ダミアン・ハースト《Honesty (The Virtues, H9-5)》
(画像=ダミアン・ハースト《Honesty (The Virtues, H9-5)》)

ANDARTには、コレクター様などアート作品をお持ちの方向けの「出品サービス」があるのをご存じでしょうか? 作品を審査のうえ、ANDARTがサイトに掲載し、共同保有作品としてオーナー権を小口販売します。

現在取り扱い中のダミアン・ハースト《Honesty (The Virtues, H9-5)》は、京都でウェブ関係の自営業をされているKさんに出品いただいた作品です。2022年7月にオーナー権を発売し、約3週間で完売しました(引き続き会員間での売買が可能)。

今回は、Kさんに出品サービスを利用したきっかけや、出品した感想をお伺いしました。作品の売却を検討している方はもちろん、ANDARTの取扱作品の裏側が知りたい方にも参考になるお話なので、ぜひ最後まで読んでみてください!

ダミアン・ハーストの「The Virtues」について

国立新美術館での大規模個展でも評判になった「桜」シリーズの8枚組プリント作品。「The Virtues」は日本語で「美徳」を意味し、8枚それぞれに新渡戸稲造が唱えた「武士の八徳」から引用したタイトルがつけられている。2021年2月25日から3月3日までの期間限定で販売され、支払いにビットコイン(BTC)またはイーサ(ETH)を受け付けたことでも話題に。発表当時の販売価格は各プリント3,000ドル(0.058 BTC / 1.8 ETH)。

――アートに興味を持ったきっかけを教えてください。

大学卒業後、アート関連のインディペンデントスクールで数年学びました。アート、デザイン、建築、写真、映像、音楽、編集、マネジメントなどが幅広く学べ、各領域を横断するようなレクチャーやワークショップを取り入れた非常にユニークなところで多くのことを吸収しました。アートへの興味や関心もこの時の経験に強く影響を受けています。

当時、YBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)*が台頭してきた頃で、ダミアン・ハーストのホルマリン漬けの作品についてもリアルタイムで知り、衝撃を受けました。話題作りも素晴らしかったですが、それよりも彼らのアート作品から、「アートって何?」という答えの一つを見いだせたのが大きかったです。

*YBA:1990年代、イギリスを中心に活動した若手アーティストの総称。代表的なアーティストはダミアン・ハースト、クリス・オフィリ、トレイシー・エミン等。

ダミアン・ハースト《The Physical Impossibility of Death in the Mind of Someone Living》(1991) 出典:http://magazine.art21.org/
(画像=ダミアン・ハースト《The Physical Impossibility of Death in the Mind of Someone Living》(1991) 出典:http://magazine.art21.org/)

――今回出品されたダミアン・ハースト《Honesty (The Virtues, H9-5)》を購入した経緯をお伺いできますか?

ずっと注目していたわけではなく、たまたまネットニュースで見つけて興味を持ちました。「法定通貨(ドル、ユーロ)と仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム)どちらでも決済できる」という点もおもしろかったので、仮想通貨で買ってみたんです。販売期間が1週間と短かかったので早めに決断しました。8枚のうちどれを買うのかは悩みましたが、タイトルや作品の内容を考慮しつつ、家族と相談して決めました。

《The Virtues》より「Honesty」
(画像=《The Virtues》より「Honesty」)
《The Virtues》より「Honesty」
(画像=《The Virtues》より「Honesty」)

――昔からアートコレクションをされているんですか?

写真集や画集は持っていましたが、作品そのものを購入することはありませんでした。日本の住宅事情では飾るのも難しいので。私より妻のほうがコレクションを持っていますが、飾りきれずに保管しているものも少なくありません。

――作品を売却しようと思われたのも、保管場所の問題でしょうか。

それもありますね。「The Virtues」シリーズは、出品した作品を含め3点持っていたのですが、各120 x 96 cm あるので置き場所に悩んでいたんです。購入前からサイズはわかっていましたが、実際に家で見るとフレームも加わってさらに大きく感じました。知り合いのお店に貸そうかとも考えましたが、マーケットで値上がりしていたので、人気があるなら試しに売ってみようかと思ったんです。

――なぜANDARTの出品サービスを利用したのですか?

