「今度、ゴルフ一緒にいかがです?」──。経営者であれば、このようにお声掛けをいただく機会は少なくないはずだ。自分がゴルフをたしなんでおらず、今後も趣味として始める予定がなければ、このようなお誘いは断ることになるが、実は大きな「機会損失」と言える。
「共通点」があることの意味
経営者にとって、誰かとの「共通点」は宝だと言える。なぜだろうか。
ほとんどの経営者は事業を拡大させる任を背負っていたり、収益力の向上を目指していまの取引先よりももっと良い取引先を探していたりする。そのためには、新たな企業もしくは新たな企業経営者との接点が必要となるが、その接点をつくったり関係を深めたりする際に「共通点」は役に立つ。
経営とは純粋に言えば「数字」だけを追求するドライなものとも言えるが、実際には「経営者の個人的趣向」や「人情」といったものも介在してくるのが現状だ。そのため現実には、企業経営者は「自分が関わりたい人」と思った人とビジネスを始めるケースは少なくない。
ここで重要なのが「共通点」という概念だ。自分と共通点を持った人は、ある経営者にとって「ただの人」から「関わりたい人」に昇格する可能性が出てくる。「関わりたい人」と思ってもらえれば、あなたにとって新たなビジネスをその人と始めるチャンスだ。
当然、同じ共通点をもっている人が多ければ交友関係が広がりやすく、仲が深まりやすい、という点も書き添えておく。
経営者の趣味、「ゴルフ」が圧倒的
経営者であれば賢く戦略的に、より多くの人と接点が持てる「趣味」といった共通点を、自ら備えるよう努力すべきだ。せっかく始めた趣味も、世間からもしくは多くの経営者から見たときにマニアックな趣味で、ほかの人との共通点になりにくければ意味がない。
では、多くの経営者にとってメジャーな趣味とは何だろうか。それが冒頭で触れた「ゴルフ」だ。このことは、過去の調査データなどからも明らかである。
笹川スポーツ財団が過去に実施したスポーツライフに関する調査によれば、「社長の趣味」で最も多かったのが「ゴルフ」で、2位の「読書」と「散歩」の2倍の人数がいた。
民間企業調査会社の東京商工リサーチが過去に全国の社長130万人に実施した調査結果も、同じ傾向を示している。趣味の第1位は「ゴルフ」で全体の43.54%を占め、「釣り」(8.44%)を大きく引き離している。
ちなみに、東京商工リサーチでは「全社長」と「大企業社長」に分けて趣味ランキングを算出しており、全社長の趣味は前述の通り「ゴルフ」が全体の43.54%だったが、大企業社長の場合はさらにパーセンテージが上がり、全体の62.19%だった。
ゴルフを一緒にまわる意義とは
紹介した調査データから、いかに企業経営者の多くが趣味としてゴルフをたしなんでいることが分かっただろう。そして、大企業の社長ほどゴルフをしている人が多い。その結果をみれば、あなたにとってゴルフが楽しいかどうかに関わらず、経営者としてゴルフを始めるべきと言える。
そしてゴルフに関しては、「共通点」として機能するだけではない。一緒にゴルフコースでラウンドをまわっている「時間」や、ゴルフ後の食事などの「時間」といった、ともに共有する時間が長くなりやすい点も特筆すべきことと言える。
共有する時間が長いということは、簡単に言えば仲が深まりやすいということだ。会話が続く中でお互いのビジネスのことについて自然と情報交換をすることになるし、家族のことや資産運用のこと、最近の悩みなどを話すうちに、相手との距離がぐっと縮まるだろう。
ただし「マナー」は非常に重要
経営者がゴルフを始めることの意義について説明したが、注意すべき点もある。それが「マナー」だ。ゴルフは紳士のスポーツであり、プレイヤーの性格や几帳面さを映し出す。あなたのゴルフのマナーが最低ならば、ほかの経営者はあなたとのビジネスを遠慮するだろう。
そのため、ほかの経営者とラウンドをまわる前に、しっかりとマナーを自らにたたき込もう。「時間に絶対遅れない」「打つ人の邪魔をすることを言わない」といった初歩的なことだけでなく、グリーン上マナーとして「走って芝を傷つけない」「ボールマークはしっかり直す」「打つ人の近くには立たない」といったことも重要だ。
ゴルフでは共有する時間が長いだけに、マナーがしっかりしていなければ、あなたの印象はどんどん悪化する。注意しよう。
経営者はゴルファーであれ!
結論を言うと、経営者は「ゴルフ」をスポーツとしてとらえるのではなく、「ビジネスツール」「コミュニケーションツール」として認識すべきだ。「ステータス」だとも言える。あなたの趣味がゴルフというだけで、向こうから声を掛けられることもあろう。
そしてマナーをしっかり身につけ、紳士的な時間をほかの経営者と共有できれば、きっとあなたのビジネスは良い方向に進むはずだ。
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