高速道路のなかには、みなさんがよく利用する知名度の高い路線から、知る人ぞ知るいわゆるローカルな路線までさまざまあり、それぞれ特徴があり、それが高速道路を走行する魅力にもなっています。私も、全国各地の高速道路を走行してきましたが、そのなかでもお気に入りの路線なのが、主に関西圏から中国地方、そして九州圏までを結んでいる、中国自動車道(以下 中国道)です。
中国道は、起点の大阪府吹田市の「吹田JCT」から山口県下関市の「下関IC」で終点を迎える、総距離約540kmからなる路線です。距離の長さは、東北自動車道(以下 東北道)に次ぐ全国第2位をほこります。東名高速道路(以下 東名)と名神高速道路(以下 名神)を合計した距離が約537kmのため、東名と名神を全区間走行するのと、ほぼ同じ長さということになります。
全国2位の長さをほこる中国道は、その長さゆえに他の路線ではなかなか味わえないドラマティックな景色や周辺環境の移り変わりがあり、随所に特徴が色濃くでてくるのでドライブしていて本当に楽しい路線です。
今回は、私のお気に入りの中国道のドライブポイントについて、詳しくお話ししていきます。ぜひ、中国道近郊の方だけでなく関東圏や東北地方などの方々にも、ぜひドライブしていただけたら幸いです。
目次
「山陽道」や「山陰道」と接続する路線との分岐が多め
中国道は主に中国地方を走る路線ですが、中国地方はほぼ中央部に中国山地が東西にのびております。そして南側の瀬戸内海側を山陽地方、北側の日本海側を山陰地方とよびます。
中国道は、中国山地に沿って通っており、中国地方のほぼ中央部を縦貫しています。中国地方を縦貫する高速道路は、開通当初は中国道のみでしたが、その後瀬戸内海側に山陽自動車道(以下 山陽道)が、日本海側に山陰自動車道(以下 山陰道)が開通します。
もともと、中国道から南北へ枝葉のようにのびる路線の存在はいくつかありましたが、山陽道や山陽道の登場により、その数が急増しました。そのため、中国道を走行していると分岐となるジャンクション(JCT)を多く見かけることになります。
ジャンクションの数が多いため、行き先を迷いやすくなりますので、自分が行きたい場所や行きたい方向を、あらかじめリサーチしてジャンクションの直前で迷わないようにすることが大事なポイントです。
起点から「吉川JCT」までは西日本屈指の大都市近郊区間
中国道の起点となる吹田JCTは、大阪中心地の北側に位置する部分で、そこから中国道は兵庫県に入ると宝塚市や西宮市の北側を経由しながら、神戸市へと入っていきます。
神戸市の先に位置する三木市の「吉川JCT」までは片側3車線通行となります。つまり交通量が多い地域となり、実際「宝塚IC」付近は渋滞ポイントとして有名です。
このように、中国道は起点から40kmほどまでの区間は都市部のなかを走行していきます。しかも、西日本屈指の大都市近郊区間となり特に起点から「中国池田IC」までの間は、モノレールや高規格の県道と並走する、都市部の景観がみられます。
近年は、新名神高速道路が「高槻JCT」〜「神戸JCT」まで接続したことにより、吹田JCT〜神戸JCTを走行しなくても、中国道や山陽道へ接続できるようになりましたが、ぜひ中国道起点付近の景観をみるために、あえて吹田JCT経由を選ぶのもおすすめです。
吉川JCT以降は中国山地の山々の間を通るのどかな風景
吉川JCTを過ぎると中国道は終点まで片側2車線通行となります。このあたりまでくると、周辺の中国山地の山々の風景がみえはじめ、前項でご紹介した都市部の景観から一気に自然の景観へと変化していきます。
街の規模も小さくなってくるため、インター間の間隔もだんだん長くなっていき、次のインターまで20km以上ある区間も多くなるのが、中国道の特徴でもあります。
中国山地の山々は、中部地方にそびえる日本アルプスの山々よりも低く、中国地方で一番標高の高い山である「大山」でも1729メートルのため、同じような景観が続く中央自動車道よりも、周辺の山々は低くみえます。
途中、そうめんで有名な「揖保川」などの河川や渓谷の周辺を通るため、山々の風景とあわせてみるのも、中国道のドライブをより楽しくしてくれます。
途中急カーブ連続区間アリ、制限速度も大幅低下
中国道も岡山県に入りしばらくいくと、岡山第3の都市である津山市へ入っていきます。津山市は、桜の名所で有名な「津山城」やご当地グルメである「津山ホルモンうどん」が有名です。
津山市を過ぎると、山岳地帯の多い中国道のなかでも、特にカーブや起伏の激しい区間へとだんだん突入していきます。このあたりは、冬期は雪による規制もたびたびかかる地域です。
岡山自動車道との分岐となる「北房IC」の先にある「北房IC」〜「新見IC」は、特に急カーブが連続する区間で、なかには「R=200」というカーブも存在します。
中国道は、通常の制限速度が時速80kmに設定されていますが、急カーブや起伏の激しい区間は、制限速度が時速60kmに減少します。制限速度の変化に十分気をつけたいところです。
【要注意】広島~山口は100km以上ガソリンスタンドが設置されていない区間がある
中国道は、起点から40kmの区間こそ西日本でも屈指の大都市近郊区間のため、交通量がそこそこありますが、それより先は西に進むにつれて交通量がどんどん減少していきます。
それに伴い、高速道路の休憩ポイントとなるサービスエリアも、利用者が少なくなることから規模が小さくなる。そして、採算がとれないことを理由に以前は設置されていたガスステーション(ガソリンスタンド)が、閉鎖されているところが多くなります。
その影響で、広島県広島市の北部に位置する「安佐SA」から山口県山口市を過ぎたところに位置する美祢市の「美東SA」までの約150kmの区間は、ガスステーションがない区間となっております。
中国道走行の際は、ガソリンの残量に特に注意をしつつ、早めに給油するように心がけるのがポイントです。ちなみに、東北道も終点サイドのサービスエリアでは、ガスステーションが閉鎖されており、設置されていない区間が長いところがあるため、要注意です。
中国道を上手に利用するポイント
中国道は前述のとおり、起点からしばらくの都市部の景観から、山岳地帯に入ってからのほのぼのとした風景の移り変わりが楽しめる路線です。私も、その移り変わりの差が好きで中国道をたびたび走行したくなります。
関西圏〜九州圏の移動は、近年山陽道を利用される方が多いため、中国道は全般的に交通量が少なく、快適に走行できるのもポイントです。ただし、スピードの出しすぎには注意が必要です。
津山市や三次市など、岡山県や広島県の北部の都市も魅力的なところが多く、これらの都市へ観光でおもむきながら、中国道をドライブするのもおすすめです。
時間に余裕がある方は、ぜひ全線通しての走行も中国道を堪能するにはおすすめの方法です。全距離540kmはかなり走りごたえがあり、走りきった時の達成感は、他ではなかなか味わえないものです。
ぜひ、中国地方方面への旅行や予定を積極的に考えて、中国道をドライブする機会をつくってみてはいかがでしょうか。みなさんの思い出に残ること、間違いありません。