アート業界で注目を集める海外若手アーティスト10人のInstagramアカウントを紹介!オークション市場で急成長中のアーティストや大手オークションハウス・サザビーズがピックアップするアーティストも。お気に入りのアーティストをフォローして作品や制作活動をチェックしてみよう。
目次
1)シャラ・ヒューズ(Shara Hughes)
1981年アメリカ・ジョージア州生まれのシャラ・ヒューズは、ニューヨークを拠点に活動をする現代アーティスト。浮遊する月や木々、海などを描いた屋外の自然風景や室内風景を空間が歪んでいるように表現。抽象と具象を行き来しながら、カラフルに描く風景画で知られている。ヒューズの作品はニューヨークのメトロポリタン美術館やデンバー美術館などに所蔵されており、2017年はホイットニー・ビエンナーレに出品した。今後の現代アートの隆興を担う人物として注目されている。
2)ヒラリー・ペシス(Hilary Pecis)
ヒラリー・ペシスは1979年カリフォルニア生まれ。これまでにニューヨークのロックフェラーセンターやロンドンのティモシー・テイラー・ギャラリーなどの一流の会場で個展を開催している。日常のありふれたシーンから切り取られた静物画や風景画は、アンリ・マティスを彷彿とさせるようなフォーヴィスム(目に映る色彩ではなく心で感じる色彩を表現する20世紀初頭の絵画運動)に見られる鮮やかな色彩と華やかさで描かれている。
3)クレア・タブレ(Claire Tabouret)
ロサンゼルスを拠点に活動する1981年生まれのフランス人アーティスト、クレア・タブレ。幅広いパレットとゆるさのあるブラシストロークで、人物同士の関係性に焦点を当てて描いた作品が特徴。アンニュイな雰囲気が人気を集め、具象的なアプローチで表現する人物画を中心にドローイングや彫刻作品も制作する。2020年には六本木ペロタン東京で日本初の個展を開催した。
4)ニコラス・パーティ(Nicolas Party)
1980年スイス・ローザンヌ生まれの具象画家。絵画のほか陶器、インスタレーション、彫刻作品も制作している。パーティの主な作品はソフトパステルで描かれていて、これは油絵具やアクリル絵具が主流となる21世紀美術において珍しいメディウムの選択であり、パーティの画家としての唯一性を高めている。スイスの風景や自然に影響を受けたパーティが描く作品は、幻想的でありながらも毒気のある色彩がダークな側面を生み出している。
5)サルマン・トゥール(Salman Toor)
サルマン・トゥールは1983年パキスタン出身、現在はニューヨークを拠点に活動をしている。トゥールが描くのは、現代を生きる架空のクィア(規範的な性のあり方以外を包括する言葉。LGBTQのQにあてはまる)の男性の日常からのワンシーン。緑色をベースに柔らかい線で描かれる作品は、LGBTQコミュニティに対する偏見を探るような率直な描写がされていて、鑑賞者にインスピレーションを与えると同時に悩ましいものでもある。
6)ラファ・マカロン(Rafa Macarrón)
ラファ・マカロンは、1981年スペイン・マドリード出身のアーティスト。落書きのような自由な構図で、独特なデフォルメがされた奇抜な人物たち色彩豊かに描いている。マカロンの描く人物は、街で見かけた人や、自分の周りにいる親しい人たちの姿を映し出したもの。理学療法士の資格を持つマカロンは人体の構造を把握しており、人物たちのデフォルメや歪みについて「解剖学に対する知識と敬意が必要です」と語る。また、Art MadridやScope Basel、Art Miamiなどの多数のアートフェアにも参加しており、独学かつ若手ながらも、活躍の場を広げている。
7)アモアコ・ボアフォ(Amoako Boafo)
アモアコ・ボアフォは1984年にガーナ生まれ、オーストリア・ウィーン在住のアーティスト。太い筆致で描かれる生き生きとした魅力的な黒人たちの肖像画で、黒人に対する敬意を表している。ボアフォは、アフリカン・ディアスポラ(世界の各地に連行されたアフリカ人奴隷の子孫のこと。ブラック・ディアスポラとも呼ばれる)の美術における注目の若手作家として評価されており、シャラ・ヒューズと同様にオークションでも人気を集めている。Artprice.comが発表した「The Contemporary Art Market report in 2021」では、1980年以降に生まれたトップアーティスト100の5位にランクインした。
8)ミスター・ドゥードゥル(Mr. Doodle)
通称Mr.Doodleの名で知られるサム・コックスは、1994年イギリス生まれのアーティスト。「Doodle」とは日本語でいたずら書きの意味。「グラフィティ・スパゲティ」と呼ばれる連動的で無限に成長するデザインが特徴で、その世界観は「Doodleland」と呼称されている。ストリートアーティストのキース・ヘリングとの違いは、ヘリングが明確に政治的なアートを制作したのに対し、「Doodleland」には批判や政治的メッセージは込められておらず、Mr.Doodleが政治とアートを分けて考えているところにある。東アジア市場で特に人気があり、2019年にサザビーズ・香港はMr.Doodleの作品52点を集めた「Mr. Doodle Invades Sotheby’s」を開催し、大ブレイクを収めた。
9)エイヴリー・シンガー(Avery Singer)
1987年ニューヨーク生まれのエイヴリー・シンガーはインターネット世代を代表する若きアーティストとして注目を集めている。シンガーの制作方法は、3Dモデリングソフトウェアでブロック状のグレースケールの人物や風景、幾何学模様などの構築したものをキャンバスに投影し、エアブラシとマスキングテープを用いて描くというもの。アナログとデジタルの境界線を曖昧にした作品は、ヴェネツィア・ビエンナーレなどのアートフェアに出展され、アメリカのホイットニー美術館やニューヨーク近代美術館、ロンドンのテート・モダン、上海のユーズ美術館などにも所蔵されている。「The Contemporary Art Market report in 2021」では、アモアコ・ボアフォに次ぐ6位にランクインした。
10)エワ・ジュスキエヴィチ(Ewa Juszkiewicz)
エワ・ジュスキエヴィチは1984年ポーランド生まれ、ワルシャワを拠点に活動している。ルネサンスから19世紀までのヨーロッパの歴史的な絵画を模倣し、その技法やスタイルを巧みに再現している。特徴的なのが、被写体の顔を髪の毛や植物、布などで覆い尽くしているところ。ジュスキエヴィチの技術の高さが光り、歴史的な絵画に見られる整った調和を崩さずに、一方では不気味さを感じさせる。
ANDARTでは、オークション速報やアートニュースをメルマガでも配信中。無料会員登録で最新のアートニュースを受け取ることができます。
文:ANDART編集部