東京オリンピック・パラリンピック大会終了に伴い、広告価値維持・向上を考える上でスポンサー企業との長期的なスポンサーシップアクティベーションの実施がカギに
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、東京オリンピック・パラリンピック大会競技種目の統括団体とスポンサー企業について調査し、競技統括団体の動向及びスポンサー企業の動向を明らかにした。
1.調査結果概要
東京オリンピック・パラリンピック大会を筆頭に、ラグビーワールドカップ、関西ワールドマスターズゲームズという世界規模のスポーツイベントの開催が控えていた2019年〜2021年の3年間は「ゴールデンスポーツイヤーズ」ともいわれ、大きなスポーツ振興および経済効果が期待されていた。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当初とは大きく異なる状況ではあったものの、この3年間でスポーツ産業に新たな投資の目が向けられたのは事実である。
一方、想定とは大きく異なる形でのゴールデンスポーツイヤーズ終了に伴い、企業のスポーツへの投資は冷え込む可能性もあり、スポンサー収入を財源に活動しているスポーツ産業の様々な競技の選手やチーム等にとっては、資金調達の難しい時代が来ることも考えられる。
2.注目トピック
競技統括団体の抱える課題
スポンサー企業は、自社の抱える問題を正確に捉え、目的を明確にした上で、スポーツスポンサーシップの実施、及び投資先を検討する必要がある。こうしたなか、単なる広告や看板による露出増加だけでなく、スポーツスポンサーシップの効果を最大にするために、近年重要視されているのが、「スポンサーシップアクティベーション」である。アクティベーション(Activation)は文字通り活性化を意味し、スポンサーシップにおいては、スポーツスポンサーシップを促進するために企業が行うマーケティング活動のことである。
スポンサーシップアクティベーションについて、本調査から見えてきた課題は、スポンサー企業とのアクティベーション事例に関する競技統括団体の認識の不十分さである。スポンサーシップアクティベーションはスポンサー企業主導で行っていくものと捉えられるが、より長期的な関係性を構築し、お互いの価値を高めていくためには、競技統括団体としてもスポンサー企業との共創に取り組んでいく必要があるものと考える。
一方、多くの競技統括団体においてスポンサーシップアクティベーションの必要性は認識しているものの、競技自体の強化や普及といった主力事業や運営地盤整備などとの兼ね合いで、スポンサーシップアクティベーションまで至っていないといった状況も見受けられる。この点については、自前ですべて実施するのではなく、外部団体の支援をうまく活用するなどの解決策もあるものとみる。
また、競技統括団体としての権利と選手個人の権利といった権利関係の明確化も課題である。個人競技で、選手がプロである場合など日本代表としての活動の少ない競技では、選手個人でスポンサー企業と契約をしていたり、マネジメント会社に所属していたりする。そのため、競技統括団体として有する権利と個人として有する権利が明確化されていないと、スポンサー企業にとっては想定していた便益を享受できないといった事象があるとされる。個の影響力が社会的に強くなっている昨今、競技統括団体は選手個人の有する権利と競技統括団体の有する権利をうまく調整し、選手や関係者の理解を得た上で、スポンサー企業に対しスポンサーメリットを提示していく必要があるものと考える。
調査要綱
1.調査期間: 2022年7月~12月 2.調査対象: 東京オリンピック・パラリンピック競技統括団体、国内スポーツスポンサー企業 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査ならびに文献調査併用 |
<スポーツスポンサーシップとは> 本調査におけるスポーツスポンサーシップとは、東京オリンピック・パラリンピック大会で実施された競技および競技統括団体に対してスポンサーを行っている企業の相互の価値交換の関係を示している。スポンサー企業の事例において、一部冬季競技のトピックが入る例外を除いて、夏季競技のみを対象としている。また、競技統括団体と同団体に対するスポンサー企業との関係を対象とし、東京オリンピック・パラリンピック大会や組織委員会関連のスポンサーシップは対象外としている。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 東京オリンピック・パラリンピック競技統括団体、国内スポーツスポンサー企業 |
出典資料について
資料名 | スポーツスポンサーシップの動向 ~東京オリンピック・パラリンピック終了後の現在地と展望~ |
発刊日 | 2022年12月26日 |
体裁 | A4 396ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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