2018年度のBEMS・BAS市場規模は1,386億円、2019年度は前年度比1.0%増を予測
~都市再開発事業等に伴う好調な新築需要を追い風に、市場は拡大の見込~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)では、2019年度の国内BEMS・BAS市場に関する調査を実施し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
BEMS・BAS市場規模推移と予測
1.市場概況
2018年度の国内BEMS・BAS市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比2.0%増の1,386億円と伸長した。東京、名古屋、大阪の大都市を中心とした都市再開発に伴う新築ビル建設や、東京オリンピックに向けた新築施設建設の需要増により、販売システム数が増加してきているとともに、クラウド型のサービス売上高も上昇傾向にある。
今後のBEMS・BAS市場は、システムのオープン化により価格競争が進んでいるものの、新築の建物規模が大型化していることから、1物件当たりの価格は上昇する傾向にあり、2019年度の同市場規模を1,400億円(前年度比1.0%増)、2020年度は1,420億円(同1.4%増)と増加していくと予測する。
2.注目トピック
オープン化と大手計装システムメーカー
この10年間でBEMS・BASは、BACnetRやLonWorksR等の国際標準プロトコルを適用するオープン化が進み、マルチベンダー化によるコストダウンが進められてきた。その結果、多くのICTメーカーが参入機会を得ることになった。
一方で、建築業界では、近年の建築需要拡大に伴う人手不足や資材不足を解消するために、建築工程における様々な部分のロスの見直しが進められ、BEMS・BASについても抜本的な低価格化が進んだ。このため低価格化を実現するためにマルチベンダーである必要がなくなり、むしろ施工やメンテナンスを考慮してシングルベンダーでのシステム構築が見直されてきており、最近では再び大手計装システムメーカーがシェアを拡大するようになってきた。
3.将来展望
国内のBEMS・BAS市場規模(事業者売上高ベース)は、2025年度が1,460億円、2030年度は1,500億円と堅調に拡大推移していくと予測する。
今後、市場の主体は、新築ビルから既築ビルのリニューアル案件にシフトしていき、BEMS・BASにおけるクラウドソリューションやAI、IoT技術等による新機能・新サービスは、新築案件への適用だけでなく、リニューアル案件開拓の推進力になる見通しである。