ヨーヨー社労士が実現!働きやすく多様性のある社会
(画像=プロパートナーONLINE)

ヨーヨーの全日本大会女性部門チャンピオンという一面を持ちながら、
2017年に社労士事務所を開業したスピカ社会保険労務士事務所の代表・飯塚知世氏。
税理士事務所や音楽の制作会社での勤務を経て、社労士を志したきっかけは一体何だったのでしょうか。
現在も、社労士の枠を超えて幅広く活躍されている飯塚氏の成長の秘訣や、
事務所の特徴、そして今後の展望に迫ります。


Q1 飯塚先生が社労士を目指したきっかけを教えてください。

大学卒業後は、税理士事務所や音楽制作会社で勤務していました。
​​税理士事務所に勤めていた23歳のときに、突然命に関わる病気を患い、
働くことが困難になるということがありました。
当時は、在宅勤務やフレックスタイム制など柔軟な働き方が一般的ではなかったため、
体調が悪化すると休みがちになってしまい、
病気によって思うように働けなくなることを経験しました。
また、急に働けなくなった場合の社会保障制度の重要性を感じました。

病気が完治した後に就職した音楽制作会社では、経理や人事などバックオフィス全般を経験。
もともと音楽が好きで入社したので楽しく働いていましたが、
とても忙しい業界で、バックオフィス業務をしながら、
マネージャー業やレコーディングの立ち合いなど、現場の仕事も行っていました。
事務作業などを効率化させて時間を捻出しなければ、
あらゆる業務が回らなくなってしまうため、
時間と場所に捉われず業務が行えるように積極的に
クラウドシステムを活用したりして効率化を図りました。

病気を経て、働く環境や社会保障の重要性を感じたこと
バックオフィスでの経験を活かせることから、社労士を目指しました。
2014年に社労士資格を取得し、今年で開業6年目になります。


Q2 「ヨーヨー社労士」として活動することで、
社労士業務にどのような影響がありましたか。

両親の仕事の都合で海外に暮らしていた11歳の頃に、
ヨーヨーを買ってもらったことがヨーヨーを始めるきっかけでした。
そこからヨーヨーの技の多彩さに魅了され、夢中で練習し、
今では日本やアジア、世界大会にも出場しています。
先日開催された全国大会では3連覇を果たすことができました。
ヨーヨーは、私の体の一部のようなもの。
ライフワークの一つとして、今後も技術を磨いていきたいと考えています。
ヨーヨーの活動を続けていきたいと思ったことも、
社労士として独立を決意した一つでもあります。

現在では、自分の強みであるヨーヨーと社労士を掛け合わせ、
「ヨーヨー社労士」という独自のブランディングを行うことができています。
このブランディングによって、コカ・コーラヨーヨーや
ハイパーヨーヨーブームを経験した経営者からお問い合わせをいただき、
顧問契約につながったり、SNSでの発信により事務所を知ってもらうことができ、
お問い合わせも増加しました。
顧問先やお問い合わせを獲得できることはもちろん嬉しいですし、
それ以上に、私自身の活動や事務所を応援してくれる方がいらっしゃることが、
大きな励みになっています。

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▲一般社団法人日本ヨーヨー連盟主催の全国大会では、2022年に三連覇を果たす(画像=プロパートナーONLINE)


Q3 顧問先で多い業種と、サポート内容を教えてください。

音楽や映像、ゲーム制作など、クリエイティブ業界へのサポートを得意としています。
クリエイティブ業界は、長時間労働や、深夜労働により、不規則な生活になりがちです。
経営者からは、従業員がこのような働き方を続けて、体を壊してしまったら心配という声や、
働く時間の管理を柔軟に対応したいなどの相談を多くいただいています。
私自身も以前働いていた業種なので、バックオフィスも現場も熟知していることから、
内情を深く理解したうえでのサポートが可能です。
経営者にとっても現場のクリエイターの方々にとっても、
ストレスなく働ける職場づくりを目指し、
フルフレックスの導入や深夜時間帯の業務を調整するなどの改善を行っています。

また、顧問先の働き方を改善していくために、
システムを活用した業務効率化支援にも力を入れています。
特に「freee人事労務」の導入・運用支援を得意としており、
四つ星アドバイザーの認定を受けています。
他にも複数のシステムを活用し、給与計算や勤怠管理、社会保険手続き、
就業規則の作成などを、クラウドサービスを用いて管理しています。
そして、顧問先との情報共有はクラウド上で可能なので、ペーパーレスを徹底。
システムについては、常に最新の情報をチェックしており、
機能のアップデート時などは、顧問先の疑問に素早く答えられるように心がけています。


