地方の建築・土木企業の採用促進に一役買ったYoutube広告と大胆なオフィス改装
(画像=Song_about_summer/stock.adobe.com)

(本記事は、宮﨑 薫氏の著書『採用、教育、環境づくりで利益2倍!会社が変わる人づくり』=あさ出版、2023年1月23日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

「見せる」採用活動で、若者からの認知度アップを狙う

●採用YouTubeは広告優秀賞を受賞

新卒の採用活動は、いろいろな失敗を重ね、そこからさまざまなことを学び、改善を繰り返しながら、今に至ります。

その中でつねに課題となっているのが、「エントリーにつながるような興味・関心を、どうすれば多くの学生に持ってもらうか」です。

少子化で新卒採用の現場は、現在、学生優位の売り手市場です。しかも、建設業界全体が人手不足の状態ですから、大手ゼネコンも新卒確保に必死です。高卒・大卒、どちらの新卒者も彼らが根こそぎ持っていってしまいます。

そのため、当社のような地方の土木・建設会社が新卒学生を確保するのは簡単ではありません。

しかし、そこであきらめるわけにはいきません。

大手ゼネコンほどの認知度がない会社が確実に新卒者を採っていこうと思ったら、学生たちに「面白そうな会社だな」と興味・関心を持ってもらうことです。

そこでYouTubeの活用を開始。動画づくりや編集方法の勉強会を開いたり、視聴者数を上げるためのノウハウなどを専門家から学んだりしながら、現在、定期的に動画をアップしています。

そうした採用チームの努力の甲斐があってか、採用面接の際に当社のYouTube動画が話題になることも増えてきました。さらにありがたいことに、2020年にはこのYouTubeで建設業の広告優秀賞をいただきました。

●採用活動の一環で、オフィスも喫茶店風に

若い人たちに興味を持ってもらえるウェブコンテンツをつくっても、彼らが来社してみたら、「イメージと違っていた」となってしまっては元も子もありません。

当社は、環境整備によって「きれいな会社だ」とか「オフィスが整理整頓されている」といった印象を持ってもらえる自信はありました。ただ、それによって「冷たい感じがする」「堅苦しすぎる」といった印象を与えてしまってはいけません。若者を引き付けるには、ある程度のカジュアルさが必要です。

そこで、事務所のレイアウトを大きく変更しました。

まず、玄関部分の壁には、各現場で和気あいあいと楽しそうに仕事をしている社員たちの写真を掲示。2階の受付に行くまでの階段のところには、「経営計画発表会」(第3章で解説します)の第2部の余興タイムで社員たちが盛り上がっている写真を飾りました。

採用、教育、環境づくりで利益2倍!会社が変わる人づくり
(画像=『採用、教育、環境づくりで利益2倍!会社が変わる人づくり』より)

会社説明会等で来社した学生さんを含め、来社された方々は受付にたどり着くまでに、これらの写真を目にすることになります。それを見て、「なんかこの会社、楽しそうだな」という印象を持っていただこう、というわけです。

階段をのぼり切った踊り場には、これまでに当社が頂いた表彰状を掲示。これは、「楽しい」だけでなく、「きちっとした会社」というイメージもプラスしていただくことを意図しています。

そして、2階にある受付のドアを開けると、目に入るのはレンガ調の壁紙です。これは「カフェ」をイメージした演出です。こうすることで、「明るそう」とか「楽しそう」といった印象を与えることをねらっています。

このねらいはうまくいったようで、来社された方々からもしばしば「カフェみたいなオフィスですね」という感想をいただきます。採用試験で内定を出した学生さんたちに当社の印象を聞くと、「明るい」という答えが圧倒的に多く、我々の目論見は見事に達成できているようです。

採用、教育、環境づくりで利益2倍!会社が変わる人づくり
(画像=『採用、教育、環境づくりで利益2倍!会社が変わる人づくり』より)

「見た目」の重要性は、オフィスでも言えることだと思います。

とくに当社は現在、若い人材を増やしていくことに力を入れていますから、若い人を引き付けるようなビジュアルのオフィスをつくっていくことは不可欠です。

2022年11月には、本社のある敷地内に新社屋が完成。木造で温かみがあり、開放的な雰囲気のこの空間は、どちらかというと営業に活用するために建てたものですが、学生にも好評です。

今後も、若者に人気のある企業をいろいろとベンチマークさせていただきながら、オフィスの内装やレイアウト等も進化させていくつもりです。

採用、教育、環境づくりで利益2倍!会社が変わる人づくり
宮﨑 薫
株式会社コプロス代表取締役社長
1958年、山口県下関市生まれ。武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部卒業。米国建機会社で働いた後、父が経営する株式会社共栄土建(1991年に株式会社コプロスに改称)に入る。1995年より現職。工学博士。
コプロスは、創業1946年の「メーカー型総合建設業」。地元・下関のシンボル「関門橋」の施工を手がけるなど、多彩な土木・建築事業に取り組む一方、積極的な技術・工法の開発と導入に取り組む。とりわけ特許工法である「ケコム工法」は、国内では公益社団法人日本推進技術協会「黒瀬賞」、海外では国際非開削技術協会「No-Dig Award」を受賞するなど、世界一の技術として高く評価されている。また、近年ではケコム工法を応用して、地中に廃棄物をメタン発酵させる槽を設置するバイオガスプラントを開発するなど、さらなる分野への挑戦を続けている。

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