営業マン,営業トーク
(画像=xiangtao / PIXTA)

ほとんどの企業にとって、営業は力を入れるべき業務だ。商品・サービスの売上に直結するため、特に業績面で悩みを抱えている経営者は、真っ先に営業体制を見直しておきたい。そこで今回は基礎的な知識を交えながら、営業のポイントやコツを徹底的にまとめた。

目次

  1. まずは営業のキホンを確認!営業で目指すべきゴールとは?
  2. NG例から学ぶ!営業トークで押さえたい5つのポイント
    1. 【NG事例1】「売りたい」という気持ちが先走り、トークが早口になる
    2. 【NG事例2】顧客が求める情報をスムーズに提供できない
    3. 【NG事例3】強引なトークで、顧客を置いてきぼりにする
  3. 具体例を交えて解説!営業トークのステップ別のコツ
    1. 【STEP1】アプローチをする際のコツ
    2. 【STEP2】商品・サービスの説明をする際のコツ
    3. 【STEP3】クロージング
  4. 優秀な営業マンは準備に時間をかける!
  5. 振り返りの継続が営業スキルの向上につながる
  6. 営業体制を今一度見直し、営業トークの質の向上を目指そう

まずは営業のキホンを確認!営業で目指すべきゴールとは?

具体的な営業スキルを解説する前に、まずは「そもそも営業とは何なのか?」という基本的な部分から確認していこう。

営業とは、企業が営利を目的として行う業務のこと。新しい顧客を開拓する売り込みだけではなく、得意先の会社に足を運んだり、顧客の問い合わせに対応したりする業務も営業の一種に含まれる。

ほかにも、営業に含まれる業務は数多くあり、簡単に挙げるだけでも営業には以下のような種類がある。

営業の種類 概要
・訪問販売 飛び込み営業やテレアポなど、新規の顧客を開拓するための営業。
・ルートセールス 特定の顧客や取引先のもとに出向き、需要を尋ねたり新商品を紹介したりする営業。「御用聞き営業」とも呼ばれる。
・カウンターセールス 来店した顧客に対して、受付などで営業を行う手法。「内勤営業」とも呼ばれる。
・反響営業 顧客からの問い合わせに対して、営業をかける手法。

営業の種類は多岐にわたるが、目指すべきゴールはどの種類でも同じだ。それは、「顧客の課題を解決すること」にある。

営業トークを通して、顧客の課題を解決できる商品・サービスである点をアピールしなければ、基本的に成約にはつながらない。また、営業マンに対して警戒心を抱く層も多いため、話を聞いてもらうにはまず「信頼関係」を築く必要がある。

企業にとって、営業は商品・サービスの売上に直結する業務なので、何かしらの課題を感じている経営者はこれを機に営業について考えてみよう。

NG例から学ぶ!営業トークで押さえたい5つのポイント

営業スキルは失敗をしながら身につけていくものだが、失敗を前提に考えることは望ましくない。特に避けられる失敗については、事前にしっかりと対策を考えておくことが重要だ。

そこで以下では、よくあるNG例を交えながら営業のポイントをまとめた。自社が営業するシーンをイメージしながら、押さえておきたい基本的なポイントをチェックしていこう。

【NG事例1】「売りたい」という気持ちが先走り、トークが早口になる

営業は商品・サービスをアピールする業務なので、「少しでも多くの魅力を伝えたい」「さまざまな情報を提供したい」と感じる営業マンは多いだろう。確かに魅力を伝える点は重要だが、だからと言って気持ちが焦り、早口になってしまう営業は代表的なNG例だ。

早口の営業トークは聞き取りづらく、場合によっては圧迫感や不安を与えてしまう。顧客に安心感を与えて信頼関係を築くには、「落ち着いて話すこと」が重要なポイントだ。

また、相手の話をしっかりと聞かなければ、顧客の抱えている課題を見極めることが難しいので、「聞き上手になること」も意識しておきたい。

【NG事例2】顧客が求める情報をスムーズに提供できない

営業トークを成約に結びつけるには、求められた情報をすばやく提供する必要がある。たとえば、質問に対する回答が遅すぎると大きな不安を与えてしまうため、顧客の購入意欲は一気にしぼんでいく。

