量販店のみそ売り場
(画像=量販店のみそ売り場)

コロナによる規制が緩和され、外出する人が増えてきたことから、外食産業が息を浮き返し始めており、みそにおいても業務用の販売が戻りつつある。逆に、家で生みそからみそ汁を作って飲む家庭が減っており、家庭用の販売は前年を下回り始めている。

原材料や包装資材の高騰で各メーカーとも値上げを余儀なくされており、売上は維持できるものの、販売数量が前年を下回るところが増えている。

また、パッケージにおける「無添加」表示の取り決めが全国味噌工業協同組合連合会(全味)から通達され、各メーカーとも動揺しており、その対応に苦慮しそうな状況となっている。

食品需給研究センターがまとめたみその2022年の生産量は、前年比1.3%増の46万8,027t(前年比5,944t増)となった。前年を下回った月が3回、最需要期の年末年始は前年を上回って推移した。

みその種類別では、米みそが前年比1.4%増の39万9,840t、麦みそが前年比15.2%減の1万3,275t、豆みそが前年比0.4%増の2万3,649t、調合みそが前年比9.0%増の3万1,263tとなった。

大豆のシカゴ相場が14ドル辺りで高止まりし、みそメーカーは、高値での原料確保を強いられている。大豆以外にも塩の価格が高騰しており、今年は米の価格も上がると業界で予想されている。

また、原油や天然ガスの価格も上がっており、加工食品メーカーにおける生産コストも急騰。加工食品メーカーは連日値上げを発表し、消費者の先行き不透明感は高まっている。

みそ業界でも、ハナマルキやひかり味噌を筆頭に値上げに踏み切り、中堅メーカーも続いているが、コスト高をすべてカバーしきれているメーカーは少なく、2回目、3回目の値上げを検討しているメーカーも少なくない。

〈みその値上げで低価格、時短・簡便にニーズが振れる、即席みそ汁ニーズ再び高まる〉
みその家庭用市場では、値上げの影響から、売上は取れるが、出荷数量が落ちるといった状況が継続している。コロナによる規制が緩和されつつあることから、外出する人が増加しており、外食産業が盛り返している。みそにおいても、業務用の販売が前年を上回りはじめ、家庭用の落ち込みをカバーし、業績を下支えする格好となっている。とはいえ、歓送迎会や宴会など大きな売上が見込めるイベントはまだ、自粛傾向にあるため、本来の売上には届いていない。

みそ市場では、一時期、消費者のプチぜいたくによる特需により、家庭用の販売が伸びたが、加工食品の値上げラッシュで、先行き不透明感が強まり、低価格な商品が売れる傾向に戻り始めている。また、生みそよりも即席みそ汁を購入するケースが増えている。共働きも増加傾向にあることから、家で家族そろってみそ汁を飲む機会が減っている。生みそを使ってみそ汁を作る家庭が減り、時短・簡便な即席みそ汁にシフトする消費者が増えつつある。

食品需給研究センターがまとめたみその2022年の生産量では、増加傾向に転じているが、今後は値上げの影響で出荷数量は減るが、売上は確保できる傾向にシフトしていくことが予想される。

一方、みそ業界では、以前から「無添加」表示について、消費者庁などから文字の大きさや商品名に使うことなどの指摘がなされてきたが、このほど全味から、消費者庁との取り決めが全味所属のみそメーカーに知らされ、その対応に戸惑いをみせるメーカーが増えている。「無添加」という表示をパッケージに印刷することは許可されたものの、文字の大きさが極端に小さくなり、まず商品名には使えなくなるような内容となっている。対応する時期も来年の年明けとタイトとなっており、包装資材も高騰していることから、各メーカーとも慎重な対応をみせている。

〈大豆油糧日報2023年4月12日付〉