仮想通貨に興味がある人は、DApps(ダップス)という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。現在は多くの分野でDAppsが開発されており、オクトノット編集部では各業界から注目を集めているDAppsのことを詳しく調べてみました。活用することのメリット・デメリットだけでなく、今後金融業界のどのような分野で活用できそうなのか詳しく見ていきましょう。
目次
「Now in vogue」は、ちょっと気になる世の中のトレンドや、話題の流行語などについて、少しライトな内容でお届けする企画です。
DAppsとは
DAppsは、IT関係のニュースや記事を読んでいるとよく見かけるようになりました。その気になる意味や定義・種類を具体的に見ていきましょう。
ブロックチェーンを利用した非中央集権の分散型アプリケーション
DAppsとは、Decentralized Applicationsを省略したものです。中央管理者(企業や団体といったサービスを提供する主体)なしに提供される、自律分散型アプリケーションです。主にブロックチェーン上でスマートコントラクトを利用し作動します。
ブロックチェーンとは、ネットワークに参加している人達が同一内容のデータを持っていて、取引の内容を参加者全員が見られるシステムです。チェーンでブロックをつないでいくようにデータを保存します。
また、スマートコントラクトとは、ブロックチェーンの取引に関してあらかじめ決められたルールにより、自動的に実行されるプログラム。つまり、皆さんが使うスマホアプリやその機能そのものですね。これにより、アプリ内のデータ安全性と整合性が保たれます。
DApps4つの定義
DAppsの4つの定義をご紹介します。
- オープンソースである
- 中央管理者が通常は存在しない
- 参加者の同意と約束に基づき運営される
- ブロックチェーン技術の利用を前提としている
DApps3つのタイプ
DAppsには3つのタイプがあります。ここでまとめておきましょう。
<タイプ1>
既存ブロックチェーンが自律分散できるアプリケーションを構築できるタイプ。ビットコインやイーサリアムがそれにあたり、プラットフォームそのものになります。
<タイプ2>
タイプ1のプラットフォームを使い、さらに便利なアプリケーションを構築したものです。トークンと呼ばれる別の価値交換手段を提供するもので、トークンタイプともいえます。
<タイプ3>
タイプ2やそのトークンを使ってさらに便利にしようとするものです。タイプ2やそのトークンを使い、さらに便利にしようとするものです。タイプ2がWordだとしたら、タイプ3はWordマクロと言えば分かりやすいでしょう。
DAppsのメリット
DAppsを利用することにより、デジタル資産を安全で便利に管理できます。従来の中央集権型との違いも考えながら、そのメリットを見ていきましょう。
非中央集権である
非中央集権とは通常管理者がおらず、参加者みんなで管理していくことが前提で、参加者の合意により運営が決まるシステムです。そのため、取引の状況を参加者が常に見ている状態で民主的と言えます。また、誰でも参加し投票できるようなサービスを作ることも可能で、利用の幅がきくこともメリットの一つです。管理体制が分散しているので、一箇所に不具合が起こっても全体では稼働し続けられます。
取引の透明性
上記でも記載したように、DAppsはブロックチェーン上で取引されています。取引は参加者に公開され、全員が検証できる状態であるがゆえに透明性が高いと言えます。不正な取引は難しく、もし悪意ある第三者から改ざんされたとしても、発見しやすいのです。
データの改ざんリスクの軽減できる
ブロックチェーンは取引を監視している人が多いので、改ざんのリスクが低いという特徴があります。
デジタル資産を自ら管理できる
ブロックチェーンを自身で管理する場合、秘密鍵が必要です。秘密鍵とはパスワードのようなもので、知っている本人にしかコントロールできません。他者に知られないよう注意が必要です。
DAppsのデメリット
日々研究と開発が進むIT分野なので、発展途上な故にデメリットも存在します。今後研究が進み、改善が期待される分野ともいえます。現在のデメリットを詳しく見ていきましょう。
サポートを受けられないこともある
基本的には、何があろうと自己責任です。なぜなら、中央管理者がいないためです。まとめる組織がなければ、例えばクレームを言いたい事態が起こったとしても相手がいないのでどうしようもありません。秘密鍵をなくせば現金化もできず、盗難被害にあっても取り返すのは困難です。本人がしっかりと管理し、リスクを軽減するスキルが必要です。
ユーザビリティーに課題がある
まだ、発展途上な技術です。DAppsの情報量によっては取引に時間がかかることがあります。また、トランザクション(商品を購入し代金を支払うなど、取引の一連の流れのこと)への柔軟な対応が困難な場合も。イーサリアムを利用する際、Gasと呼ばれる手数料がかかる可能性もあります。
DAppsの活用事例
これまでのユースケースは海外が中心でした。しかし、ここ数年日本でもブロックチェーン技術が取り入れられ、金融業界や保険・ゲームの領域にまで活用されています。DAppsの活用事例を見ていきましょう。
ゲーム
DAppsはゲームとの相性も良く、さまざまなコンテンツに利用されています。例えば、歴史上のヒーローと一緒にゲーム上の世界制覇を目指すマイクリ(MyCryptHeros)は日本発のブロックチェーンゲームです。クリプトキティーズ(CryptoKitties)はブロックチェーン上で発行された仮想猫を収集・育成できるゲーム。育てた猫はそれぞれの価値が違い、イーサリアムを利用しトークンとして発行されます。また、ETH.TOWN(イーサタウン)という仮想現実の中で不動産売買をするゲームもあります。
保険プラットフォーム
イーサリスク(Etherisc)という保険プラットフォームがあります。保険発生事例を外部から取り込み、それをもとにスマートコントラクトが保険を支払うのか判断し、自動で支払いを実行します。他にはハリケーン被害保険や暗号資産ハッキング保険などの研究や開発が進んでいるようです。
DAppsと金融業界
金融業界も今、テクノロジーとの融合という分野で注目されています。進化していけば、もっと便利で快適な金融サービスを安心して利用できるでしょう。
ブロックチェーン技術を利用した分散型金融(Defi)
金融業界に置けるDAppsは、分散型金融(DeFi)と呼ばれています。金融業界はブロックチェーンを初期から研究しているだけに、相性は良いですが、必ずしも必要な技術でないことも分かっています。Techに強い人であれば使えますが、一般の人にはハードルが高く広まりにくいという課題もも見えてきました。結局はビットコインやイーサリアムを持っていないと取引できません。今後も研究され続け、違うDAppsが生まれるでしょう。
分散型金融の今後
インターネット環境が整っていれば、プライバシーが守られ、国境に関係なくどこからでもサービス利用が可能となります。Defiは世界中の技術者やイノベーターが競って取り組んでいるので、今後の成長に期待できますね。
DAppsはこれから期待できるアプリケーション
DAppsは非中央集権の分散型アプリケーションです。日々研究が進みさまざまな機能やサービスが実装され続けています。今活用されているアプリを実際に見てみると新たな発見があるかもしれません。さらに開発が進み、利用する人が増えれば、ユーザビリティの部分でも今後進展が期待できるでしょう。
※本記事の内容には「Octo Knot」独自の見解が含まれており、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。