佐藤実会長と川邉哲也社長/「国産とり肉の日」感謝状贈呈式
(画像=佐藤実会長と川邉哲也社長/「国産とり肉の日」感謝状贈呈式)

日本食鳥協会(佐藤実会長)は10月28日、「国産とり肉の日」感謝状贈呈式を開催し、国産チキン普及・啓発貢献者として、大分からあげ(大分県大分市、川邉哲也社長)に感謝状を贈った。

大分からあげは県内22店舗を中心に九州に35店舗を構え、鶏肉のからあげ及び弁当の製造販売、鶏肉加工品を製造している。

開催に当たり佐藤会長は「大分からあげ様は創業20年を迎える。当時は大分と言えどもからあげ専門店は少なく、専門店の元祖とも言える。当然、国産チキンを100%使用し、長い歴史の中で各部位バランスよく、商品開発している。川邉社長は鶏1羽をバランスよく商品化しており、今でこそ和牛1頭買いの焼肉屋は珍しくないが、鶏1羽丸ごとの商品化を目指すからあげ屋は画期的」と話した。

大分からあげの久木原善江常務は「20数年前に田舎に戻り、スーパーの中でからあげ屋を始めた。毎日、国産鶏肉を使用して色々なことを考えながら過ごしている。(感謝状)頂いてますます仕事に励んでいく」と謝辞を述べた。

〈川邉社長「売らずして売る、品切れ容認で過去最高益、圧倒的な本物が前提」〉
感謝状贈呈後には、川邉社長が「令和の商人道~実践的SDGs経営~」と題し、記念講演を行った。令和の商人道として▽売らずして売る▽待たせていい▽切らせていい▽食べ物は大切に扱う▽そんなに売らなくてもいい▽買いたいものをつくって売る――ことを紹介した。

昭和、平成を通じて日本社会がチェーンストア化する中で、待たせてはいけない文化・効率化が進められ、おいしさが損なわれてきたと指摘した。高級フレンチなどは時間をかけて食事をすることで「待つからこそうまい」とし、チェーンストアとして取り組みながらも、待たせて良いとの考えを示した。

そんなに売らなくていいについては「売れ残った時に、作り立てができるタイミングだったら、友人であれば伝える」とし、自分が買いたいものをつくって売ればいいとした。これらに取り組むことで、売らずして売るという状況ができる。しかし、多くのチェーンストアでは真逆のことをしていると指摘した。

食べ物を大切に扱う・フードロスに関しては、同社では店頭での品切れを容認している。毎月の廃棄率を集計することで、ある店舗では廃棄がゼロだという。ロスを減らすことで、売上・利益の減少が懸念されるが、実際には売上・利益ともに増加しており、利益面では過去最高益を記録している。

品切れ容認には現場の社員から、販売機会損失を懸念する声が挙がったという。これは品切れに対しては罪悪感を抱くものの、在庫を無駄に抱えて廃棄することに罪悪感を持っていないとした。チェーンストア業界では、機会損失を避けることが定着し徹底することで、そのトレードオフとしてフードロスが発生している。

機会損失を恐れるのは、前年比を意識しすぎる経営方針だとし、品切れを容認することで、フードロスを削減できる。消費者も企業の表層だけではなく、ロスの少ない企業を選ぶようになり、フードロスの無い店が選ばれると、品切れするから繁盛する、戦略的品切れが重要だとした。

ただし、商品やサービスのレベルが圧倒的に本物であり、ワン&オンリーであることが前提だとした。そのため同社では、商品は100%手作りであり、国産原料にこだわっている。鶏肉のほかにも米油など全ての食材で国産にこだわっている。さらにバランスよく部位を使うことで、鮮度の良い鶏肉を仕入れることが可能になる。

川邉社長は「鶏肉はサバと同じで鮮度が命。高速回転が重要だ。そのためには品切れ容認が必要だ。毎日やることで、客が味が分かるようになる。そうすれば品切れしていても買いたくなる」と自信の商人道を説いた。

〈畜産日報2022年11月1日付〉