自動車用樹脂,世界市場,2019年
(写真=Fahroni/Shutterstock.com)

2030年の自動車用樹脂世界販売量を1,396万8,000tに拡大を予測

~2018年から2030年までのCAGRは、汎用樹脂(PP、HDPE、PVC、ABS)が2.32%、汎用エンプラ(PA6、PA66、PC、POM、PBT、変性PPE)は3.48%を予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、世界の自動車用樹脂市場を調査し、樹脂別・自動車部位別の需要動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

自動車用樹脂の世界需要予測

自動車用樹脂の世界需要予測

1.市場概況

2018年の自動車用樹脂世界市場(メーカー販売数量ベース)を前年比100.3%の10,173千tと推計する。内訳をみると、自動車用の汎用樹脂(PP、HDPE、PVC、ABS)が7,186千tと約7割を占め、汎用エンプラ(PA6、PA66、PC、POM、PBT、変性PPE)が2,987千tであった。自動車用樹脂の販売量は、自動車の世界生産台数にほぼ連動した動きを示しており、汎用樹脂と汎用エンプラを合算した世界需要はほぼ前年並みで着地した。

2018年の自動車世界生産台数をみると97,769千台となり、前年比99.5%と前年を割り込んだ。地域別では日本が9,730千台と前年実績を僅かに上回ったものの、中国が27,809千台、欧州は19,440千台、北米は13,327千台と軒並み前年を下回り、特にこれまで自動車世界市場の牽引役となっていた中国の生産台数の落ち込みが大きく影響した。一方、インドやASEAN、ブラジルなどをはじめとするその他地域は27,463千台と好調を維持した。

2.注目トピック

部位別では内装向けの需要が最大

2018年における自動車用樹脂世界市場の部位別需要構成比をみると、内装用途が30.4%と最も高く、エンジンルーム内・機能部品等用途30.1%、外板・外装用途28.2%、電装品用途11.3%と続く。また、外板・外装や内装では汎用樹脂の構成比率が80~90%と高く、一方、エンジンルーム内や電装品では汎用樹脂と汎用エンプラの比率はほぼ半々となっている。

3.将来展望

今後、日本においては人口減少や高齢化といった構造的な要因から自動車生産の低迷が続く見通しである。一方、新興国を中心に自動車の生産台数は高い伸長率で推移していくほか、中国は伸び幅が縮小するものの2%前後、欧州や米国は1%台前半の緩やかな成長が続く見込みで、2030年の自動車世界生産台数は125,200千台になると予測する。
自動車の世界生産台数予測をもとに、部品の樹脂化率等の変化を踏まえながら今後の自動車用樹脂の世界需要を推計すると、2018年から2030年までのCAGRは自動車用汎用樹脂が2.32%、汎用エンプラが3.48%の見込みで、2030年の自動車用樹脂世界市場(メーカー出荷数量ベース)を13,968千tに拡大と予測する。