江上越(えがみ えつ)は1994年千葉県出身。2016年にCentral Academy of Fine Arts(北京)を卒業。2017年にHFG Karlsruhe in Germany(ドイツ)へ留学し、2019年Central Academy of Fine Arts(北京)修士修了。海外での経験をもとに、コミュケーションをテーマとする作品を発表している。近年では肖像画において、その本質を問いながら絵画表現の可能性を追求。2021年には、Forbes Asiaが選ぶ世界を変える30歳未満の30⼈「Forbes 30 U30」を受賞するなど、国内外から注目を集める若手アーティストである。

出典:https://www.woodone-museum.jp/

コミュニケーションの本質を問いかける肖像画

北京とドイツに渡る前にも、一時期をアメリカで過ごしたことがあるという海外経験が豊富な江上越。母国語が通じない環境下で「耳」を信じるべきなのか、それとも「目」を信じるべきなのかで悩み、“外国人”として過ごす日々の中で「人は互いにコミュニケーションをとるが、それは近づくためではなく互いの距離を知るため」であることに気がついたそう。言葉が通じず、コミュニーケーションの障害を感じると同時に可能性を発見した江上越は、そこからコミュニケーションの本質を掘り下げるように。

そうして江上越がたどり着いた表現が、「にじいろの肖像画」だった。油絵具の太い線で色彩豊かな描かれるにじいろは、それぞれの色がピュアであり美しくも交わらず、希望や夢の象徴であるところが、江上越が抱くコミュニケーションに対する認識と一致しているそう。

《RAINBOW–2021–T-10》(2021) ©︎EgamiEtsu
出典:https://www.tangcontemporary.com/

《RAINBOW–2021–T-15》(2021) ©︎EgamiEtsu
出典:https://www.tangcontemporary.com/

《RAINBOW–2021–T-3》(2021) ©︎EgamiEtsu
出典:https://www.tangcontemporary.com/

《吾輩は猫である》(2021) ©︎EgamiEtsu
出典:https://store.tsite.jp/

江上越自身が抱いたその人物に対しての印象や認識を介して表現される肖像画は、抽象的でありつつも、その人の骨格や表情、醸し出す雰囲気さえも感じ取れる。従来の固定概念から飛び出したにじいろの肖像画は、ぬくもりと力強さが共存し、言語を超えて互いのコミュニケーションを深めてくれるような芸術である。そんな江上越の展覧会が広島のウッドワン美術館で開催中。是非足を運んで、絵画とのコミュニケーションを楽しみたい。

【展覧会情報】

「憑りつかれる魂 江上 越が問いかける近代、その地平」
本展では、江上がリスペクトする近代日本の洋画家・黒田清輝や岸田劉生、安井曾太郎をはじめ、ファン・ゴッホ、ルノワールへのオマージュ作品55点とあわせ同館収蔵品11点を展覧。最新作と江上越自らが選ぶ近代洋画のコラボレーション展示が楽しめる。

〜4つの見どころ〜

①日本の近代を問い、近代洋画の新地平を拓く
江上越の新作 55 点を初公開。芸術表現をとおして、近代日本のあり方を見つめ直す江上。本展では明治~昭和戦前の洋画家たちの姿を、彼らを取り巻く社会の動きの中に見据え、一人一人の画家がどのように時代と向き合い、自らの表現を生み出していったのか、それぞれの夢や憧れ、葛藤に想いを馳せながらその肖像を描き出します。

②現代アーティスト・江上越と、当館収蔵の近代洋画のコラボレーション展示
本展では、江上がリスペクトする近代の洋画家たち、高橋由一や浅井忠、黒田清輝、藤島武二、岸 田劉生、小出楢重、梅原龍三郎、安井曾太郎、藤田嗣治、そして近代の洋画壇に大きな影響を与え たファン・ゴッホ、ルノワールの 11 作家を取り上げ、江上の新作とともに江上がセレクトした当館収蔵品 11 点を並べて展示します。

③国内外の名だたる評論家、キュレーターが本展図録に寄稿
建畠晢氏(多摩美術大学学長)、土方明司氏(川崎市岡本太郎美術館館長)、ジャン=バティスト・クレ(ルーブル美術館学芸員)、マヌエラ・モスカティエッロ(パリ市立チェルヌスキ美術館学芸員) ※図録は2022 年10 月20 日頃刊行予定

④10 月1 日、2 日に対談イベントを開催
ゲストに、日本の近代洋画史を専門とする土方明司氏と、アジアの近現代美術を専門とする建畠晢氏をお迎えし、江上の新作や本展のテーマである「近代」および近代洋画とその地平について語ります。

期間:2022年10月1日(土)〜12月4日(日)
場所:広島 ウッドワン美術館(〒738-0301 広島県廿日市市吉和4278)
休館日:月曜日(※10月10日は開館)
開館時間:10時〜17時(入場は16時半まで)
入館料:一般 1,400円/高校・大学生 700円(中学生以下は無料)
公式HPhttps://www.woodone-museum.jp/

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文:ANDART編集部