目次

  1. 概要
  2. 現在の事業内容
  3. 経営破綻の経緯と乗り越えるまで
  4. 逆境時のメンタル、逆境を乗り越えて得られた考え方
  5. ビジネスで勝つための秘訣
  6. 生き残るために経営者に必要な考え方
  7. 今後の展望と目標

概要

【日時】
2022年7月8日登壇
【登壇者】
南原 竜樹(株式会社LUFTホールディングス 代表取締役)
【概要】
株式会社LUFTホールディングス 代表取締役(当時)の南原竜樹氏に、借金100億円から、多業種への事業展開で年商100億円の経営者へと復活を果たした経験をもとに、先行き不透明な時代を生き抜く逆転経営術についてお話いただきました。
※本記事はTHE OWNERオンラインセミナーを全文書き起こして一部編集したものになります

現在の事業内容

【司会】

それでは、早速ではございますが。南原様、よろしくお願いいたします。 現在の事業内容ですね。どのような事業を展開されているのでしょうか。

南原竜樹氏講演
(画像=南原竜樹氏講演)

【南原】

僕は実を言いますと、コロナ前に会社を全て売却という決断を下しまして、 コロナ前、当時5,000人の社員がいて、車もですね、沖縄・北海道のレンタカーで4、5,000台近い車を保有してまして、そういったものを売却して。というのもですね、私が今62歳なんですね。講演会だと、「若い!」ってくるんだけど、反応がないけどね。

そういったこととかですね、今までかなり仕事で突っ走ってきたんで、本当に「24365部隊」を地でいくと。つまり、24時間365日働けみたいなですね。そういう、自分が会社を引っ張ってきて、60歳になって、例えば僕が倒れた時のリスクだとか、いろんなことを勘案して、会社を売却しました。ただ、飲食だけはちょっと最後に残して、東京のお店は売却して、名古屋だけ残して、今ですね、南原さん、何やってるのっていうと、 名古屋で、ちょっと高級な寿司屋を多店舗展開していて、焼き鳥とかステーキ屋さんとか、そういった飲食業ちょっとやりながらですね。

あとは、顧問業を始めていて、現在50社の中小企業の顧問をやらせていただいてます。 そういった中でも、そういった顧問業の人たちにですね、今だと南原さん、とにかく売り上げを上げたいと、 そういった人たちの売り上げを上げるべく頑張ってやっている。だから、そんなにですね。

全盛期はですね、その車屋さんで、ローバーとかロータス、TVRっていうイギリスのブランドの日本の総代理店になって、 あの頃は英国大使館のVVIPと呼ばれていて、なんとですね、女王陛下から招待状が来て、バッキンガム宮殿に呼ばれてですね、そこから、実はローバーが倒産して、その煽りで、人生ゲームが振り出しに戻って、なんとか頑張ってですね、グループ会社、子会社まで入れるとですね、約7社ほどの会社の経営をしてました。

それが今ですね、少しこじんまりと、今現在ですね、ちょっとゴルフをしに来てですね、 ゴルフをしたり、そんなことをしながらですね、皆さんのお手伝いをして、今までは自分が旗を振っていたんですけど、これからはちょっと皆さんのお尻を叩く、こんなポジションでちょっと頑張らせていただいてます。ただ、自分でちょっと失敗してるなと思うのは、 結構熱が入っちゃうんで、分業っていうともっと楽してできると思ったらですね、友達が、工数かけてたら、「お前の時給、Uber Eatsで自転車漕いでた方が高いぞ」って言われた。まあ、そうだねっていうような、こんな現状ですね。

【司会】

ありがとうございます。なんか、そんなに安くても本当にいいんでしょうかって感じですよ。

【南原】

月5万円でやっちゃってるんで、全然工数の割に合わないんすよね。

【司会】

それはちょっと安すぎじゃないですか、社長。

【南原】

ただね、もう数社はあまりにも売り上げが上がってるんで、「僕がこんなんじゃ、もうやっとれんなとか」って言って、飲みながらですね。「辞めちゃおうかな、もう顧問っていう仕事自体」って言ったら、「いや、顧問料上げますから」って言われてですね、「あ、そっちから言ってくれるんだったら、どうぞどうぞ」みたいな。

