クラウド化が急速に進展、システム基盤としてパブリッククラウドの利用が加速
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の民間企業を対象としてアンケート調査を実施し、ERP及びCRM・SFAといった業務ソフトウェアの利用状況を明らかにした。ここでは、クラウド基盤の利用率を経年比較分析し、公表する。
業務アプリケーションのシステム基盤でのパブリッククラウド利用率
1.市場概況
2022年6月から10月にかけて、国内の民間企業を対象としてERP(財務・会計、人事・給与、販売管理、生産管理・SCM)とCRM・SFAの導入実態に関するアンケート調査を実施し、509件の回答を得た。当社では同様の調査を隔年で実施しており、クラウド基盤(IaaS/PaaS)の利用率の経年比較分析を行った。
今回(2022年)の調査で特徴的なのは、業務アプリケーションのシステム基盤(利用環境)として、パブリッククラウドの利用率が大きく伸びていることである。
各領域で前回(2020年)調査の利用率と比較すると、財務・会計で2020年8.9%→2022年17.9%、人事・給与で同9.0%→同20.7%、販売管理で同5.9%→同15.2%、生産管理・SCMで同5.1%→同13.0%、CRM・SFAで同16.1%→同32.1%となった。2016年調査からの利用率の推移を見ても、近年、システム基盤としてパブリッククラウドの利用が加速していることがわかる。
2.注目トピック
DXの進展がクラウド化の追い風となる
クラウド化の背景には、DXの進展がある。スピードや柔軟性が求められるDXにおいては、クラウド(IaaS/PaaS、SaaS)の利用が不可欠である。
DXの機運の高まりにより、業務アプリケーションへの投資意欲はコロナ禍にあっても衰えることなく堅調である。特に、ERPは導入後10~20年も経過し、老朽化したシステムを使い続けているケースが多く、DXを進めるためにレガシーシステムからリプレイスする需要が拡大している。一方でCRM・SFAはERPより導入時期が新しく、DXにおけるデータ活用や事業強化を目的として、戦略的に新しいシステムを導入する企業が増えている。
3.将来展望
企業方針として、システム基盤をAWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、Oracle Cloud Infrastructureなどのパブリッククラウドにシフトする企業は増えている。その影響もあり、業務アプリケーションをオンプレミスからクラウド基盤に移行するニーズは堅調である。
アプリケーション側でも、SaaSの利用が拡大している。特にバックオフィス系のシステムは企業間での業務内容の差が小さいため、複数のユーザーにより共同利用するマルチテナント型のSaaSで利用しやすい。そのため、ITベンダーから提供されているサービスの種類が多い財務・会計や人事・給与といったバックオフィス系のシステムではSaaSの利用率が高まっている。
業務アプリケーションは、システム基盤、アプリケーションの両面で「クラウドファースト」での利用が進んでいくと予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2022年6月~10月 2.調査対象: 日本国内の民間企業 3.調査方法: 記名式郵送アンケート及びWebアンケートによる調査、ならびに文献調査併用 |
<ERP(Enterprise Resource Planning)とは> ERPとは、財務・会計、人事・給与、販売管理、生産管理・SCMなど基幹業務データを統合する情報システムを構築するための基幹業務管理ソフトウェアを指す。 <CRM(Customer Relationship Management)、SFA(Sales Force Automation)とは> CRMとは、企業が顧客管理や顧客サービス向上を行うCRMシステムを構築するためのソフトウェアを指す。SFAとは、営業担当者の行動管理や効率化を図るためのソフトウェアを指す。 <本法人アンケート調査について> 本調査では、日本国内の民間企業を対象として、ERP(財務・会計、人事・給与、販売管理、生産管理・SCM)及びCRM・SFAといった業務ソフトウェアの導入形態、導入環境、導入時期、更新予定、利用満足度、投資意欲等に関するアンケート調査を実施した。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 財務・会計システム、人事・給与システム、販売管理システム、生産管理システム・SCM、CRM・SFA、クラウドコンピューティング |
出典資料について
資料名 | 2023 ERP/業務ソフトウェアの導入実態 |
発刊日 | 2023年02月21日 |
体裁 | A4 280ページ |
価格(税込) | 220,000円 (本体価格 200,000円) |
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