2021年度のAGV/AMR国内市場規模は台数・金額とも2年連続で縮小
~2022年度以降は人手不足感や設備投資需要の高まりなどから、台数・金額とも拡大を見込む~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のAGV/AMR(搬送ロボット)市場を調査し、タイプ別動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
AGV/AMR(搬送ロボット)の出荷台数推移・予測
AGV/AMR(搬送ロボット)の出荷金額推移・予測
1.市場概況
AGV/AMR(搬送ロボット)の市場規模(メーカー出荷ベース)は、2020年度は7,055台(前年度比6.7%減)、161億5,000万円(同14.2%減)、2021年度は6,400台(同9.3%減)、158億7,000万円(同1.7%減)と2年連続で、台数・金額とも前年度を下回った。
2020年度は新製品投入などによる押し上げ効果があったものの、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動等の先行き不透明感から、ユーザー企業側で設備投資を一時凍結するケースが目立ち、市場全体としては減少となった。2021年度は長期化するコロナ禍の影響に加え、2020年後半から発生した半導体不足で製品の出荷が大幅に制限されたことから、前年度に続いてマイナス成長となった。
2.注目トピック
半導体不足の影響と対応
AGV/AMRメーカー各社によって多少の差があるものの、2020年後半から続く半導体不足では何かしらの影響が出ており、障害物の検知などに使われるLiDARの他、モータ、バッテリー、コネクタなどの不足が目立っている。物によっては納期が1年以上となるケースも聞かれ、少なくとも2023年夏頃までは部品不足の影響が続くとみられる。この影響でユーザー企業への納期も長期化しており、概ね半年程度に延びるケースが散見される。
こうしたサプライチェーンの混乱に対し、AGV/AMRメーカー各社では様々な対応が取られている。特に多い対応策としては、早期受注の獲得により部品の先行確保に努める、部品の供給元の切り替え・代替により部品調達を柔軟化する、などが聞かれる。このほか、部品の調達性(部品確保が容易にできるか)を織り込んだ設計変更や、サポート面での満足度向上に資する改良に取り組むメーカーもみられる。
3.将来展望
2022年度のAGV/AMR(搬送ロボット)の市場規模(メーカー出荷ベース)は、7,700台(前年度比20.3%増)、198億7,000万円(同25.2%増)を見込む。依然として半導体不足の影響が続くものの、メーカー各社が前年度のうちに供給体制の改善・強化を図ったことなどがプラス要因として挙げられ、3年ぶりに増加する見通しである。
2023年度以降も足元の人手不足感と設備投資需要の高まりがプラス材料として挙げられ、2025年度には出荷数量9,950台、出荷金額274億9,000万円まで成長するものと予測する。他方、原材料価格の高騰によりユーザー企業のコスト意識は一層高まっているほか、相次ぐ新規参入、新製品投入により、市場は今後飽和状態に近づくことも想定され、今後は製品同士の競争の激化が懸念材料となる。
調査要綱
1.調査期間: 2022年5月~7月 2.調査対象: 国内AGV/AMR(搬送ロボット)メーカー 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用 |
<AGV/AMR(搬送ロボット)市場とは> 無人搬送車を広義でとらえると、搬送台車がレール上を走って荷物を運搬する有軌道型の無人搬送車と、レールの無い無軌道型の無人搬送車に大別される。 本調査におけるAGV/AMR(搬送ロボット)市場とは、無軌道型で、走行時に誘導体(磁気棒、磁気テープ、光学テープ、二次元コード(QRコード※)、レーザ反射板など)が必要な無人搬送車であるAGV(Automated Guided Vehicle)、誘導体が不要で稼働領域内の環境地図情報と走行時にセンサで読み取った外部環境の情報を基に、車両の自己位置を推定しながら走行する無人搬送車であるAMR(Autonomous Mobile Robot:搬送ロボット)を対象とし、メーカー出荷台数と出荷金額から算出した。 ※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。 |
<市場に含まれる商品・サービス> AGV、AMR(搬送ロボット) |
出典資料について
資料名 | 2022 AGV/搬送ロボット(AMR)市場の現状と将来性 |
発刊日 | 2022年07月29日 |
体裁 | A4 125ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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