2022年の国内アイウエア小売市場は、外出需要の回復に伴い前年比103.1%の4,918億円に
~アフターコロナとなる2023年は紫外線カット需要の好調でコロナ前の水準回帰に期待~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内アイウエア市場を調査し、製品セグメント別の動向、注目トピック、将来展望を明らかにした。
国内アイウエア小売市場規模推移
1.市場概況
2021年の国内アイウエア小売市場規模は、小売金額ベースで前年比106.5%の4,768億円、2022年は同103.1%の4,918億円と推計した。同市場は、2020年に前年比88.8%と大きく落ち込んだが、2021年以降は、コロナ禍で関心が高まったアウトドアやサウナに対応した新商品が好調だったことや、アフターコロナでの外出緩和によるサングラスの需要が増加したこと、老眼鏡市場の伸長、低価格商品の普及によって眼鏡の複数保有が促されたことなどを受け、2022年には2019年比97.6%で推移した。
一方、市場縮小の大きな要因としては単価下落が挙げられる。しかし、直近では素材価格・物流価格の高騰によってフレームの価格改定がなされていることや、カラーレンズや、反射光をカットする偏光レンズ、紫外線対策用の調光レンズといった高機能レンズの需要が、各企業のプロモーションの奏功により伸長していること、福井県鯖江市を製造拠点とする鯖江ブランドの認知拡大により高価格帯フレームへの関心も高まりつつあることから、アイウエアの単価が少しずつ上昇している。
2.注目トピック
コロナ禍で動きがあったインターネット・通販チャネル
眼鏡という商材は、着用する人の顔の形等によって掛け心地が大きく異なるため、店舗スタッフの接客を介さずにオンラインで眼鏡を購入することは難しいと考えられてきた。しかし、この10年間で眼鏡のECサイトが続々オープンしており、各社は店舗との差を感じさせないよう、店舗およびECサイトのどちらで購入したかに関わらず、前回の購入履歴をもとにした商品購入をECサイト上で可能にするなど、安心感を追求しつつECならではの利便性向上に注力している。
一方、数多くあるアイウエアを実際に手に取って選ぶ楽しさや、試着、プロの店舗スタッフからの新たな商品提案や他店舗との比較など、実店舗だからこそ提供できるメリットは多くある。中でも眼鏡専門店は、高度な技術や知識・経験を持ったプロのスタッフが在籍していることもあり、他のマーケットと比較しても専門店の優位性が損なわれていない。検眼(視力検査等)や購入後のフィッティングなど、ECサイトでの購入者についても一度は店舗を介することが多いことからも、アイウエア市場においてはEC完結型ショッピングへの完全な移行は難しいことが分かる。
今後は、実店舗ならではの強みはそのままに、ECについてもさらなる利便性を享受していくことで、消費者がアイウエアをより身近に感じ、市場全体が盛り上がっていくことが望まれる。
3.将来展望
2023年の国内アイウエア小売市場規模は、前年比102.6%の5,048億円と見込む。既製サングラス需要の伸長、高機能レンズの認知普及によるレンズ単価上昇など、複数のプラス要因が働くことで、2019年比で100.2%と、ようやくコロナ前の水準にまで回復すると期待される。
調査要綱
1.調査期間: 2023年4月~2023年6月 2.調査対象: アイウエア市場参入企業、その他関連企業、関連団体 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による調査、ならびに文献調査併用 |
<国内アイウエア小売市場とは> 本調査における国内アイウエア市場とは、①メガネフレーム、②メガネレンズ、③既製サングラス、④既製老眼鏡、⑤その他既製眼鏡の5アイテムを含む。 なお、⑤その他既製眼鏡とは、既製品として販売される度なしのブルーライトカットレンズや伊達眼鏡などをさす。 商品アイテムは、インポートブランドやライセンスブランド、ハウス(自社)ブランドなどを対象としている。 |
<市場に含まれる商品・サービス> メガネフレーム、メガネレンズ、既製サングラス、既製老眼鏡、その他既製眼鏡 |
出典資料について
資料名 | 2023 アイウエアマーケット |
発刊日 | 2023年06月29日 |
体裁 | A4 336ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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