新卒社員の半数が3年以内に離職すると言われ、大手から中小企業まで採用と育成には苦労しているでしょう。それゆえ、自社の社風に合う社員を獲得したい会社は多いはずです。そのためには、自社の社風というものが明確になっていなければならないはずです。本記事では、社風をいかにつくるか、そしてその社風に合う社員をどうやって採用したらよいか、解説していきます。
自社の社風とは
今自分が経営している、あるいは勤務している会社の社風はどのようなものでしょうか。自分で考えた上で、周囲にいる同僚や社外の人に尋ねてみてください。その際は「明るいか暗いかを5段階で表すとどうですか」など、定量的に判断できる聞き方をするとよいでしょう。
ヒアリングした内容は、自社が目指すイメージに近かったでしょうか。それとも目指すべき姿と異なっていたでしょうか。いずれにせよ、「誰に聞いても自分の考えと全く同じだった」という人は少ないはずです。
なぜでしょうか。例えば、あなたが会社の経営者だとして、自社を「清潔感がある会社」だと設定します。それでも、社員が例外なく同じように考えているはずはありません。「清潔感がある」という基準は、人によって異なってきますよね。
この「清潔感がある」を「毎朝、出社後10分は全員が清掃し、帰社時には机の上に何も置かない」と決めると認識のずれは起きません。感覚的な表現の「明るい」「清潔」「元気な」などの言葉は、人によって何を指すかがずれるので「自社の社風は」と聞いてもばらばらになるということです。
イメージを共有するためには、具体的なルールを設けて、全員がルールを守る会社をつくることから始めましょう。それが浸透することで、社風になっていきます。「朝礼で社訓を読む」など、全員で行うルールが社風をつくるのです。
ルールを守ることで組織の一員になる
あなたの家庭にも、「夕食中はテレビを見ない」とか「ゲームは17時まで」、「正月は必ず実家に集まる」など、さまざまなルールがあるでしょう。それを守ることで家族の一員になるはずです。
会社でも同じです。自社のルールがあり、それを当たり前に守ることで社の一員になるのです。社風をつくりたいならば、守らせたいルールをつくること、それを適宜変更しつつ、徹底して守らせること。これを繰り返すのです。
採用面接では、応募者に自社のルールを伝え、それに関してどのように感じるかをヒアリングしましょう。中途採用であれば、前職ではどのようなルールがあり、それに対してどう感じていたか聞くのです。前職のルールを批判する人は、自社でも時間が経つにつれて同じことをする可能性があるため、採用は見送った方がよいでしょう。
また、自社のルールを伝えた上で、自社に興味を持つことを質問していくことも大切です。何も興味がないのであれば、自社のルールをもとにどうしたいかなどを重ねて問うていきます。面接だけで人となりが分からないのであれば、試用期間を設けるなどして、採用後に自社のルールに順応することができるかどうか、言動をもとに判断するしかないでしょう。
自社の考えをシンプルに
今の社風を維持するか、新たにルールを決めて社風を変えていくかを考えることは大切です。よい社風はそのままに悪い部分を変えていくためには、慣習的なものを含め、今あるさまざまなルールを明文化して、シンプルに分かりやすいものにしていくことが有効です。
社風が生まれることにより会社が同じ方向を向き、そのルールに共感する人を採用することでより強い組織をつくることができるでしょう。採用を機会に、「社風=自社のルール」を考えてみることをお勧めします。