場合は、NFTの法律に詳しい専門家にアドバイスをもらうことが重要です。
NFTの法律に関しては、自民党がNFT政策検討プロジェクトチームを設置するなど、法整備に向けて動いています。整備がされるまでは、法的リスクを理解した上でNFTマーケティングを行う必要があります。
NFTマーケティングの結論
NFTの特徴を活かすことで、今後様々な分野のビジネスで新しい価値や体験を提供できるようになるでしょう。
しかし、NFT市場はまだまだ発展途上であり、NFTマーケティングの正解もまだわからない状態です。そのため、現段階で成功しているマーケティング手法を一つ一つ行いながらマーケティングしていくことが重要になります。
また、NFTに関する税法や法規制が整備されていないなどのリスクもあるため、NFTマーケティングを行う際には十分に注意が必要です。
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2022.12.8