食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

2022年11月の豚肉需給は観光地などの地方を中心に、外食需要回復が見られそれなりの荷動きとなった。

量販店では国産品のほかにも価格優位性の高い欧州産解凍品の引き合いが強まった。日に日にコロナ感染者数が増加したこともあり、内食需要にも支えられ国産枝肉相場は例年と比べ高水準での推移となった。

一方で、気温は比較的暖かい日が多く、鍋物需要の本格化には至らなかった。枝肉相場は前月中旬以降落ち着きを見せていたため、月初は落ち着いていたが2週目には急伸を見せた。中旬以降は出荷頭数が安定していたこともあり、乱高下なく推移した。量販店でも国産生鮮品販売は堅調で、パーツによっては凍結品在庫が薄く、年末需要期の在庫ひっ迫が懸念される。

輸入品を取り巻く環境に大きな変化はなく、現地相場高だけではなく、為替円安のため調達は必要最小限となっている。中旬以降は円高に振れはじめたことや、国産品の強気な相場を受け輸入チルドを探す動きも出始めた。輸入フローズンは引き続き欧州産、とくにスペイン産を中心にバラ解凍品需要が高い。

11月の東京市場の豚枝肉相場は1日に上物税抜518円(税込559円)でスタートしたが、7日~12日の週の平均は547円に急伸した。直後の14~18日の週は514円と急落を見せた。21日~26日の週には524円と再び伸長した。この週は祝日を挟むことから、前後の価格差が注目されたが、大きな変動は見られず、最終週は月初に向けた手当もあり518円となった。月間を通じてそれなりの需要に支えられ、例年は500円を下回る水準まで下落するものの、大きく上回って推移した。12月は年末需要による買い支えが期待される。

〈供給動向〉
農水省が11月25日に発表した肉豚出荷予測によると、12月の全国出荷頭数は前年同月比2%減の147.7万頭と引き続き140万頭超えを予測している。1日当たりの出荷頭数は24日稼働の場合は6.2万頭前後で推移すると見られる。年明け以降も140万頭前後の出荷を予測している。

農畜産業振興機構の需給予測によると、11月のチルド輸入は前年同月比4.8%減の3万2,500tと予測している。引き続き北米の現地価格が高止まりし、為替相場も影響し前年を下回る見込みだ。フローズンはことし上半期に見られた前年を大きく上回る大量輸入とはならず、11月は0.6%増の4万4,600tを見込む。チルド・フローズン合計では引き続き7万t台を維持している。12月のチルドは11月並を見込むが、前年12月が少なかったため、昨対増を見込む。フローズンは現地相場高や為替の影響から昨対減が見込まれる。

〈需要見通し〉
12月は出荷頭数も安定が見込まれ、年末需要、他畜肉の高騰もあり豚肉需要が期待される。首都圏では1日から朝晩の冷え込みも本格化しつつあり、鍋物需要が期待される。量販店では引き続き国産生鮮品に加え、欧州産ベリー解凍品が中心となりそうだ。輸入チルドもそれなりには入ってくるものと見込まれる。国産冷凍品や輸入フローズンのベリーなどは在庫が薄く、パーツ相場もしばらくは強気な推移が続きそうだ。

〈価格見通し〉
12月1日の枝肉相場は、東京市場が上物税抜き517円(税込558円、前市比3円高)、関東3市場で521円(563円、1円高)でスタートした。農水省の予測からも、出荷頭数は140万頭を超え、安定供給が見込まれるため、月間を通じては例年通りクリスマス前後まではそれなりの引き合いに支えられるものと見込まれる。そのため、月間平均相場はもちあいから強もちあいと予測する。12月の月間平均相場は上物税抜きで530円~580円(税込570~630円)と予測する。

〈畜産日報2022年12月5日付〉