また、商品・サービスの魅力はもちろんだが、「リスク・デメリット」も顧客が知りたがる重要な情報だ。これらの点を聞かれたときにスムーズに答えられないと、「何かを隠しているのではないか?」と怪しまれてしまうだろう。

顧客の購入意欲を高めるには、自社製品の使用感を「イメージさせること」が重要になる。そのイメージを手伝うために、求められた情報はいち早く提供しなければならない。

ただし、顧客が一度にイメージできる内容には限界があるため、「一度に説明し過ぎないこと」も意識しておこう。

【NG事例3】強引なトークで、顧客を置いてきぼりにする

熱意が強すぎるあまり、強引に営業トークを進めて顧客を置いてきぼりにする失敗もよくあるNG例だ。自社製品の魅力を次々に伝えても、その内容を顧客が理解できなければ成約にはつながらない。

特に営業トークの核となる部分は、しっかりと理解してもらうことが必須だ。質問内容などから「顧客にとって核となる部分」を判断し、その部分を丁寧に説明する必要がある。

ときには重要な情報を強く印象づけるために、「2回、3回と説明を繰り返すこと」も求められるだろう。

上記では3つのNG例を紹介したが、これらの事例から学んでおきたい営業トークのポイントは以下の5つだ。

〇営業トークで押さえたい5つのポイント
・落ち着いて話す
・話し上手だけではなく、聞き上手になることも目指す
・商品やサービスの使用感をイメージさせる
・一度に説明し過ぎない
・重要な部分は繰り返して説明する

これらのポイントは、どのタイプの営業でもしっかりと押さえる必要があるため、今後の営業活動では強く意識しておきたい。

具体例を交えて解説!営業トークのステップ別のコツ

一般的な営業の流れは、大きく以下の3つのステップにわけられる。

営業の流れ 概要
【STEP1】アプローチ 顧客が抱えている課題や問題意識を探る段階。
【STEP2】商品・サービスの説明 顧客の課題や問題意識に対して、自社製品を解決策として提案する段階。
【STEP3】クロージング 顧客が購入することを決め、契約を締結する段階。

前述では営業トークの基本的なポイントを解説したが、営業は段階によっても押さえたいコツが変わってくるため要注意だ。実際のトーク例を交えながら、各ステップのコツもしっかりとつかんでおこう。

【STEP1】アプローチをする際のコツ

顧客が抱えている課題の中には、顧客自身が気づいていない部分もある。たとえば、「周りと比べたら古い製品を使っていた」「よく考えたら保険に入っていないのは不用心だった」などの状況がこれに該当するだろう。

課題を自覚していない顧客に対して、自社製品をアピールすることは非常に難しい。そのため、【STEP2】に取り組む前段階として、質問を交えながら顧客の問題意識を引き出さなくてはならない。

ただし、顧客が使っている商品やサービスに対して率直に「古い」と伝えると、不快感を与えてしまう恐れがある。相手を不快にさせることなく問題意識を引き出すには、以下のようなアプローチをすることが重要だ。

〇アプローチの具体例
・すでに優れた製品をお使いなんですね
・この製品なら、満足できる結果が出ているんじゃないですか?
・△△を使っていないなんて、充実した生活を送っていらっしゃるんですね など

上記のようなアプローチによって考えるきっかけを与えると、顧客は「よく考えたら不便だった」「実はそんなに満足していない」と自身の課題を自覚してくれる。また、顧客を褒める形で問題意識を引き出しているため、不快感を与えることも防げるだろう。

【STEP2】商品・サービスの説明をする際のコツ

【STEP2】で確実に押さえたいのは、「顧客に安心感を与える」「不安にさせない」の2点だ。仮に少しでも不安を感じさせると、自社製品の魅力が十分に伝わらなくなってしまう。 そのため、以下のようにさまざまなトークスキルを駆使しながら、慎重に話を進める必要がある。

〇顧客に安心感を与えるトークの具体例
・もともとは他社で働いており、僕もこの製品のユーザーだったんですよ
・(大きなお願いを断られた後に)では、△△はどうですか?
・実は、この製品には△△というデメリットがあるんです

上記の中でも、大きなお願いをして「あえて一度断らせる」トークスキルは、さまざまな場面で活用できる。一度断らせてから小さなお願いをすることで、顧客の心理的なハードルを引き下げられるためだ。