経営破綻の経緯と乗り越えるまで

【司会】

さすがでございます。失敗のお話が少し出たんですけども。100億円を一時期、借り入れを抱えられていた時期があったということですけども、経営破綻されて、この借金を抱えることになった経緯と苦労されたことなんかちょっと教えていただけたらありがたいなという風に思います。

南原竜樹氏講演
(画像=南原竜樹氏講演)

【南原】

了解です。元々、僕が1人で自動車屋さんを始めてですね。当時、日本は高度成長期時代、もしくはですね、 バブルというものに向かっていってですね、海外からの自動車輸入に目をつけたんですね。 それも大学を中退して早々にそんな事業を始めまして、まあ儲かる儲かる。

段ボール箱何箱分もですね、1万円札が入ってるみたいなですね。 それで、国税局の人が来てですね。「お前税金払ってないだろ」って言われてですね。「いや、なんで払わなきゃいかん」って言って、「 国民の義務だ」って言うから、「バカこけお前、僕は義務教育ちゃんと出てるけど、税金の払い方っていう授業1時間もなかったぞ」って。

そんな頃からですね、さらに、日本M&Aセンターっていう言葉がさっき出たんですけど、 僕の大きな成功の1つはですね、いくつかのM&Aをやってきたんですね。最初がですね、なんと僕がまだ30代の半ばも行かないぐらいの時に、日本第1号の民事再生案件。

それがですね、田園調布に本社を持つチェッカーモーターズという、アルファロメオのディーラーだったんですね。 この老舗ディーラーがバブルでですね、調子に乗って借り入れを増やしすぎて、ちょっとダメになった時にですね、民事再生だっていうことで、当時は民事再生っていう言葉を誰も知らなかったんですけど、なんとなくこれって面白いなって勉強してですね。

なんと、競合他社を出し抜いて、近藤先生っていう弁護士先生がですね、南原さんに任せようってことになったところで、10億円持ってこいって言われてですね。まだ30そこそこの僕が10億円って言ってですね、5億は手元にあったんで、銀行に5億貸してって言ったらですね、住友銀行は、とっとと「今日でお前のとこと取引はやめる」って言って逃げてですね。当時の三菱銀行、東京三菱銀行だったかな、あと5億出しましょうって出してくれてですね。それで、まずはそのディーラーっていう仕事に就いたんですね。

僕がよく言うのはですね、事業は坂道じゃないんだと、階段だって言ってるんですよ。なんとなく皆さん、僕自身が間違ってると思ってる、こういう事業計画を書いてる人がいるんです。 じゃなくて、ステップを上げていくみたいな事業計画。

僕らにとって、世界中から車を買ってですね、みんなに安く売ってですね。もうそういうのは楽しくて楽しくてしょうがない儲かるビジネスだけど、じゃあその会社って組織が作れるのかって言ったら、まあどっちかって言うとやんちゃなお兄ちゃんたちがみんなで集まってやってる。ネクタイしてた人なんか、僕しかいないよみたいな。

それがですね、どんどん、どんどん、組織を作っていったり、会社として成長させていくための第1歩として、元々そのやんちゃな頃からですね、将来はディーラーやりたいと。でも、なんでって聞かれたら、ポリポリっつって、だって大卒の人採用できるもん。でもそれが本当にそういう意味なんですよ。

頭の良くて、組織で運営できるようなことをやりたいなっていうのを夢に描いててですね、その事業計画を描いてたからこそ、そのチェッカーモーターズっていう会社の民事再生に手を挙げることができてですね。さらに、インポーターになっていってですね、もう1つ大きな階段を上がって、先ほども言ったように、女王陛下から招待していただいた、まあこんなことになったんですが、ローバーという会社が倒産しまして。

