コロナ禍における中小企業の資金繰りを支援してきた「ゼロゼロ融資」の実行が終了し、返済期に突入する企業が増えてくる。しかし、このタイミングで円安や物価高の影響が広がり、経営改善の見通しが立たない中小企業では、資金繰りの悪化が心配される。

資金繰りは会社の生命線であり、会社の倒産を免れることができるのなら手段は選んでいられないと考えるかもしれない。しかし、高金利な借り入れに無策で手を出すと、かえって資金繰りが悪化し、回復しようのないダメージを受けることがある。

目次

  1. 資金繰りが苦しい時の8つの対策
    1. 1.融資の申し込み
    2. 2.返済のリスケジュール
    3. 3.専門家への相談
    4. 4.支出の見直し
    5. 5.不要な資産の売却
    6. 6.経営セーフティ共済からの貸付け
    7. 7.社債・株式発行
    8. 8.災害によって資金繰りが悪化している場合
  2. 資金繰りが苦しい時にやってはいけない4つのこと
    1. 1.ヤミ金融からの借り入れ
    2. 2.融通手形の発行
    3. 3.ビジネスローンの利用
    4. 4.ファクタリング
  3. 資金繰りが苦しいときの相談先
  4. 資金繰りが苦しいときは早期にプロに相談しよう
資金繰りが苦しいときの8つの対策と4つのNG行為
(画像=tiquitaca/stock.adobe.com)

資金繰りが苦しい時の8つの対策

資金繰りが苦しいときはどのように乗り切ったらよいのだろうか。以下に8つの対策を紹介する。

1.融資の申し込み

資金繰りが苦しい時の融資の申し込み先としてはまず、金利が年1%程度である日本政策金融公庫などの政府関係金融機関を検討し、次に銀行や信用金庫の順で検討することをおすすめする。すでに金融機関から融資を受けている場合でも、条件を満たせば、追加融資を受けられる可能性がある。

2.返済のリスケジュール

融資を返済している最中の企業であれば、返済スケジュールを見直すことで資金繰りを改善できる可能性がある。返済先の金融機関の担当者に相談してみよう。

信用保証協会の保証付きである複数の融資を一本化する借換保証によって、月々の返済が楽になることもある。

(参考)全国信用保証協会:資金繰り改善をお考えの方

3.専門家への相談

資金繰りが苦しくなった原因を解明しなければ、いくら資金を調達しても資金の減少が止まらないことがある。何が原因なのか、まずは財務諸表や試算表を使っておおまかな数字の増減を把握し、その上で、数字の中身を現場の変化と照合して分析することが重要だ。

原因解明が早くて正確であるほど、有効となる対策の幅も広くなる。そのため、資金繰りが苦しくなった時は、早めに経営の専門家に相談することも検討しよう。