皆さんは、遺産相続の手続きに直面したときにどのように対処されますか。
今日の日本では、相続に関する新聞やニュースなど非常に有益な情報があちこちに出回っていますので、もしかしたらご自身で処理してしまえるのではないかと考えていらっしゃる方も少なくないかもしれません。
ところが、弁護士など法律専門家に依頼することによって、多くのメリットを享受することが出来るということも事実ではあります。
今回は、弁護士に遺産相続の手続きを依頼すべき理由について、わかりやすくまとめていきますので、是非ご参照頂ければと思います。
1. 相続手続きは専門家に依頼すべし!
遺産相続手続きについて少しでも知識をお持ちの方であれば、遺産相続を行うことはややこしくて簡単にはいかないものであるというイメージをお持ちでいらっしゃるかもしれません。
相続人となる者が身近な家族だけで、相続に関する協議が滞りなく行われるようなケースでは、場合によっては問題もないといえるのかもしれませんが、仮にそのような場合であっても被相続人(=亡くなった人)が現金以外の多種類の財産を有していたような場合には、財産の分配も思っていたよりも進まなくなってしまったということもよくあるケースと言えるでしょう。
このように、相続に関する手続きは、往々にして「争族」の問題になりがちです。
したがって、これを解決するためには、豊富な知識とノウハウがある方が望ましいわけです。
そこで、複雑な遺産相続については法律専門家である弁護士に依頼することをオススメします。
1-1. 弁護士は依頼人の立場に基づいて問題を処理してくれる
弁護士は、相談者に依頼されることによってはじめてお仕事をしてくれるようになり、依頼者の利益になるように原則として動いてくれる貴重な存在です。
遺産相続に関する場面では、どうしても親族との関係性によって、まとまる話がまとまらないということも生じえます。
そこで、弁護士の役割としては、当事者ではない外部からの専門家の立場として、紛争を客観的に解決してくれるということです。
1-2. 弁護士に依頼するとどのような良いことがあるの?
弁護士に依頼をすると、確かにそれなりの報酬を支払わなければいけないことにはなるでしょう。
しかしながら、以下のように弁護士に依頼することによって得られる便益は数多くあります。
(1)当事者の問題を明確にすることが出来る
(2)法律専門家としてのアドバイスをもらえる
(3)当事者が満足のいきやすい解決法を提示してもらえる
(4)第三者として現れることで、話し合いがスムーズに進むことがある
(5)自分たちだけでは思いつかなかった点に気づくことが出来る
2. 弁護士に依頼すると、相続手続きがスムーズに
相続手続きはお金が絡む問題ですので、渦中にある当事者は必要以上に熱が入ってしまいがちです。
そこで、外部の専門家である弁護士がその中に入ることで、物事を客観的に整理することに貢献することもあります。
見ず知らずの人であれば、「でていけ!」ということになるかもしれませんが、弁護士というと、それなりに社会的地位がありますので、冷静になって言うことを聞いてもらいやすいということもあるでしょう。
3. 弁護士に依頼すると多くの情報を手に入れることができる
正直に申し上げますと、弁護士がいなくても相続手続きを完了させることはできます。
しかしながら、弁護士が味方に付くことで、依頼者にとっての最善の利益を確保しやすいということが言えます。
例えば、話し合いの中で、自分は相続分がほんの少ししかもらえないといわれたけれど、念のために知り合いの弁護士さんに確認をしてもらうと、その数倍多く貰うことが出来たということも当然考えられる話です。
3-1. どうして自分たちで手続きを処理すると損をするのか?
弁護士を入れないで相続手続きを行うとどうして不利益を被ってしまうことになるのでしょうか?それは、相続手続きが法律手続きの一種類ということ、そして総じて法律手続きにおいては一般の素人の方が内容を熟知されていることがほとんどないということが理由として挙げられるでしょう。
もし、相続に関する知識をお持ちの場合であったとしても、それが曖昧であったり、勘違いであったりした場合には、相手に反論されて適切に主張を通すことが出来なかったということも起こりうるでしょう。
弁護士に依頼すると、法律の知識に基づいて根拠のあるアドバイスを受けることが出来ますので、相手の主張に対しても冷静に分析をして、依頼者であるあなたの主張を通してもらえる可能性が高くなります。
4. 相続手続きは複雑な手続きとなることが多い
相続手続きは決して簡単な手続きではありません。
それでは、私たちはどのように対処するのが良いのでしょうか?
