食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

023年のゴールデンウィーク期間の末端消費は、終盤を除いて全国的に天候に恵まれたこともあり、繁華街や観光地では多くの人出となり、外食需要は堅調だったと予想される。

量販店関係では焼肉・BBQ商材や冷しゃぶなどを中心に品ぞろえするケースがみられたものの、こちらは地域や店舗の立地によってマチマチだったようだ。   4月の豚枝肉相場(東京市場)は、上物税抜きで470円台からスタートして、徐々に値上がりし、下旬には560円台まで達した。しかし、末端消費が振るわないことから、関係者の予想よりは伸び切らなかった。5月の末端需要は例年通り、大型連休明け以降はイベントも少なく、節約ムードの強まりから、普段使いできる豚肉は牛肉に比べると底堅く推移するとみられる。   だが、同時に中部位よりもウデ、モモのスソ物中心の展開となりそう。このため、需要の実勢からすれば5月の月間平均相場は上物税抜きで570~580円と予想される。ただ、出荷頭数が減ってくる下旬にかけてジリ高となり、600円台を付ける日も予想される。

〈供給見通し〉
農林水産省の肉豚出荷予測(4月21日発表)によると、5月の肉豚出荷頭数はほぼ2022年並みの132.6万頭としている。20日間稼働として1日当たり6万6,300頭となり、連休明けの今週は出荷が多めだが、次週以降は減少し、下旬には6万頭台前半まで減ってきそうだ。

農畜産業振興機構の豚肉需給予測によると、5月のチルド豚肉の輸入量は3万2,300t(2022年同月比20.6%増)、フローズンが4万6,700t(2022年同月比7.8%減)と予想している。チルドは2022年のカナダ産の入船遅れの減少、フローズンは2022年の大幅増加(5.1万t・38.1%増)の反動の影響が大きく、4月比ではチルドは2,200t、フローズンが1万2,300t少ない見通し。

ここ数カ月間は北米産の海上物流事情も改善しているため、遅延による混乱は避けられそうだ。輸入チルドはロースを中心に、カタロース、ヒレが主体となるが、バラに関しては欧州産フローズンとの競合もあり、在庫過剰に拍車をかける恐れがある。需要の強いピクニックなどのスソ物は引続き玉薄の状況が続きそうだ。

〈需要見通し〉
国産豚肉の末端消費は、4月に入ってからも盛り上がりに欠け、ウデ・モモ、ロースは動くものの、カタロース、バラはイマイチで、特売用に価格次第で動くといった状況となった。ゴールデンウィーク期間中の末端需要は気温が高く好天が続いたことで外食需要は概ね堅調だったようだ。一方、ボリュームが動く小売り需要も量販店では、店舗によっては冷しゃぶや、休み中の手間抜きメニューとして味噌漬けやトンテキなど味付け商材の売れ行きは堅調だったもよう。店舗によってマチマチだが、何とか2022年並みの売上げは確保できたと聞く。

5月は、連休の出費疲れで末端消費が鈍るため、売れ筋はロースよりもグラム単価の安いウデ・モモ、輸入品にシフトしていくとみられる。とくに輸入品では値ごろ感を訴求するため、欧州産バラの解凍品の売れ行きが強まるとみられる。これに対して国産を中心にバラ、カタロースといった中部位は苦戦を強いられそうで、生鮮物は引続き価格対応でしのぐケースがありそうだ。また、中間流通段階では、例年ほどではないものの、スソ物以外の凍結在庫を抱えていることから、当面、在庫補充買いの動きは強くないものとみられる。

〈価格見通し〉
連休明け後は出荷頭数が増加する半面、卸段階での在庫補充買いは中部位の在庫増もあって慎重なため、上旬の相場は弱もちあいの展開が予想される。中旬以降は出荷頭数の減少に伴い反転し、ジリ高となりそうだ。とくに下旬について、1日当たりの出荷頭数が6万頭前後に減少すれば、末端需要に関係なく相場は税抜きで600円台に乗せてくる可能性がある。

現段階での相場予想は、上旬550円前後、中旬560円前後、下旬600円前後で、月間平均570~580円前後と想定される。出荷頭数が細まっていくなかで、引合いの強いスソ物を集めざるを得ない半面、中部位のパーツ販売の逆ザヤが拡大しており、これが今後の枝肉相場にどう影響してくるか注目される。

〈畜産日報2023年5月9日付〉