食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

7月上旬は6月末からの猛暑が続き、中旬には一度落ち着きを見せたが、下旬から再び猛暑となった。今後も厳しい暑さが続くと生体の成育不良が懸念される。7月の東京市場の豚枝肉相場は上物税抜き662円(税込715円)でスタートし、中旬にかけて日を追うごとに上昇が続き、700円台に到達、800円台突入も現実味を帯びた。しかし、パーツ販売は盛り上がらず枝高・パーツ安の厳しい状況となった。

しかし、中旬以降は学校給食の停止、1日当たり6万頭台の安定した出荷頭数となったことで、枝相場が急落し月末の29日には521円(563円)まで下落した。この結果、月間平均相場としては621円(671円)と600円を超え、前年同月比34円高となった。近年は7月豚価が年間最高値となる傾向にあり、中旬以降は200円近い大幅な下げとなったが、前月の612円(662円)を上回った。

8月は盆商戦に向け、引合いが期待されるだけに、急落した豚価の回復動向、パーツ販売動向が注視される。高騰が続く輸入品は、コロナ第7波の影響で外食需要に不透明感が見られる。帰省・外出自粛が拡大すれば、テーブルミート需要が期待される。

〈供給動向〉
農水省が7月22日に発表した肉豚生産出荷予測によると、8月の全国出荷頭数は前年同月比2%減の129.8万頭と、130万頭割れと予測している。

今月は11日の「山の日」の祝日があり、その後は盆休みもあるため、1日当たりの出荷頭数は21日稼働の場合6.1万前後で推移するものとみられる。月初から盆までは厳しい暑さが予測されており、月末にも猛暑日が続くなど、産地での生育不良、上物率低下が懸念される。また、9月の出荷頭数は135.2万頭(前年同月比2%減)と引続き昨対減を見込むが、10月には146万頭(前年同)と下げ止まりを見込む。

農畜産業振興機構の需給予測によると、8月のチルド輸入は前年同月比3.3%減の3万2,900tと予測。北米国内需要の高まりにより現地相場が高騰し、円安などから前年実績を下回る見込みだ。フローズンは、北米産を中心に為替相場変動の影響が続く一方、価格優位性の高いスペイン産の買付が多くなっている。

〈需要見通し〉
7月前半は末端消費の低迷が継続しているにも関わらず、豚枝肉相場上昇が続いた。しかし中旬以降は状況が一変し、700円台から500円台まで急落した。枝高が解消されたことで、パーツ販売の活性化が期待されるものの、量販店の売り場づくりは安価なスソ物中心となっている。枝高や生産コスト高を背景に各パーツ相場も上昇を伺っていただけに、7月の急落による商いへの影響が注目される。

8月は盆商戦に向け、引合い増加が期待される。ただし、急落時にある程度の手当が進んだことや、盆需要の不透明感から過度な盛り上がりは期待できない。ただ、盆以降も出荷頭数が減少傾向となれば、相場も締まっていくことが期待される。

一方で、一定水準の出荷頭数が維持されると緩んだ相場展開が想定される。再度の枝高・パーツ安は避けたいが、秋の需要期を前にある程度のパーツ相場上昇を目指すことになる。

〈価格見通し〉
8月1日の東京市場の上物相場は税抜き535円(前市比15円高)、2日には540円(同5円高)、3日の水曜日は595円(同55円高)にまで急伸した。

8月は盆需要、前年を下回る出荷頭数傾向が続くことで、ある程度締まった展開が期待される。台風や暑さなど天候によっては、成育状況によってはさらなる出荷頭数の下振れの可能性もある。現状からのさらなる下げ要因は見当たらず、コスト高も背景に以前のような400円台突入は考え難い。そのため、盆に向けてジリ上げ、以降も締まった展開と予測し、8月の月間平均相場は上物税抜きで580~590円(税込620円~640円)と予想する。

〈畜産日報2022年8月4日付〉