医者が教える 心がバテない健康法
野田 泰永
医学博士。医療法人春陽会理事長。日本循環器学会認定専門医。日本医師会認定健康スポーツ医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1962年愛知県名古屋市生まれ。1986年筑波大学卒業後、帝京大学医学部附属病院、東京女子医大病院、筑波大学附属病院、国立病院医療センターに勤務。循環器外科の診療に従事する。1992年に東京厚生年金病院で外科医長として勤務後、1998年、名古屋市天白区にサクラクリニック開院。高血圧病、糖尿病などの生活習慣病を中心に、最新の医療情報に基づいた医療を行う。

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缶詰の魚をうまくとりいれましょう

青魚をはじめとする魚介類は必須アミノ酸を豊富に含んでいるたんぱく源です。

中でも率先してとりたいのが青魚といわれるアジやサンマ、イワシやサバなどです。

これらの青魚は比較的安価で手に入りやすいことに加え血液にもいいEPA(エイコサペンタエン酸)という成分がたくさん含まれています。

EPAはもともとオメガ3系脂肪酸という脂質の一種で血流の流れをよくして動脈硬化などの原因にもなる血管の詰まりを防ぐ働きがあります。

EPAは体内ではαリノレン酸という脂肪酸から合成されます。

現代人の普通の食事では一日のEPAの必要量を満たすのはむずかしいので缶詰などから摂取するのも一つの方法です。

EPAは加工して元の成分が失われにくいので生の魚で調理するのが面倒なときは缶詰を利用するのもお勧めです。

ちなみにEPAは青魚のほかにも鮭やマグロなどにも含まれています。

マグロは比較的高価ですが、鮭であれば気軽に購入することができます。

鮭には抗酸化作用によって動脈硬化を予防する働きがあるアスタキサンチンという色素や免疫力を高めるビタミンDが豊富に含まれています。

缶詰は料理のアレンジにも使いやすいのと、缶詰の汁には魚の成分がたっぷりと含まれているので、その分栄養素もとることができます。

鮭の缶詰を利用した「豆乳煮込み」やサバを使った「トマト煮込み」、「サンマの梅煮」など健康を考慮しつつ美味しい料理もあります。

野菜はスープでとりましょう

野菜はビタミンや食物繊維、そしてミネラルが豊富に含まれているため健康には欠かせない食材です。

ほかにも動脈硬化から身を守る作用をもつ「フィットケミカル」という成分も含まれているので積極的に食べることをお勧めします。

野菜には色が濃い緑黄色野菜と色がうすい淡色野菜の二種類があります。

特に緑黄色野菜は健康には欠かせない成分を豊富に含んでいるため、積極的に調理などでたくさんとり入れてほしいと思います。

緑黄色野菜の代表ともいわれるのが小松菜、ホウレンソウ、ニンジン、ブロッコリー、トマト、ピーマン、モロヘイヤなどです。

緑黄色野菜には抗酸化作用の高いβカロチンや先にあげたように動脈硬化を予防するフィットケミカルが豊富に含まれています。

そのため、毎日の食卓に必ず一品は加えるようにしてください。

厚生労働省では一日の野菜摂取量の目安である350グラムのうち120グラムは緑黄色野菜をとることを推奨しています。

しかし現実的にはほとんどの人の野菜摂取量は一日平均300グラム以下です。中でも緑黄色野菜は100グラム程度しかとれていないと報告されています。

つまり日本人のほとんどが野菜不足ということがいえます。

生野菜なら手のひら分で100グラム程度、おひたしにしたら小皿一枚分で約70グラムが目安とされています。そのため、生でたくさんの野菜を食べるのは大変なことといえるでしょう。

しかし、火にかけてスープにすることでカサの量は減らせますし、その分たくさんの野菜を体にとり入れることができます。

本来の野菜がもつビタミンやフィットケミカルなどの成分はすべてスープに溶けるので、野菜の栄養素を丸ごと吸収することも可能です。

調理のときに気をつけたいのが塩分をとりすぎないことです。

そのためにも天然の出汁をきかせて薄味に仕上げるようにしてください。野菜は加熱すると壊れやすい成分(ビタミン)もあるのであまり長時間は火にかけないように注意してください。