注目のオークション情報から、​​NFTのトピックまで。先週1週間のアートトピックを振り返ります。(1ドル=128円で換算)

目次

  1. オークション
  2. 美術館
  3. 海外の展覧会
  4. コラボレーション

オークション

約109億円で落札された ≪Untitled≫ / ジャン=ミシェル・バスキア
(画像=約109億円で落札された ≪Untitled≫ / ジャン=ミシェル・バスキア)

画像出典:https://news.artnet.com/

▍前澤友作氏のバスキアが牽引!フィリップスオークションで過去最大となる約288億円の売上を記録 2022年5月18日、フィリップスの「20th Century & Contemporary Art Evening Sale」が開催され、2億2,500万ドル(約288億円)の売上を記録した。出品した作品は完売、昨年の総売り上げ高の90%増となり、一晩での売上はフィリップス史上最高となった。この夜の目玉は、ジャン=ミシェル・バスキアが1982年の黄金期に制作した無題の作品で、前澤友作氏の所有していた作品だ。8,500万ドル(約109億円)という驚異的な値段で落札され、バスキア作品としては歴代3位の高値を記録した。この他、同日は草間彌生をはじめとした女性アーティストの作品の売上が好調で、女性アーティストによる作品がオークション売上の過半数を占めたことでも話題を呼んだ。(artnet news)

▍マックロウ・コレクションが総額約1,180億円で落札。史上最も高価なプライベートアートコレクションに 2022年5月16日、サザビーズで「The Macklowe Collection」オークションが開催された。ニューヨークの不動産開発業者ハリー・マックロウと妻リンダの離婚調停のためのコレクション売却だ。昨年11月には、パブロ・ピカソ、アンディ・ウォーホル、サイ・トゥオンブリーなどを含む35点の美術品が落札されたが、今回はこれに続く2回目のオークション。

ゲルハルト・リヒター、ジェフ・クーンズ、ウィレム・デ・クーニングらの作品30点が、合計2億4,610万ドル(約315億円)で落札され、コレクションの売却総額は9億2200万ドル(約1,180億円)となった。これにより、同コレクションは史上最も高価なプライベートアートコレクションとなった。アンディ・ウォーホルの≪camouflage Self-Portrait≫は1,870万ドル (約24億円)、ゲルハルト・リヒターの海景画≪Seestück≫ は3,020万ドル (約39億円) の値を付け、この日2番目の落札価格となった。(CNN)

▍ピカソの絵画がオークションを牽引。総額約553億円でイブニングセールとして過去3番目の売上に 印象派とモダンの旗手であるパブロ・ピカソ、クロード・モネ、ポール・セザンヌらの作品が、5月17日のサザビーズオークション「Modern art evening sale」に出品され、総額4億850万ドル (約553億円) の売上を達成した。サザビーズによれば、イブニングセールとしては過去3番目の売上になったという。中でも注目を集めたのは、ピカソのミューズであり恋人でもあったマリー=テレーズ・ウォルターの肖像画≪Femme nu chouchée≫。入札開始1分強で6,000万ドル (約77億円) の予想を大きく上回る6,750万ドル (約86億円) で競り落とされたという。(PENTA)

▍マン・レイの写真プリントが約16億円で落札。オークションで史上最高額の写真に 2022年5月14日、クリスティーズで「The Surrealist World of Rosalind Gersten Jacobs and Melvin Jacobs」が開催された。この中で、マン・レイの代表的な写真作品≪Le Violon d’Ingres≫が1,240万ドル (約16億円) で落札された。これは、過去に最高額で落札された写真作品の3倍近くとなる価格。本作品は、マン・レイの最も有名な作品のひとつであり、多くの人が20世紀における最も偉大なイメージのひとつであると考えているものだ。(artnet news)

美術館

ピッツバーグに設立する「ポップ地区」のイメージ
(画像=ピッツバーグに設立する「ポップ地区」のイメージ)