4-1. 複雑な手続きでも対応してもらえる
多くの人にとっては、相続手続きは容易ではなく、躊躇してしまうようなものではあっても、法律の専門家である弁護士に依頼すればスムーズに進むことが出来ます。
弁護士は、多くのややこしい事案を処理している場合が多いですし、丁寧に手続きを教えてもらえるでしょう。
4-2. 困った時には弁護士に
相続手続きを行うためには何をしなければいけないのかよくわからないという人がいますが、これについては誰にでも当てはまる普遍的な正解というものは存在しません。
なぜならば、人の数だけ相続手続きの解法が存在するからです。
つまり、Aさんが望む解決法とBさんの望む解決法が必ずしも同じであるとは限らないということです。
単なる相続で終わることもあれば、誰かが自分の権利を侵害しているので何とかしてほしいという依頼や、被相続人の財産を調査してみると借金が多く存在することが判明したが、どうすればよいのかといったことまで問題は多岐にわたります。
4-3. 遺留分減殺請求権の場合
例えば、事例として遺留分減殺請求権のケースについて考えてみたいと思います。
遺留分減殺請求権というのは、法律を一度は学んだことのある人でなければ、何のことを意味しているのかさえよくわからないような専門用語です。
現行民法によると、各推定相続人には、原則として遺留分という権利が認められています。
これにより、被相続人からの相続財産について最低遺留分で定める範囲内は確保することが出来るようになるということを意味します。
これに対して、遺留分を超える権利を確保されないような相続手続きが処理されてしまったような場合に、遺留分減殺請求権を利用して、最低限の遺留分を侵害者に対して返還請求をかけることが出来ることになります。
遺留分が各相続人にとってどの程度になるのかということは、事案ごとに計算をしなければいけないことになるのですが、少々複雑な手続きとなりますので、もし実行されたい場合には、やはり専門家の弁護士に依頼をするようにしましょう。
4-4. 相続放棄の場合
被相続人の財産からそのまま相続をしてしまうと借金ばかりになってしまうような場合には、相続放棄をすることが有効であると考えられます。
相続放棄を行う場合には、所定の期限が設けられていますので、相続手続きが開始されたことを知った日から早急に準備して手続きを行うことが必要です。
相続放棄についても家庭裁判所にて手続きを行うことが求められますので、慣れない方は弁護士に依頼をすることで、スムーズに問題が解決されることになります。
5. 法律専門家に依頼するとメリットが大きい
一般の素人の方であれば、相続手続きの問題の本質を正確な意味で把握することが出来ないために、どうすることが利益になり、どのような行為がデメリットになるのかということをうまく理解することが出来ません。
よって、本来確認をするべきことが出来ていなかったり、請求すべきことが請求できていなかったりするということで、結果的に不利益を被る結果になってしまうことがあります。
例えば、生前に一定の財産を得ていた相続人に対しては、特別受益という制度が適用されますので、その他の相続人に対しても公平な相続財産の分配がなされるように取り計らうことが望ましいのですが、それも知らないということで本来利用できた制度を利用できなかったりすることもあります。
6. 相続手続きでは、特にこの問題に気を付けましょう
相続手続きで最も意識しなければいけない事項としては、あなたが納得のすることができる結果を設定し、それを達成することに尽きるかと思います。
相続問題は親族同士の間で生じる問題です。
場合によっては、必要以上に言い争いを続けることによって、お互いの関係性が悪くなってしまうことにもつながりかねません。
したがって、財産的な争いだけを考慮するのではなくて、人間関係も円滑になるように意識をしておくことを理解しなければいけないところです。
ご自身で相続手続きを考える場合には、しばしば財産をどうしようかということに考えが偏ってしまいがちですが、経験のある弁護士であれば人間関係を念頭に置いた上での依頼者の利益についてアドバイスをしてくれることでしょう。
7. 相続手続きの問題は弁護士に相談しましょう
遺産相続に関する相談は弁護士に解決を依頼しましょうということを申し上げてきましたが、そうは言っても弁護士に依頼するとどのような解決が得られるのかということについて疑問を持たれることもあるでしょう。
そこで、以下では考えられるいくつかの事例を例にとり、それぞれについてどのような解決法が考えられるのか解説します。
7-1. 私にはどのくらい財産を相続することが出来るのでしょうか?
