教育
(画像=smolaw/Shutterstock.com)

よく「富裕層は子供の教育に熱心だ」と言います。それはなぜでしょうか。今回は、会計学(バランスシート)の考え方を用いて説明したいと思います。

富裕層の資産管理に使われる「個人の財務諸表」という考え方

富裕層の資産を管理する際、軸となるのが「個人の財務諸表」という考え方です。企業がお金を管理するためのフレームワーク「P/L」と「B/S」の個人版です。

個人P/Lでは、お金の流れを把握することができます。多くの方にとって、「1ヶ月」や「1年」が馴染みある期間ではないでしょうか。個人B/Sでは、これまで自分がどのくらい資産や純資産を築いてきたかを把握することができます。

隠れた資産「人的資本」

この通常のB/Sには載っておらず、しかし、これからの「人生100年時代」に更に重要になる、隠れた資産があります。それが、知識やスキル、資格、人脈、健康、信用といった目には見えない「人的資本」という資産です。

例えば、専門的な知識や高度なスキルを身につければ、キャリアにつながり、結果として収入の増加にも繋がります。せっかくのキャリアも、病気などで離脱すると無くなってしまいますから、健康も大切な無形資産です。金融スキルを備えることで、投資によって利息や配当などのインカムゲインの獲得、さらには値上がりしそうな不動産や株を見極め、キャピタルゲインを得ることも可能です。

極端に言えば、何かの拍子で富裕層から無一文に転落しても、再び資産を築く人的資本があれば、いくらでも復活することができます。

頭脳に税金はかからない

多くの富裕層が、子息子女の教育に力を入れる理由はここにあります。例えば、名門私立小学校に通わせれば、政財界の二世三世たちと竹馬の友になることができます。その繋がりは大人になってから大きな財産になるでしょう。

ボーディングスクールに通わせれば、語学が堪能になると同時に、グローバル規模でコネクションが広がります。大学卒業後、就職せずに修士や博士を取らせれば、社会に出てから有利なポジションに就きやすくなります。

一般的に、子供の教育に関する資金を親が払うことは非課税です。言い換えれば子供の教育に資金を投じることは、親のバランスシートの「金融資本」を、子供のバランスシートの「人的資本」に、非課税で移転させていることと同義です。

「子供に良い教育を受けさせてあげたい」という気持ちは、全ての親に共通するものだとは思いますが、バランスシートの観点からは、上記のように説明することができます。相続資産6億円超には55%の相続税がかかりますが、頭脳(人的資本)に税金はかけられません。一族のさらなる繁栄を担保するための合理的な資産承継対策と言えるでしょう。

文・THE OWNER編集部