画像出典:https://news.artnet.com/

▍アンディ・ウォーホル美術館、ピッツバーグを文化の中心地にするために「ポップ地区」を建設中 「アンディ・ウォーホル美術館」はウォーホルの故郷であるピッツバーグにあるが、同美術館は、その周辺地域に6ブロックの「ポップ地区」を設立することを発表した。プロジェクトの目的は「次のアンディ・ウォーホルがピッツバーグを離れずにアンディ・ウォーホルになれるようにすること」だという。約6,000万ドル (約77億円) の予算を投入する予定。ウォーホルによるファクトリーの精神を受け継ぎ、若者の雇用機会を創出することを目指す。(artnet news)

海外の展覧会

2022年に制作されたゲルハルト・リヒターの新作 ≪5.1.2022 (7)≫
(画像=2022年に制作されたゲルハルト・リヒターの新作 ≪5.1.2022 (7)≫)

画像出典:https://news.artnet.com/

▍ゲルハルト・リヒター、スイスの美術館で新作絵画と写真の展覧会を開催 今年初めに90歳を迎えたゲルハルト・リヒターは、2017年に引退を表明していた。しかし、スイスのバイエラー財団で、現在ゲルハルト・リヒターの新作展が開催されている。リヒター自身が構想したという展示室には、絵の具を紙に垂らすなどして作った31の小さな抽象作品の新シリーズ「mood」が展示されており、日付からは今年1月に制作されたことがうかがえる。各作品の複製写真も同じ部屋に展示され、リヒターが長年抱いてきた絵画と写真の関係への関心を象徴した展示になっているという。(artnet news)

▍ロッカクアヤコ、イギリスでの初個展を開催 欧米の主要なギャラリーのひとつケーニッヒのギャラリー「KÖNIGLONDON」で、ロッカクアヤコのペインティング展「IMAGINATION FOR FLYING ADVENTURE」が開催されている。ロッカクアヤコにとってはイギリスでの初個展。会期は、2022年5月13日〜6月11日。(KÖNIGLONDON)

コラボレーション

UTアーカイブプロジェクト
(画像=UTアーカイブプロジェクト)

画像出典:https://www.uniqlo.com/

▍ユニクロが「UTアーカイブプロジェクト」を始動。バスキアやオピーのUTも復刻 ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」は、20年目を迎えるメモリアルイヤーに「UTアーカイブプロジェクト」を始動する。プロジェクトのひとつとして、「UT」が誇る、過去に手掛けてきたTシャツの中から厳選した「20th UTアーカイブ」コレクションを発売するという。2003年発売のジャン=ミシェル・バスキアや、2014年発売のジュリアン・オピーのグラフィックTシャツなどがラインナップとして発表されている。(プレスリリース)

▍10年ぶりに草間彌生とルイ・ヴィトンのコラボが再び実現 ルイ・ヴィトンは草間彌生とタッグを組み、草間の代表作である≪Infinity Mirrored Room≫に触発されたバッグを発売する。今回のコラボレーションは、ヴィトンと草間の長年のパートナーシップを祝うものであり、最初のパートナーシップの大成功を称えるものだという。両者は2012年に初のコラボレーションを行い、当時のバッグにはプレミア価値がついている。ルイ・ヴィトンによると、このコラボレーションは今後も続くようだ。(Highsnobiety

▍ダミアン・ハーストの息子カシアスが、プラダとコラボレーションし、スニーカーの新コレクションを発表 カシアス(キャス)・ハーストが、プラダとコラボレーションしたカプセルコレクションを発表した。彼は14歳の頃に、ナイキのエアフォース1スニーカーにスプレーペイントを施したものを、最初は父親であるダミアン・ハーストへのプレゼントした。その後、ラッパーのエイサップ・ロッキーや、故ヴァージル・アブロなどのクライアント向けに制作、2019年には、シカゴ現代美術館のポップアップショップでシューズを販売していた。(artnet news)

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文:ANDART編集部