CAD/CAM/CAEシステム市場,2019年
(写真=Gorodenkoff/Shutterstock.com)

2018年度のCAD/CAM/CAEシステム市場は3,785億円で前年度比8.8%増

~製造業の設備投資が増加し2018年度は市場好調、2019年度は若干減速の見込~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)では、国内のCAD/CAM/CAEシステム市場を調査し、分野別やアプリケーション別の販売実績、メーカー別シェア、今後の課題や展望を明らかにした。

国内CAD/CAM/CAE システム市場規模推移

国内CAD/CAM/CAE システム市場規模推移

1.市場概況

日本国内の CAD/CAM/CAE システム市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、2018 年度は前年度比 8.8%増となる3,785億円となり、好調であった。
企業収益が過去最高を記録するなかで、製造業の設備投資額は増加した。また、海外経済が回復したことにより、輸出や生産が好調に推移し、民需も堅調であった。このような経済環境を受け、EDA(Electronic Design Automation)市場も回復し、土木・建築系CADも好調であった。

2.注目トピック

予算概算要求にみる注目ポイントは土木・建築とMaaS

2019年8月、2020年度当初予算の概算要求が閣議決定された。概算要求については、CAD/CAM/CAEシステム市場に大きな影響を与える設備投資の動向に影響する。
まず、国土交通省であるが、公共事業関係費は2019年度と比べて19%増の6兆2,699億円を求めた。自然災害が相次いでいることを踏まえ、防災対策に重点を置いている。ここ数年、公共事業関係費が高いレベルにあり、土木・建築系CADが好調に推移している。
また、経済産業省ではSociety5.0実現の研究開発・社会実装を推進する予算の一部として、「高度な自動走行・MaaSの社会実装に向けた研究開発・実証事業費」を65億円計上しており、MaaS(Mobility as a Service)の普及促進が目指される。このような状況から、2020年度のCAD/CAM/CAEシステム市場は、土木・建築関連とMaaS関連が牽引することになると見込む。

3.将来展望

2019年度については、景気の先行きが不透明である。海外では、米国と中国の貿易摩擦および米国の利上げが世界経済に引き下げ要因として影響している。また、国内では2019年10月より消費税率が10%に上がったが、内需に与える影響は大きく、景気悪化要因になることが懸念される。
そのようなことから、CAD/CAM/CAE市場の成長は、若干、減速するものとみられる。2019年度のCAD/CAM/CAEシステム市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、4,026億円(前年度比6.4%増)となる見込みである。