矢野経済研究所
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2021年度の小売物流市場規模は前年度比105.1%の7兆9,000億円(速報値)

~EC化率の伸長、燃料費や人件費の値上げによる運送費の上昇が寄与~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は国内の小売物流市場を調査し、市場概況、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

小売物流市場規模推移・予測

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1.市場概況

2021年度の小売物流の市場規模は小売物流を担う物流事業者(物流専業者、物流子会社)の販売高ベースで、前年度比105.1%の7兆9,000億円(速報値)となり、前年度比で増加した。

主な要因として、小売業全体の市場規模拡大※1による物量の増加に加え、消費者向け物販における電子商取引(EC)化率の伸長※1による宅配便等のラストワンマイル物流※2の増加が挙げられる。加えて、人手不足に伴う人件費の値上げによる運送費、及び燃料費の上昇など、物流に関わる費用の増加がある。特に、消費者向けEC関連荷物の特徴である多品種、少量、小口化が進むことで荷役費や輸送費の上昇となり、なかでも物流コストが嵩むラストワンマイル物流の増加が、小売物流の市場規模を押し上げている。

※1. データ出所:経済産業省「商業動態統計」及び「電子商取引に関する市場調査」
※2. ラストワンマイル物流とは、一般消費者と物流の最終拠点を結ぶ事業者から一般消費者個人(BtoC)、一般消費者個人から同個人(CtoC)における配送サービスをさす。

2.注目トピック

ECを支えるBtoCのラストワンマイル

消費者のEC需要の高まりを受け、多くの小売事業者においてオンラインストアを拡大する動きがみられるが、ECにおいて必ず必要となるのがラストワンマイル物流であり、消費者への直接配送を手がける最大の担い手は宅配便事業者である。

ラストワンマイル物流を担う宅配便事業者における人手不足が深刻化するなか、宅配便事業者では増加基調にある荷物にも対応できる効率的な仕組みや体制づくりが必要となる。また、小売事業者においても再配達の削減や物量平準化への取り組み、積載効率の改善、消費者への協力の呼びかけなどに取り組んでいく必要がある。

3.将来展望

2022年度の小売物流の市場規模は小売物流を担う物流事業者(物流専業者、物流子会社)の販売高ベースで、8兆2,400億円(前年度比104.3%)になると見込む。前年度と比較して成長率の勢いはやや落ち着くものの、EC化率の伸長をはじめ燃料費や人件費の増加による輸送費の上昇など、主な拡大要因としては前年度と同様の傾向とみる。今後もこうした傾向が継続するものとみており、小売物流市場は拡大基調にあるものと考える。

調査要綱

1.調査期間: 2022年7月~9月
2.調査対象: 小売事業者、物流事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査、ならびに文献調査併用
<小売物流とは>
本調査における小売物流とは「小売業に関連する物流」であり、対象は販売物流と呼ばれる領域となる。具体的な物流機能は、物流センターにおける保管・荷役・流通加工・包装・梱包、物流センターから小売店舗までの配送、一部小売店舗内における館内配送、消費者への配送、一連の物流に関連する情報管理等が含まれる。

なお市場規模は、小売物流を担う物流事業者(物流専業者、物流子会社)の販売高ベースにて算出している。そのため、商品の仕入れ代金に含まれる物流費や、物流事業者以外へ委託した場合の物流費用、小売事業者自らの事業活動の一環で行った物流費用は含まれない。また、小売事業者のグループ会社の物流事業者による流通加工は含まれるが、小売事業者自らが流通加工をする場合は含まれない。なお、小売事業者には無店舗小売店も含み、小売事業者による電子商取引(以下、EC)の物流も対象とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
物流センターにおける保管・荷役・流通加工・包装・梱包、物流センターから小売店舗までの配送、一部小売店舗内における館内配送、消費者への配送、一連の物流に関連する情報管理等

出典資料について

資料名2022年版 小売物流市場の現状と将来展望
発刊日2022年09月29日
体裁A4 153ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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