Q4 現在、LGBTQの支援にも力を入れられていますが、
具体的にはどのような活動を行われていますか。

企業に対してSOGI(性的指向・性自認)に関わらず、誰もが公平に求められ、
能力を発揮できる職場環境づくりの支援や講演を行ったり、
社労士の先生方への勉強会を開催するなどを行っています。

ヨーヨー社労士が実現!働きやすく多様性のある社会
▲東京レインボープライド2022にLGBTQ職場支援を行う社労士の有志で出展(画像=プロパートナーONLINE)


社労士の先生方への勉強会では、事例検討やグループディスカッション、
LGBTQ当事者のゲストとの交流を通じて理解、知識を深めています。
全国社会保険労務士会連合会のYouTubeチャンネルにて
「LGBTQの労務管理の実務」というテーマでミニ講座を担当しており、
3万回以上の再生がありました。
2022年の秋から東京都全体でパートナーシップ制度の導入が予定されており、
同性同士の婚姻が法的に認められていない日本でも、
「結婚に相当する関係」と自治体からの証明を受けられるようになります。
そのため、今後ますます、LGBTQ当事者が働きやすい環境づくりが注目されると考えています。

しかし、社労士業界ではまだ、LGBTQ支援についての認知が低い状況です。
そのため、企業への相談だけではなく、社労士の先生方への働きかけも意識しています。
大企業だけが取り組むことではなく、
どの規模の企業にも必要な社会的意義が大きい活動だと捉えています。
今後も、LGBTQやダイバーシティに関する課題や相談が増えてくることが予想されるので、
今のうちから理解を深めていくことが重要です。


Q5 開業されてから今までで、一番苦労されたことは何ですか?

新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が初めて発令されたとき、
仕事と子育ての両立が困難になりました。
顧問先の相談がいつも以上に増えるなかで、
自分の子供を保育園に預けることができない状況となり、とても戸惑いました。
開業当初からペーパーレス化とオンラインでの対応を行っていたため、
事務所に出社をしなくても業務が途切れることはありませんでしたが、
子供たちが横にいる状態で集中して業務を行うことは難しかったです。
夜中や休日に作業をしたりと、体力的にも辛く、保育園のありがたみを実感しました。

これを機に、事務所を都心から地元横浜へ移転したことで、
保育園が休みになっても子供を事務所に連れて来られるようなキッズスペースをつくりました。
また、ヨーヨーの練習ができるように壁の一面に鏡を設置し、
仕事と育児とヨーヨーの両立ができるように工夫しました。


Q6 仕事のやりがいを教えてください。

顧問先から感謝の言葉をもらったときが、一番やりがいを感じます。
「対応が丁寧ですね、早いですね」と、声をかけてもらえることが多く、
私自身も、顧問先の方やスタッフに、日頃から感謝の言葉を伝えるよう心がけています。
「ありがとう」が循環している感覚があり、とても幸せな気持ちで働けています。


Q7 今後のご事務所の展望を教えてください。

事務所の組織力を高めていきたいと思っています。
私を含め3人の体制で、スタッフは全員社労士有資格者です。
育児と仕事を両立しているスタッフもいるため、
フルリモート、時短勤務が可能な体制にしています。

ありがたいことに、「ヨーヨー×社労士」のユニークさや、
「人事労務管理クラウドサービスに詳しい社労士」として、
私個人に興味を持っていただくことでご相談をいただく機会が増えています。
今後は私自身の個のイメージだけでなく、事務所の魅力も高めていきたいと思います。
そのために、採用に力を入れてスタッフを増やすことも一つですし、
一人ひとりの生産性をより高められるよう、育成にも力を入れたいです。

スタッフとのコミュニケーションを深めて、
組織としてどう成長していくのかに目を向けていくのかが今後の課題です。


Q8 座右の銘は何ですか。

「前途洋々」です。
今後の人生が明るく開けていて希望に溢れている様子と「ヨーヨー」を掛け合わせています。
これは、ヨーヨーと社労士としての活動を始めたときから大切にしている言葉です。
企業と、働いている従業員の方々が前向きに働けるようにサポートを続けていきたいですし、
私自身も働くうえでその意識を持ち続けたいと思っています。

プロフィール
飯塚知世氏
飯塚知世氏
スピカ社会保険労務士事務所
2014年に社労士資格を取得。
税理士事務所、音楽の制作会社での勤務を経て、2017年に新宿で開業。
その後、事務所を綱島に移転し、労務関連の各種手続きからクラウド導入支援やダイバーシティ&インクルージョンコンサルティングまで、幅広くサポートを展開。
また、ヨーヨーの選手としても活躍し、全国大会では2022年に3連覇を達成。
事務所経営と育児と選手活動を両立した働き方を体現している。
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