メリックス・ラボで大髙絵梨社長インタビュー
(画像=メリックス・ラボで大髙絵梨社長インタビュー)

文科省では毎年、給食の普及と充実を図り成果をあげた学校を表彰する「学校給食表彰」を行っており、優秀な成果をあげた学校及び共同調理場を「学校給食優良学校等」として表彰している。表彰を受けた学校の調理業務を令和元年、2年、3年と、3回続けて受託している給食サービス企業がある。それが、メリックス(株)だ。同社は学校栄養士の期待に応えながら、いかに安全・安心でおいしい給食提供を実現しているのか。大髙絵梨社長に同社独自の取り組みを聞いた。

「給食づくりの要は連携とチームワークだ。チーフ経験者で構成する給食現場巡回担当エリアマネージャーと、各校に配置された経験豊かなチーフの指示のもと、難易度の高い給食にもトライする。また、当社は現場と本社の距離が近い。現場経験者が本社中枢にいるからこそ、現場の課題を解決する熱量がある。現場で求められていることを素早く仕組み化して改善を図り、PDCAを回し、より良い給食運営につなげる力が我々の強みだ。」

現場と本社の連携から生まれた独自の取り組みを尋ねると次の3つが挙がった。

1つ目は、『ヒヤリハット対策チーム』

社内各部門から横断的メンバーを集め、各施設での事故未然防止の好事例や事故につながりかねないインシデントを毎月共有し、ルール化や改善を図るプロジェクトである。「各施設で人、設備、メニューが異なり、経験値も限定される。他施設のリスクを知ることで学びになり、改善意識が生まれる。コロナ禍で多人数での会議等にも制限があるので、本社と現場、現場と現場の対話にもなっている」と大髙社長はメリットを語った。

『ヒヤリハット対策チーム』から挙がった意見で業務内容がアップデートされることも多いという。「当社は、現場からの声で考える仕組みが定着している。安全・安心な学校給食を守るために、現場の考え方をタイムリーにすくいあげながら、会社としての共通目標やアクションにつなげている」と現場主義を強調した。

「ヒヤリハット対策チーム」会議で改善意識向上
(画像=「ヒヤリハット対策チーム」会議で改善意識向上)

2つ目は、『食育広報チーム』

若手社員も多数参加し、食養生や薬膳の観点を含めた栄養情報やレシピを毎月発信。各校の特別給食メニューや自治体・他企業のタイアップなども共有する。「他校の取り組みやタイアップ事例を知ることで、できることが増える。横の連携がかなりできるようになった」と胸を張った。

3つ目は、『ISO22000の取得』

2022年3月に認証取得し、全社を挙げてISOに沿った食品安全マネジメントシステムの運用に取り組んでいる。ISO14000とISO9001を取得している給食サービス企業は多いが、ISO22000はあまりない。

こうした取り組みを通じて、同社は衛生管理を向上させ、より安全・安心な給食提供に日々、努めている。最近では、様々な自治体から食育の仕方や食材に関する付加価値創造などの問い合わせを受けるという。

大髙社長は「学校給食の調理業務は衛生管理・時間管理・工程管理の3つを限られた人・設備で行う特別な仕事である。この、食と衛生のプロフェッショナルな能力は、給食に限らず、外食や食育など様々な場所で価値を生む。給食の新しい可能性を広げたい」と決意を語った。