また、自社製品に潜むデメリットなどの悪い部分を、正直に伝えることも安心感につながる。ただし、「実はこんな対策がある」「誰もがなるわけではない」のように、デメリットに対するフォローも忘れないようにしよう。

【STEP3】クロージング

顧客の購入意欲を刺激できたら、いよいよクロージングの段階へと進んでいく。しかし、成約までは断られる可能性があるため、この段階まで進んでも決して焦ってはいけない。

クロージングをスムーズに進めるコツは、「気軽に取り組める環境」を整えてあげることだ。契約行為を重く受け止められると心にストップがかかってしまうので、以下のようなトークで気軽さを演出する必要がある。

〇クロージングの具体例
・(契約関係を)進めていきましょうか!
・(製品を)一度試してみましょうか!
・こちらにお名前をお願いします

上記のように「簡単な言葉」を使うと、契約特有の堅苦しい雰囲気を一掃できる。たとえば、「契約書にサインをお願いします」のように伝えると、「契約書」や「サイン」という言葉によって不安を感じさせてしまう恐れがあるため、細かい言葉づかいにも注意しておこう。

優秀な営業マンは準備に時間をかける!

実際の営業では、シーンによって言葉づかいやトークスキルを使い分ける必要がある、そのため、ここまで解説したポイント・コツを押さえても、事前情報が少なければ営業はスムーズに進まない。

そこで優秀な営業マンは、営業をする前に「入念な準備」に取り組んでいる。商品・サービスや営業の種類によって必要な情報は異なるが、以下では特に取り組んでおきたい準備をまとめてみた。

○営業の前に取り組んでおきたい準備
・営業先の店舗など、ターゲット層の情報を調べる
・業界や市場の動向を分析する
・ターゲット層が抱えている課題を思いつく限り洗い出す
・ターゲット層の需要や課題に関して、仮説を立てる
・ターゲット層の意思決定基準や、物事の優先順位をイメージする
・質問を想定し、回答を用意しておく

営業をかける相手は人間であるため、全員が同じ課題や悩みを抱えているわけではない。顧客によって直面している状況は異なるうえに、営業マンのトークに付き合える時間も限られている。

だからこそ、スムーズに営業を進めるために「より多くのパターン」を頭の中に入れておかなければならない。また、業界や市場の動向のように、時間の経過によって状況が変わる情報も存在するので、事前準備には継続的に取り組む必要があるだろう。

準備が必要になる点は当たり前とも言えるが、「本当に十分なほど準備が整っているか?」については、今一度確認をしておきたいポイントだ。

振り返りの継続が営業スキルの向上につながる

会社や営業マンとしては「成約」が重要な基準となるため、ひとつの営業が終わるとそこで区切りをつけるかもしれない。しかし、営業スキルをさらに向上させるには、毎回の営業後に「徹底した振り返り」をすることが重要だ。

たとえば、ある顧客への営業がたったいま失敗したとしよう。このときに先ほどの営業を分析しないと、その営業マンは同じ失敗を繰り返す恐れがある。「どこが悪かったのか?」「なぜ断られたのか?」を意識して改善しなければ、営業成績を向上させることは難しい。

また、仮に営業が成功につながったとしても、その内容を振り返ることは必要だ。営業トークに関して、「顧客がどんな反応を示していたか?」「どの部分に興味をもってもらえたか?」を分析しておけば、次回の営業時に活用できる武器を増やせる。

特に顧客にとっての「メリットやベネフィット」の部分は、ひとつでも武器を増やしておきたいポイントだ。営業をする度にトーク内容を振り返り、次に活かすことを強く意識していこう。

営業体制を今一度見直し、営業トークの質の向上を目指そう

営業にはさまざまな種類があり、さらに顧客によってもトークの流れは多少変わってくる。そのため、営業の成功方法を一概にまとめることは難しいが、それでも今回解説したポイント・コツはほとんどの営業で必要になるものだ。

また、営業トークの質に大きく関わってくる事前準備や振り返りも、決して忘れてはいけない。「そんなの当たり前だ」と感じるかもしれないが、だからこそ軽視されがちな部分なので、経営者は自社の営業体制を今一度見直してみよう。

文・THE OWNER編集部

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