「グローカル」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「国際的視点を持ちながら、地域に根付いた行動をとる」という概念を意味し、近年、注目が高まっている。本記事ではその背景や、グローカル企業の事例、今後求められる人材像について紹介する。

目次

  1. グローカルとは?
    1. 意味は?
    2. グローカル企業とは?
  2. なぜ注目を集めているのか?
    1. グローカルの重要性・メリットは?
  3. グローカル企業の取り組み事例
    1. IKEA
    2. イオン
    3. マクドナルド
    4. ケンタッキーフライドチキン
  4. グローカルのデメリットは?
  5. 求められる「グローカル人材」
  6. 「グローカル」時代到来
  7. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
グローカル時代の到来 マックやイケア、イオンなどグローカル企業事例
(画像=moonship/stock.adobe.com)

グローカルとは?

意味は?

「グローカル(Glocal)」とは「グローバル(Global:地球規模・世界規模の)」と「ローカル(Local:地域・地元の)」を掛け合わせた造語だ。「地球規模の広い視野を持ちながら、地域に根ざした視点で行動する」という考え方を指す。

日本企業が海外展開する際のビジネス戦略の理念として1980年代に発祥し、世界規模の事業を行うグローバル企業と、近隣地域のニーズや特徴に適した事業を展開するローカル企業の双方の長所を取り入れたものだ。現在は環境問題、地域開発、政治、経済といった幅広い分野で用いられる。

グローカル企業とは?

グローカルを実践する企業を「グローカル企業」と呼ぶ。具体的には、世界的に事業を展開する中で、各国に現地法人を構えるなどして、その地域の習慣や文化、法制度などに合わせた商品開発や販売を行う企業を言う。

他にも、企業の拠点を大都市ではなく、小さな町に置いてローカルに活動しながらも世界に目を向けた事業を進める企業も含まれる。

なぜ注目を集めているのか?

グローカルの重要性・メリットは?

グローカルが注目を集める理由には、インターネットの普及によって加速したグローバル化の負の側面を解消できると期待されているためである。

グローバル化とは、社会や経済が国・地域の境界を超えて拡大する現象のことを指す。グローバル化はさまざまなメリットをもたらした一方で、文化や信仰、慣習などが異なる地域においては、世界的に画一化された水準は必ずしも受け入れられないという問題を浮き彫りにした。
そこで注目されたのがグローカルだ。世界規模の基準も保ちながらも地域に寄り添おうとする概念は、こうした問題を解決し、海外進出する企業において重要視される戦略となった。地域に根ざしたビジネスは、地元民に受け入れられやすく、ひいてはその地での経済活動を長く続けることを可能にする。

グローカル企業の取り組み事例

IKEA

北欧インテリアショップ「IKEA」はスウェーデン発祥の企業だが、「イケア・ジャパン株式会社」として日本法人化し、IKEAらしいデザイン性を保ちながらも、日本の住環境に適した商品展開を行うことで現在の人気を築いた。

イオン

イオンも2012年から中国、ラオス、インド、ミャンマー、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアなど、ASEAN(東南アジア諸国連合)を含めた地域に展開し、各国の文化や伝統に根付いた事業を展開している。

マクドナルド

アメリカの大手ファストフードチェーン「マクドナルド」のメニューは世界共通ではなく、各国の嗜好に合わせて味やサイズを変えている。 人気の「テリヤキマックバーガー」は日本のみで提供されているメニューで、グローカルの顕著な例と言って良いだろう。

ケンタッキーフライドチキン

同じくアメリカの大手ファストフードチェーン「ケンタッキーフライドチキン」も、国によってメニューやサイズを変えている。例えば、インドでは「ライスボウル」や、ベジタリアン向けメニューを揃えるなど、地元民に広く受け入れられやすい工夫を凝らしている。

グローカルのデメリットは?

海外展開する上で考えなければならないのは「カントリーリスク」だ。これは、進出先の国や地域における政治・経済の変化、自然災害によるリスクを指す。例えば、海外現地で暴動や戦争が起きたり、市場が混乱したりした場合には多大な損失を被る可能性がある。

こうしたリスクはグローカルに限らず、海外展開する上では避けられないリスクだが、経済協力開発機構(OECD)などが公表しているカントリーリスクの格付け情報を参考にしたい。。

求められる「グローカル人材」

グローカル企業の飛躍を背景に、グローカル人材育成の重要性も増している。

グローカル人材とは、国際的な視野を持って地域社会の活性化や持続発展に貢献する人材とされている。世界的企業を地域に誘致したり、逆に地域の企業を世界進出させたり、世界との架け橋として能力を発揮することを期待されている。

経済産業省や文部科学省はグローカル人材育成の重要性を説き、官民協働で教育改革を行うなどして力を入れている。

「グローカル」時代到来

グローカルとは、「グローバル」と「ローカル」という、相反する意味の2つの言葉をいいとこ取りした概念だ。急速にグローバル化が進んだことで生じた弊害を解決する考え方として世界的に注目されており、今後の国際社会において、重要なキーワードになるだろう。来たる「グローカル時代」に向け、しっかり心構えをしておきたい。

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