採用計画は、求める人材や採用人数など、会社の規模によって立案や実行の方法は異なります。しかし、どのような企業であっても、事業戦略と同じく採用計画も重要となります。
従来の方法で募集を行ってもなかなか求職者が集まらない、採用につながってもミスマッチや早期離職となるといった課題がある場合、採用計画を見直す必要があるかもしれません。
この記事では、採用計画の立て方や事前準備などを解説します。
目次
採用計画の必要性とは?
採用計画とは、企業が求める人材を採用するために立てる計画のことです。事業の成功のためには、適切な人材を確保することが大切であり、計画を立てることは必要不可欠です。
企業は、経営方針や事業計画を立て、目標を達成するために計画や実行を繰り返していきます。従業員の退職や業務が忙しくなってきたからということを理由に、無計画に人材を補充していては、必要な人材を採用することができずコストもかかるなど、企業にとって損失へとつながります。
経営方針や事業計画に必要とされる人材を採用するには、どのような人材が必要か、いつまでに何人必要なのかということを明確にして計画を立てます。計画を立てれば、人材を必要としている部署や採用活動を担当する人事部などが、共通認識を持てます。
さらに、日本の労働者人口の減少に伴い採用活動が難しくなっていることも、採用計画を立てる必要性につながっています。従来の採用活動だけでは、応募者が集まらないといった、人材確保が課題になっている企業も多く存在します。
採用計画を立てる前に重要な2つの事前準備
採用計画にはまず事前準備が必要です。これまでの採用活動の振り返りや、競合他社のリサーチを行うことがポイントです。
過去の採用活動内容を把握する
過去の採用活動を振り返ってみて、課題となる部分を把握することが必要です。求める人材や必要な人数を採用できたのか、入社後の新入社員や周囲の様子はどうかなど、振り返りを行います。目標人員よりも人数が不足していた場合や、求める人材ではなかったという場合には、採用活動の見直しをする必要があるため、課題を探り次回の採用計画に活かします。
採用市場・競合他社の状況をリサーチする
採用市場や競合他社の状況をリサーチすることで、効果的な採用計画が可能になります。採用市場の把握は、厚生労働省から出される求人数・求職者数などの数値や、求人サービスの企業から動向調査などのデータが公開されているため確認できます。
また競合他社の採用活動について、給与や資格などの条件や企業のアピール方法などをリサーチすることも大切です。
求職者が求めている内容や競合他社をリサーチすることで、自社の採用条件やアピールポイントなどを決定しやすくなります。
採用計画の立て方6つのステップ
採用計画に必要となる6つのステップを紹介します。
【ステップ1】事業戦略を把握する
まずは事業戦略を把握することから始めましょう。事業戦略とは、企業の経営方針や事業計画にそって、事業部ごとに戦略を立てることです。事業戦略を把握することで、必要な人員やスキルといった基本的なことや、予算やスケジュールなどを立案するための根源となります。
【ステップ2】採用目的を明確にする
事業戦略を把握できれば、次に具体的に必要なスキルなどを明確化していきます。募集する部署から、職種やスキルなどをヒアリングし、経営層や各部門、人事部が共通認識を持てるよう、採用目的を明確にしておきましょう。
【ステップ3】事業戦略にあわせた人物像・人数を決定する
企業が求める人物像を明確にしておくことは、採用側の焦点を合わせるために大切なことです。年齢や経験、資格だけでなく、大人数の前で話せるコミュニケーション能力や、自分で解決策を考えて実行できる、など人物像を具体的に言語化しておきます。
また必要な人数を明確にすることも大切です。大幅な増員を目指す場合、選考を受ける候補者を増やすための方法も検討しなければなりません。
【ステップ4】採用活動の体制を整える
企業が求める人物像であるか、評価するための体制を整えます。書類選考や面接、適性検査や試験など、人物像やスキルなどを見抜けるよう、選考方法を決定します。面接の回数や、適性検査の内容を検討し、それぞれの選考基準を明確にしておくことが大切です。
【ステップ5】採用スケジュールを立てる
採用スケジュールを具体的に計画します。スケジュールを誤ると、書類選考の量が多く応募者への連絡が遅れる、内定を出すのに時間がかかり優秀な人材を逃してしまう、募集期間からエントリー期間が短く応募者数が少なかったなど、失敗につながる可能性もあります。採用スケジュールは求める人材を採用できるか、結果が左右される要因のひとつです。
【ステップ6】どの採用チャネルを使うか決定する
採用チャネルとは、求職者にアプローチするための手段のことです。従来の方法では、求人広告への掲載や、人材紹介サービスの利用などの手段が一般的でしたが、近年ではSNSでの採用も採用チャネルとして多く活用されています。企業が求める人物像に合わせて、適切な採用チャネルを活用しましょう。
採用計画を立てる際のポイント
採用計画を立てるうえで、新卒採用なのか中途採用なのかの違いには大きく差があります。それぞれのポイントを紹介します。
新卒採用に関するポイント
新卒採用のターゲットは、大学や高校の新卒者や、卒業してからおよそ3年以内の第二新卒者も含まれる場合があります。将来的に即戦力となってもらうよう、企業にて長期的に育成していく必要があります。
採用のタイミングは基本的に年に1〜2回程度で、企業によっては多数の人数を採用するため、大規模な採用活動となります。大学生であれば、3年生を対象に採用広報を行い、内定を出して研修に至るまで長期間でのスケジュール管理が必要となります。
中途採用に関するポイント
中途採用は、他社で培ったノウハウや、即戦力としての採用が目的となります。人員の補充が必要な場合や事業拡大での増員などのケースでは、即戦力が求められるため、社会経験があり即戦力となる人材がターゲットとなります。中途採用での募集時期は、必要なタイミングで行う場合や、年間をとおして募集を行う企業もあります。
中途採用の場合の入社時期は、応募者が現職に在籍中のケースもあり、企業と応募者の相談によって内定のタイミングや入社日を決めます。
まとめ
採用計画を立案することや改善することは、結果的に企業の成長へとつながり事業戦略に役立ちます。採用市場や採用方法も、近年では目まぐるしく変化しています。採用計画における事前準備や6つのステップを参考に、計画をしっかりと立てて採用活動を進めましょう。