現代のビジネスは、多方面で「IT化」がトレンドになっている。しかし、必要な知識をつけようにも方向性がわからず、「ITは難しい」「基礎がわからない」と悩んでいる企業も多いはずだ。なぜITは理解が難しいのか、その理由や対策を押さえていこう。

目次

  1. そもそもITリテラシーとは?中小企業にも必要なのか
  2. IT知識やスキルの習得が難しい原因
    1. 複雑な意味の専門用語が多い
    2. 学ぶための環境整備が難しい
    3. 正しく質問できる事前知識がない
  3. 実はITがわからない企業でもIT化は進められる
    1. 高度なIT化は諦めて「身の丈IT」を意識する
    2. 外注先への伝え方を工夫する
  4. ITがわからない原因・理由を明確にして学習環境を整えよう
ITがわからないまま取り残される前に!知識がなくても進められるIT化のノウハウ
(画像=mapo/stock.adobe.com)

そもそもITリテラシーとは?中小企業にも必要なのか

ITリテラシーとは、情報技術に関することを理解する能力、または操作する能力を指す。パソコンやデバイスを操作するスキルに加えて、情報収集や分析のスキル、セキュリティに関する知識などもITリテラシーに含まれる。

ITリテラシーがない企業では何が起こるのか、考えられる主な弊害を見てみよう。

<ITリテラシーが低い企業の弊害>
・ソフトウェアをうまく扱えず、導入コストや無駄になる
・入力などの人的ミスが増加し、業務効率がダウンする
・顧客情報などが漏えいする
・世間から反感を買う情報を発信し、公式サイトやSNSが炎上する

また、近年では生産性向上やビジネスチャンスの拡大を目指して、多くの企業がIT化を進めている。中小企業も例外ではないため、古い経営体質を脱却できない企業は競争力を失うかもしれない。

IT知識やスキルの習得が難しい原因

ITリテラシーの不足に悩む企業は、習得が難しい理由や原因を把握することが重要だ。その上で対策を考えないと、人材育成や採用活動の方向性を間違えやすくなる。

まずは以下の内容を読み進めて、経営者や上層部が正しい知識をつけておこう。

複雑な意味の専門用語が多い

IT分野は横文字や類似ワードが多く、場面ごとにニュアンスが変わるような専門用語も珍しくない。そのため、いざ学ぼうと思っても「わからない部分がわからない」といった状況に陥りがちだ。

業界未経験者が全てを覚えることは難しいため、あらかじめ学習の方向性やゴールは明確にしておこう。例えば、以下のように「覚える必要がある用語」「無理して覚えるべきではない用語」に分けておくと、従業員に意図が伝わりやすくなる。

<覚える必要がある用語の例>
・5Gなどの身近な技術
・ディープランニングなどの話題性のある用語
・WMS(倉庫管理システム)など、自社が導入予定のツール

<無理して覚えるべきではない用語の例>
・3Gなどの古い技術
・実務やコミュニケーションで使わない高度な専門用語
・導入予定がないツールやシステムの名称

必要な用語のみを重点的に覚えるだけでも、ITの学習効率や理解度はアップするはずだ。

学ぶための環境整備が難しい

日本には小学校から情報教育があるものの、学校教育だけで習得できるITリテラシーには限界がある。また、地方によっては講師が不足しているなど、学習環境が広く整っているとは言えない状況だ。

企業が人材育成をする方法はあるが、その場合もカリキュラムを組んだり実際に教えたりする人材が必要になる。

正しく質問できる事前知識がない

IT分野に限った話ではないが、わからない部分を質問する場合も事前知識が必要になる。質問をする側に基本的なITリテラシーがなければ、回答する側も何を伝えるべきかわからない。

そのため、現場で学ばせるOJTだけの研修や、いきなり実務的なスキルを学ばせる方法は非効率だ。ITパスポートのような入門レベルの資格を取得させるなど、知識の土台づくりとなる育成方針を考えておこう。

実はITがわからない企業でもIT化は進められる

これからのビジネスにおいて、基本的なITリテラシーは業種に関わらず習得することが望ましい。ただし、実はITがわからない企業であっても、工夫次第でIT化は進められる。

以下ではITリテラシーの習得が難しい企業に向けて、簡易的にIT化を進める方法を紹介する。

高度なIT化は諦めて「身の丈IT」を意識する

一つ目は、自社の人材に合ったレベルでIT化を進める方法だ。事業規模が限られた中小企業では、いわゆる「身の丈IT」でも成果を期待できるケースがある。

例えば、感覚的に操作できるデバイスであれば、ITに詳しくない人材でも業務効率化に貢献できる。ただし、適切なツールを選ぶ必要があるため、上層部にITリテラシーが求められる点は理解しておきたい。

外注先への伝え方を工夫する

ツールの導入や運用を外部に任せる企業は、コミュニケーションの取り方を工夫したい。画面に表示されたエラーコードを伝えたり、写真や動画でトラブルを共有したりするだけでも、依頼先から具体的な対策を聞きやすくなる。

このようなコミュニケーションを想定して、親身に対応してくれる外注先を探しておこう。

ITがわからない原因・理由を明確にして学習環境を整えよう

ITリテラシーがない従業員に向けて、「なぜわからないのか」と質問しても状況が改善することはない。わからない原因や理由を明確にし、各人材に合わせた学習環境を整えることが、効率的な人材育成につながる。

専門知識がなくてもIT化は進められるが、運用面でトラブルが発生するケースもあるので、まずは学習環境を整備することから考えよう。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。
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