相続手続きの流れとしては、まず遺言書の有無を確認し、遺言書がない場合には遺産分割協議により相続財産の分配を行うことになります。
遺言書がある場合には、遺言書の通りに相続手続きが行われることが通常ですので、特に検討する必要はありませんが、遺言書がない場合には被相続人の保有する相続財産の総額を調査していく作業が必要となります。
これより、遺産分割で誰がどのように分けるのか協議していくことになります。
7-2. 被相続人の財産はどのように分けるのが良いのでしょうか?
財産の分配方法は悩ましいところであるとは思います。
まず、遺言書に財産の分配方法が指定されていれば、その通りに従うものとします。
一方で、遺言書が用意されていなかった場合には、相続人の間で、原則自由に財産を分けることが出来るようになります。
ただし、先述の通り、ここでは人間関係など検討することは少なくありません。
7-3. 被相続人の財産はどの程度あるの?
財産の総額を把握することなしに、適切な財産分配の話し合いをすることは出来ないでしょう。
そこで、財産の調査をかけていくことになります。
多くの場合、現金・預貯金等の基本的な財産をお持ちのことが多いですし、不動産であれば法務局等の資料を基に財産を算出していく手続きを取ることになります。
7-4. もしかしたら、相続財産が勝手に使用されているかも?
相続財産は誰がどのように管理しているのかを理解しておくことはとても重要なことです。
なぜならば、被相続人の身近な人であれば、出来心によって財産を無断で使用してしまうことがあるからです。
こうなれば、素人ではなかなか交渉することは難しく、話し合いも長期間にわたって難航してしまうことも予想されますので、弁護士に相談をするほうがよいでしょう。
7-5. 被相続人の財産を調べると、どうやら負債が多くあるようだ
自身が相続をすることが出来る立場にあるとしても、その財産が負債ばかりであれば相続をすることで、借金を抱えることになってしまいます。
そこで、そのような場合には相続放棄の手続きをとることが有効であると考えられます。
また、借金の金額がプラスの財産よりも少なければ、限定承認という一部財産を承継する手続きを取ることもできますので、悩まれた方は弁護士に相談をしてみましょう。
7-6. 別の相続人とある相続財産の相続について争っている
相続を行う上で金銭的な解決だけではなく、その財産の名義を誰が相続するのかということについて争いが生じることがあります。
この場合には、調停を行うことになり、それでも解決しない場合には裁判に発展する可能性もあります。
7-7. 管理している不動産の賃料はどうなるの?
もし被相続人が不動産を所有し、それを賃貸している場合には賃料が発生することになります。
これについては、分割協議が終了するまでは、相続人の共有財産として分配されますが、相続人が決定後は、その相続人が賃料を受け取ることになります。
8. 何か紛争が発生する前に弁護士に依頼しましょう
相続手続きについては新しい情報が次々と出てくるようになりました。
単純に一つの事項だけをみて、すべてを理解したような気分になるは非常に危険であると思われます。
少しでも公平な相続手続きを行いたいのであれば、是非弁護士を活用してみてはいかがでしょうか?
9. まとめ
弁護士が身近にいない場合にはどうしても依頼することを悩んでしまうこともあるでしょう。
しかしながら、弁護士に依頼することで解決しなかった問題が動き出したというケースはいくつも存在します。
相続問題はそれほど多く生じるものではありませんので、何かトラブルが起こる前に信頼できる法律専門家に一度相談をしてみましょう。(提供:ベンチャーサポート法律事務所)