旭食品・竹内慎代表取締役副社長
(画像=旭食品・竹内慎代表取締役副社長)

旭食品東京支社の取引先メーカー組織、関東旭友会は10月20日、東京・目黒のホテル雅叙園東京で第5回定時総会および懇親会を開催し、会員メーカー45社の関係者や旭食品・グループ企業幹部ら、100人あまりが参集した。

定時総会では、同社グループの関東での事業内容について、旭食品の竹内慎代表取締役副社長が説明した。

旭食品東京支社および外食事業本部(業務用部門)含めたグループの関東エリアにおける2022年度の売上高計画は、前年比109.1%の1,244億円と8年連続の増収を計画。外食市場の回復と、SM(スーパーマーケット)・DgS(ドラッグストア)の伸長を見込む。竹内副社長によれば上期の売上高は予算比101~102%と堅調に推移。2020年度に大きく減少した業務用が回復したことと、広域量販店やSM、DgS事業の拡大がけん引しているという。

収益面で経常利益の2022年度計画は前年比117.4%の15.3億円に設定。総合食品卸の伸長と業務用卸の回復を見込み、2020年度から3期連続の増益を計画する。竹内副社長は「関東エリアでは2019年度に物流センターの整備が一通り進み、それ以降コストコントロールがうまくできるようになったことが増益につながっている。現状、上期の収益は計画通り来ているが、7月以降電気代が2割近く上がり、年間では億単位の減益インパクトになる。来年以降もそれが見込まれ、一層のコストコントロールが必要になる」など話した。東京支社および関東エリアの今期の施策についてトピックを挙げて説明した。

デジタル活用での販促では、2022年8月、レシピ動画サイト国内2強の「デリッシュキッチン」を運営するエブリー社に出資。デジタルサイネージを導入している大手得意先に対し、売場と連動させた広告配信など新たな販促手法の確立し、その導入結果を他の得意先へも横展開していくことを目指す。なお、エブリー社には同業の伊藤忠食品、加藤産業も出資しているという。

物流面では2021年9月、常温の春日部センターを賃貸物件で新設。新規帳合増や主力取引先出店による冷食取扱が増加したことから自社物件の埼玉センター(さいたま市岩槻区)内に冷凍庫を増設するため、近隣の春日部センターに常温を移管。埼玉センターでは2021年11月に冷凍庫を設置した。「市販冷食は伸び率が大きく、毎年10%を超えて伸長しており、冷凍センターのキャパを拡大した。低温物件は賃貸料金が高いため、自社物件を持つことでより低いコストで運営する」(竹内副社長)という。

群馬の新規顧客向けの玉村センター(常温)を2022年3月、賃貸で新設。2022年9月、土浦常温センターの3分の1(約300坪)に冷凍庫を設置するなどセンター再編を行い、物流費削減に繋げたという。

外食事業本部では、コロナ禍以降の2020年2月~2022年2月の2年間に、拠点整理を行い、リソースの再配置を推進。業務用食材卸・旭フードサービス関東の土浦支店閉鎖(旭食品関東支店に譲渡)、寿司ねた卸・大倉の出張所閉鎖・統合、水産物中心の業務用卸・かいせい物産の新規事業撤退などを行った。

一方、足元では新たな体制を構築。かいせい物産では2022年8月、足立事務所を東京都中央卸売市場足立市場に開設し、都内城北地域、埼玉南部、千葉北部への販売強化を図る。大倉では2021年10月、グループ会社のデリカサラダボーイから水産物加工業の「えひめ工場」(愛媛県松前町)を移管。ベトナムのサクラフードに続き自社製造商品を拡大し、量販・外食チェーンへの対応力を強化した。

同社では2022年10月、老朽化した新潟支店を移転するとともに、2022年4月沖縄、11月静岡、来年4月札幌(予定)と出張所を開設し、全国網を構築。8支店5営業所で全国主要都市を網羅し、トモシアグループ各社とも連携し、SM・DSの水産・惣菜部門や外食チェーンの開拓を進める。

なお、総会開会のあいさつは関東旭友会会長である味の素の和多見大作執行理事東京支社長が、懇親会の乾杯のあいさつは同副会長であるニチレイフーズの高橋健二首都圏支社支社長がとり行った。

〈冷食日報2022年10月25日付〉