2017年のオーダーメイド医療関連市場を8,018億6,000万円と推計
~市場は分子標的薬の広がりを背景に伸張を続けており、開発も活発化~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のオーダーメイド医療関連市場を調査し、関連する各市場の動向、参入企業の事業展開、今後の方向性などを明らかにした。
オーダーメイド医療関連市場予測
1.市場概況
近年、患者それぞれの遺伝的な違いなどを考慮に入れ、個人に最適な治療計画を実施するオーダーメイド医療が注目されている。本調査では、患者毎に医薬品の効果や副作用を判別するコンパニオン診断に関連する診断薬や臨床検査受託サービス、分子標的薬に加え、DNAチップや次世代DNAシーケンサーを対象として、2017年の国内オーダーメイド医療関連市場規模を8,018億6,000万円と推計した。
市場は分子標的薬の広がりを背景に伸張を続けており、医薬品や診断薬の開発も活発化している。2018年の同市場規模を前年比104.8%の8,403億円と予測する。
2.注目トピック
次世代DNAシーケンサについて
国立がん研究センター等が開発を進めていた “がん関連遺伝子パネル検査システム” を用いて行う “個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査” が、2018年4月に先進医療として承認された。同時に国立がん研究センター中央病院にて検査がスタートしている。
検査は、次世代DNAシーケンサ(NGS)を用いて実施される。抗悪性腫瘍薬による治療を検討している、またはその可能性がある、治癒切除不能または再発の病変を有するがん患者を対象として、国立がん研究センター研究所で開発したがん関連遺伝子の変異、増幅、融合を1アッセイで検出可能なマルチプレックス遺伝子パネル検査試薬である「NCC オンコパネル」を用いて解析し、actionableな遺伝子異常を有する症例の割合を求めることで、遺伝子プロファイリング検査の臨床的有用性を検証するという内容となっている。NGSを用いたクリニカルシーケンスの実用化という側面で、遺伝子関連企業やドクターから大きな期待を寄せられており、今後の動向が注目されている。
3.将来展望
2021年の国内オーダーメイド医療関連市場規模は9,405億円になると予測する。
オーダーメイド医療関連市場は、分子標的薬と診断薬が牽引する形で、今後も市場が拡大する見通しである。新しい疾患関連遺伝子に関連する遺伝子診断など、新規技術が活かされる可能性も高く、診断薬メーカーをはじめとしたバイオ関連メーカーにとって、一定のビジネスチャンスがあると言える。最新の研究開発動向を捉え、自社技術を活かした製品を先行投入することで、特定領域市場のシェアを確保することが、売上を伸張させる重要なポイントになると考える。