2022年度のスマート農業の国内市場規模は303億円の見込
~化学肥料の価格高騰に伴い、肥料の施肥量を低減する可変施肥対応の田植機、ドローンや衛星画像によるリモートセンシングが普及拡大~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内におけるスマート農業市場を調査し、市場規模、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
スマート農業国内市場規模推移と予測
1.市場概況
2022年度のスマート農業の国内市場規模は前年度比122.4%の303億200万円の見込みである。
2022年度は、利用者が拡大している農業クラウド、圃場(ほじょう)の水管理が遠隔で出来るスマート水管理システムなどの栽培支援ソリューションが牽引、化学肥料の価格高騰で施肥(せひ)量低減につながるドローンや衛星画像によるリモートセンシングが普及拡大している。また、省力化を可能とするロボット農機は実証試験が終わり、今後販売が開始されるとみられる。
2.注目トピック
化学肥料の価格高騰に伴い、可変施肥対応の田植機や、ドローンや衛星画像によるリモートセンシングを利用した可変施肥が普及
2022年以降、世界的な穀物需要の増加やエネルギー価格の上昇に加え、ロシアによるウクライナ侵略等の影響により、化学肥料原料の国際価格が大幅に上昇し、化学肥料価格が高騰している。
このような中、可変施肥対応の田植機や、ドローンや衛星画像によるリモートセンシングを利用した可変施肥システムの普及が拡大している。可変施肥システムにより、作物の生育不良の箇所だけにピンポイントで肥料を散布することができ、生育のバラつきを解消することに加えて、余分な肥料の施用や労力の削減にもつなげることが出来る。
3.将来展望
2028年度のスマート農業の国内市場規模は624億3,400万円まで拡大すると予測する。
様々なデータを共有・活用できる「農業データ連携基盤(WAGRI)」「農機オープンAPI」の運用が始まり、スマート農業に関するあらゆるデータ共有化が始動したことから、今後はより一層のデータ共有化・連携が進むと見られる。
さらに通信技術(5G、ローカル5G)の進展により、スマート水管理システムなどの栽培支援、ロボット農機・リモートセンシングなど精密農業等、スマート農業全般の普及拡大に期待がかかる。
調査要綱
1.調査期間: 2022年5月~12月 2.調査対象: スマート農業参入事業者、農業生産法人<水稲 / 農園芸(野菜・果樹・花き)>、関連団体・協会、管轄官庁等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用 |
<スマート農業市場とは> 本調査におけるスマート農業とは従来からの農業技術と情報通信技術を連携させることで、更なる生産の効率化や農作物の高付加価値化を目指すものであり、農業の生産から販売まで情報通信技術を活用した、高い農業生産性やコスト削減、食の安全性や労働の安全等を実現するものである。 対象分野は①栽培支援ソリューション、②販売支援ソリューション、③経営支援ソリューション、④精密農業、⑤農業用ドローンソリューション、⑥農業用ロボットである。 なお、国内市場を対象とし、事業者売上高ベースで市場規模を算出した。市場規模には、農業向けPOSシステム、農機・ドローンなどのハードウェアは含まれていない。 |
<市場に含まれる商品・サービス> ①栽培支援ソリューション(農業クラウド、複合環境制御装置、スマート水管理システム)、②販売支援ソリューション[農作物の販売先(食品関連事業者・JA)の業務をICTで軽減するシステム、気象データなどを利用した販売支援サービス、等]、③経営支援ソリューション(農業向け会計ソフト、農業法人向け会計支援サービス、気象データなどを利用した経営支援サービス、等)、④精密農業[GPSガイダンスシステム、自動操舵、ロボット農機システム(スマート田植機システム、ロボットトラクター)、衛星情報を活用したシステム、等)、⑤農業用ドローン ソリューション(ドローンを利用した農薬・肥料散布サービス、圃場センシング、等。ドローンのハードウェアは含まない)、⑥農業用ロボット[設備型ロボット(接ぎ木ロボット等)、マニピュレータ型ロボット(収穫ロボット等)、アシスト型ロボット(パワーアシストスーツ等)] |
出典資料について
資料名 | 2022年版 スマート農業の現状と将来展望 ~省力化・高品質生産を実現する農業IoT・精密農業・農業ロボットの方向性~ |
発刊日 | 2022年12月26日 |
体裁 | A4 710ページ |
価格(税込) | 209,000円 (本体価格 190,000円) |
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