アートの売買は不透明なところがあるように思います。慣習的なものやギャラリーと作家間での諸事情などあるのでしょうが、ネットでは特に分かりづらいと感じます。

今回売却するにあたり、オークションやECサイトの委託販売も調べ、3社に絞り込んで問い合わせました。それぞれ買取金額や手続方法を案内されましたが、手間がかかったり送料の負担があったりして、気軽に売りづらいなと。たとえばオークションに出品すると、最低落札価格があるとはいえ、いくらで落札されるかわからない。落札されなくても手数料が発生して、出品作品を引き取らなければなりません。

悩んでいる中、一番親身になって相談に乗ってくれたのがANDARTでした。売り手の心情を理解して、色々な方法を考えてアプローチしてくれたんです。

相談に乗る様子(イメージ)https://unsplash.com/photos/TFFn3BYLc5s
(画像=相談に乗る様子(イメージ)https://unsplash.com/photos/TFFn3BYLc5s)

――比較的新しいサービスということで不安はありませんでしたか?

私自身かつてベンチャーに勤めていたこともあって、新しいことにチャレンジしている姿勢に共感しました。「ANDARTのユーザー層に自分の作品が売れるのかな?」という不安は多少ありましたが、やってみなければわからないので、思い切ったというのが正直なところです。

あとは買取保証の提案があったことが大きかったですね。基本的にはオーナー権が完売したら作品の金額が支払われるというシステムですが、一定期間で売りきれなかった場合は、ANDARTが残りを全て買い取ってくれるとのことだったので、安心して出品できました。

――ご出品いただいた作品のオーナー権は1ヶ月で完売しましたね。

3ヶ月くらい様子を見てもいいと思っていたのですが、あっという間に売り切れましたね。今年ちょうど国立新美術館で展覧会があったのでタイミングが良かったのかもしれません。1枠1万円という手軽さもあって、アートに興味を持ち始めたカジュアルな層にもハマったのではないでしょうか。

2022年3月2日〜5月23日に国立新美術館(東京・乃木坂)で開催された「ダミアン・ハースト 桜」展示風景(撮影:ANDART編集部)
(画像=2022年3月2日〜5月23日に国立新美術館(東京・乃木坂)で開催された「ダミアン・ハースト 桜」展示風景(撮影:ANDART編集部))

――作品の出品金額のお支払いに加え、会員間売買で発生した手数料収益(運営費を除く)が今後も還元されます。期待している利益は得られそうですか?

すでに納得した出品金額は受け取れるので、会員間売買の収益についてはプラスアルファ程度で考えています。大きな利益は期待していないですが、新しいサービスということもあって、今後の値動きをチェックするのが楽しみです。もともとANDARTユーザーではなかったのですが、オーナー権を買わなくてもデータが見られるということで会員登録しました。

――これからのアート関連サービスに期待することがあればお聞かせください。

セカンダリー(オークションなどの二次市場)で売れた利益が、アーティストに還元されるといいですね。アートファンがもっとアーティストを支援していける仕組みがあればいいと思います。

――貴重なお話をありがとうございました!

▶ANDARTでは、共同保有作品の初回販売価格の3%をアーティストに還元する「ロイヤリティ分配制度」を2022年8月に導入。(詳しくはプレスリリース参照

お持ちの作品を「共同保有作品」として多くの人とシェアしませんか? ANDARTでは、アート作品を共同保有作品として出品していただくことができます。「ある程度のオーナー権を手元に残しておきたい」など、ご希望に合わせて相談に乗らせていただきますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
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文:ANDART編集部