つい先日、ちょっと前の話かもしれないです。カルロス・ゴーンが逃げたとかですね、10億使い込んだと。 でも、日産はゴーンが立て直さなきゃ、倒産してたんですよ。自動車メーカーっていうのはですね、過去にも先にも倒産したことがほとんどなくてですね。例えばジャガー、危なくなったらインドのタタ自動車を買収して、めちゃめちゃいい車を作り出す。ボルボ、中国のジーリーが買収して、ある意味、自動運転では世界で1番じゃないかって言われてる。

そんな風に、大体買収されるんですね。それで、日産もルノーに買収されて、ゴーンが来て、業績が大V字回復して、僕に言わせりゃ10億ぐらい持って、なんか使い込んでもいいだろうみたいな話なんですけど、残念ながらローバーはですね、カルロス・ゴーンが来なかったんで、そのまんまですね。倒産してしまって、それで、特損を20億出したんですね。で、先ほど経営破綻と言われたんですけど。

実際、会社はなんとですね、倒産もしてなければ生き残って、銀行の借り入れも当時30億ぐらいあったんですが、ローバーが潰れた時点で、それ全額きちんと、期限の利益を破ることなく返済したんですけど、かなり無理して返済したもんですから、ポケットには50円しか残らなくて、そこから、再起を図ったっていうのが僕の第1回目の人生ゲームが振り出しに戻ったっていう話なんですね。

【司会】

ありがとうございます。100億円の借り入れを解消するための具体的な対応みたいなものは何かあったんでしょうか。

【南原】

ただですね、皆さんここでよく勘違いされるのが、借金だけある会社っていうのは、バランスシートで債務超過になってるんですよ。 僕らは資産があって、借金があるわけですよ。そうすると、バランスシート上は、僕らなんとですね、ローバーが倒産した時点ではね、プラス45億あったんですよ。

本当はですね、そのまんま会社を例えば評価してもらうと、 単純に借金を返して財産をきちんと評価すれば、45億円のお金が残りますっていう会社なんですよ。ところがですね、 45億円って言っても、現金で残ってないですよね。例えば、ここに僕が座ってる椅子があります。

この椅子、多分買うと結構立派な資産で、10万はしないと思うけど、5万ぐらいしますよね。そうすると、正面には5万って書いてある。で、この部屋がある限り、この椅子は使ってて5万の価値がある。でも、この部屋がなくなったら、この椅子は無料じゃないですか。だって、これメルカリに出したら、なかなかこれクラシックな椅子で売れるか売れんかわからん。そうすると、資産っていうのは大きく毀損するんですよ。

で、バランスシートが毀損するっていうのもあってですね、それでなんとかこうお金を返していったと。だから、そこでですね、一部儲けて返したのもありますけど、ほとんどはですね、事業計画って右肩上がりに書くじゃないですか。じゃあ来年は、分かりやすく言うと、10億の売り上げを15億にしようとか30億にしようとか40億にし、それを僕らはですね。この時点からどういう事業計画を立てたかっていうと、飛行機で言うと、今まで、ガーって上がってっていいよねって言ってたら、急にエンジンが4発とも壊れました。どうしますか? 燃料もほとんどありません。じゃあ、このまんま墜落しますよねっていう。だけど、そこをいかにソフトランディングさせていくかっていう事業計画を立ててですね。

資産を処分していって、例えば子会社を売却したりとか、僕はロータスっていう日本のインポーターもやってたんで、会社を売却しましょうとかですね、そういったショールームを売却しましょうとかですね、そういった計画を立てて返済したと。

で、その計画を立てた早さがですね、1ヶ月遅れてったら、飛行機でもそうじゃないですか。空港の手前500メートルに降りたら墜落ですよね。空港までなんとか踏ん張れば墜落じゃないですよね。 そういった意味で言うと、僕らなんとか早急にですね、解雇予告を出して、全社員をですね。「ごめんお前ら、 明日から仕事探せ」と「だから、あとは若干総務の人間と俺たちが残って全部片付けるから」っていうような、まるでドラマみたいな展開になって、それまでは右肩上がりだったんですけど、最後1人になって、みんなが転職したりですね、そんな状態になった。

【司会】

ありがとうございます。 視聴者の方からの質問、社長よろしいでしょうか。

【南原】

はい、もちろん。