食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

〈11月は頭数次第ではもちあいか、輸入は環境変わらず厳しさ続く〉
10月の豚肉需給は外国人の入国規制緩和によるインバウンド需要への期待感、全国旅行支援開始による行楽需要の高まりが地方を中心に期待された。

依然としてコロナ感染者数は少なくはなく再拡大への懸念は残る。それでもインバウンドや外食需要が回復に向かい始めている。さらに例年より早く、気温が下がりはじめたことで、量販店では国産品を中心にバラなどのスライス品が鍋需要に支えられ引合いが見られた。

月の前半を見ると、国産は出荷頭数が予測ほど増えず、足元では堅調な需要に支えられ、生鮮品パーツ相場も高値維持となったことで枝肉相場もこの時期としては異例の高値水準を維持した。それでも、月末につれ頭数も増加し、相場は急落となった。輸入品チルドは引き続く円安、現地相場が強気を維持していることもあり、厳しい状況は変わらず、最低限の手当に留まらざるを得ない。

フローズンは、外食需要の回復や量販店での解凍品の取り扱いが増加しつつあり、需要が増加している。上半期に相当量を輸入しており、今後は庫腹状況と需要とバランスが重要となりそうだ。

10月の東京市場の豚枝肉相場は3日に上物税抜627(税込677円)スタートし、4日~11日は税込で700円を超える水準を維持した。11日には712円(769円)とこの時期には異例の高騰となった。12日以降は頭数の増加もあり急落し、19日以降は税込550円前後での推移なり、31日の月末のみ528円(570円)と伸長した。

結果、月間平均相場としては、例年のように400円台突入には至らなかった。今後は出荷頭数増加に伴い、枝肉相場も落ち着くものとみられるが、輸入豚肉の高値、各種生産コストの上昇、堅調な末端販売が続けば、10月末の水準を維持し、年末の需要期を迎えることも想定される。

〈供給動向〉
農水省が10月25日に発表した肉豚出荷予測によると、11月の全国出荷頭数は前年同月比3%減の146.1万頭と140万頭超えを予測している。11月は「文化の日」と「勤労感謝の日」の2回の祝日を控えるが、飛び石連休のため、地方などでの行楽需要への期待は弱い。1日当たりの出荷頭数は21日稼働の場合は7.0万頭前後で推移するとみられる。12月、来年1月も140万頭を超える水準での出荷を予測している。

農畜産業振興機構の需給予測によると、11月のチルド輸入は前年同月比5.1%減の3万2,400tと予測している。引き続き北米における現地相場の高騰と、為替相場の変動などにより前年実績を下回る見込みだ。一方でフローズンは、9月まで見られたような前年同月を大幅に上回る増加率は落ち着くものの、スペイン産や米国産の輸入量が多いと見込まれ11月は0.4%増の4万4,500tを見込む。チルド・フローズン合計では7万6,900tと引き続き8万t 前後の輸入量を維持する見込みだ。

〈需要見通し〉
11月は出荷頭数の増加により、枝肉相場が安定するものとみられる。一方で気温の冷え込みから、量販店では鍋商材の需要が期待される。輸入品も外食需要が徐々に改善に向かい始めており、今後は本格的な需要回復を期待したい。

ただし、為替などコスト面では収益確保が難しい状況であり、影響を受けやすいチルドには苦難が続きそうだ。

〈価格見通し〉
11月1日の枝肉相場は、東京市場が上物税抜き512円(税込563円、前市比7円安)で、関東3市場で518円(559円、3円高)でスタートした。農水省の予測からも、出荷頭数増加が見込まれ、月間通じてはもちあい、もしくはジリ下げの展開が見込まれる。そのため、11月の月間平均相場は上物税抜きで500~550円(税込540~590円)と予測する。

〈畜産日報2022年11月2日付〉