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最近インターネット上の書き込み、内部通報制度や監視カメラなどで常に私たちは監視されている世の中になりました。つまり今は「嘘のつけない時代」になったこと意味します。今は本物で勝負する時代になってきました。つまり「ミッション」のような本質的なものが、ますます重要になってきています。
例えば、「安全で、おいしい水を提供する」というミッションを持ったミネラルウォーターのメーカーが、いくらキレイなイメージ映像を使って「おいしい水」を宣伝しても、実際に飲んだ多くの人が「おいしくない」と感じて、ネットで書き込んだ瞬間にその嘘がバレてしまいます。いくらイメージづくりに大金を注ぎ込んだところで、ネット上の消費者のつぶやきの威力にはかないません。
「安全で、おいしい水を提供する」――このミッションを愚直に取り組むことが何よりも大切になります。広告宣伝やイメージ作りに多額のお金を使うより、本当に消費者にとって「安全で、おいしい水」を届けることに力を集中した方が良いのです。
これからは、今まで以上に、本質的な商品やサービスに磨きをかけ、お客様の期待を上回る商品を提供し、単に商品を売って終わりではなく、アフターサービスも充実し、お客様にSNSやカスタマーレビューで「美味しかった」「感動した!」と呟いてもらわなければなりません。
そのため消費者調査での満足度が10点中7点や8点を目指すのではなく、人に推奨するレベルの9〜10点の比率をいかに高めていくことを目指さなければなりません。
ブランドとミッションの関係
マーケティングの権威、フィリップ・コトラーが「ブランド」の重要性を説いているように、「この企業はいつもいい商品を作る」――そう思ってもらえて初めて、新商品も安心して買ってもらえるわけです。
ブランドには、その会社の商品、イメージ、社員の雰囲気、外部から見たすべてが集約されています。私は「ブランドとミッションは表裏一体だ」と考えています。ブランドとは、本来ミッションが滲み出て形成されるべきものです。
ミッションを社員全員が愚直に実行し、それがお客様に伝わり、ブランドが形成される。いくら、素晴らしいミッションを掲げていたところで、行動が伴っていなければ、本当のブランド形成はされません。もしミッションとブランドが一致していなければ、どこかおかしいのです。
先ほどの水メーカーの例に例えてみると、消費者にあの水メーカーはどんなブランドと聞くと、「安全で、おいしい水を供給しているメーカー」と答えてもらわなければならないのです。
ミッションとブランドは表裏一体
少し具体的な例を出すとミッションとブランドの関係がわかりやすいのではないかと思います。次に書かれているのはある企業のミッションです。どの会社のミッションでしょうか?
「XXXX の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」
多くの方が「グーグル」とわかるでしょう。それはみなさんがグーグルという会社にどんなイメージを持っているか(=ブランド)とミッションが合致しているから分かるのではないでしょうか?もし答えの会社名が思いつかなかったとしても、グーグルと聞けばなるほどと思うのではないでしょうか?つまりミッションとブランドが合致している例です。
次に日本の企業のミッションです。この会社では社是と読んでいます。難しいかもしれませんが、答えを聞くとなるほどと納得すると思います。
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
これはリクルートさんです。まさしく新しい分野に常にチャレンジし、多くの人材を世の中に輩出しています。私もリクルート出身の友人が多くいますが、皆生き生きして、新しいことにチャレンジし活躍しています。まさしく「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えている」会社だと思います。リクルートもミッション(社是)とブランドが合致している例だと思います。
ミッションとブランドは合致すべき
では次のミッションはどこの会社のミッションでしょうか?
「人々の心を豊かで活力あるものにするためにー
ひとりのお客様、1杯のコーヒー、そして一つのコミュニティから」
もうお分かりですね。これはスターバックスのミッションです。
お店で働いているパートナーたちは、スターバックスのミッションに基づいて、質の高いコーヒーを提供し、素敵な空間を維持し続け、時にはお客様の想像を超えた感動の接客を起こしてしまいます。
もともとブランドは、自分の家畜などに焼印を施し、他者の家畜と区別するために行われたものです。つまり他者(社)と区別するために施されたものです。今では他社と差別化するための名前、ロゴ、デザインなどの組み合わせたものにより、他者(社)の製品・サービスより優れており、それをお客様に認識させることによって、安心感を獲得でき、ブランドに「価値」が生まれると考えられています。
スターバックスのファンになっていただいているお客様には、それぞれの中に、スターバックスに対するポジティブな記憶や思い入れのあるストーリーがあり、特別な存在として確立しています。これこそがブランドです。
そしてそれを想起させるスイッチのようなものが、ダークグリーンの色であったり、「サイレン」のマークだったりするわけです。人々はスイッチを押されると、いつも通っている店の情景や、疲れた気持ちを解きほぐす香り、顔見知りのパートナーの顔が浮かびます。人によってはスターバックスで経験した特別なできごとを思い出し、心が躍ることもあるでしょう。
お客様がスターバックスに行く理由は、単にコーヒーを飲みたいから行くだけではなく、そこに行くことで何か元気になる、活力を貰いに行こうと思っているからではないでしょうか?スターバックスには、単なるコーヒーショップ以上のイメージや感情をお持ちなのではないでしょうか?
つまりスターバックスは、特にミッションについて世の中の人に声を大にして、叫んでいるわけではないのですが、そのミッションが人々の心に届き、ブランドとして定着しているのです。