失業率が低い都道府県はどこ? 3位は岐阜県と島根県、2位に佐賀県、1位は?
(画像=сергейтарануха/stock.adobe.com)

失業率に関して、世界の国々でどのくらい異なるか比較されることがよくあるが、日本国内の都道府県ごとの違いについて話題になることは少ない印象だ。総務省は毎年、都道府県ごとの完全失業率を算出している。そのデータを基にランキングを作成し分析してみる。

「都道府県別の完全失業率の低さ」ランキング

総務省が毎年実施している「労働力調査」では、都道府県別のデータとして「15歳以上人口」と、15歳以上人口に占める「労働力人口」「就業者」「完全失業者」「非労働力人口」をそれぞれまとめ、これらの数字から「完全失業率」を割り出している。

具体的には、完全失業率は労働力人口に占める完全失業者の割合のことだ。では早速、2021年の最新データを使い、「都道府県別の完全失業率の低さ」ランキングを紹介していこう。まずは上位からだ。ちなみに、全国平均は2.8%となっている。

失業率が低い都道府県はどこ? 3位は岐阜県と島根県、2位に佐賀県、1位は?

最も低いのは「福井県」で1.4%

最も失業率が低いのは、「福井県」で1.4%だった。以下、2位が「佐賀県」で1.5%、3位タイが「岐阜県」と「島根県」で1.7%、5位タイは「富山県」「石川県」「三重県」「山口県」の4県で、それぞれ1.9%となっている。

ちなみに、なぜ福井県の完全失業率がここまで低いのかについては、福井県は会社の数自体が多いこともあって有効求人倍率が高いことが理由だ。ほかにも、県内のみで事業を展開している企業が多く、転職の引き金となる転勤の心配があまりないことなどが挙げられる。

失業率が2.0%未満の国は世界で12ヵ国しかない

上記のランキングからは、失業率が1.0%台の都道府県は8つしかないことが分かる。この失業率を海外の国と比べてみると、どのような結果になるだろうか。

日本の労働力調査における完全失業率は「ILO」(国際労働機関)の基準で算出されており、ILO基準で完全失業率が2.0%未満の国は、2020年におけるデータで12ヵ国しかない。

失業率が低い都道府県はどこ? 3位は岐阜県と島根県、2位に佐賀県、1位は?

完全失業率が最も高いのは「沖縄県」で3.7%

では続いて、「都道府県別の完全失業率の低さ」ランキングで下位の国、すなわち完全失業率が高い都道府県をワースト順に紹介しよう。

失業率が低い都道府県はどこ? 3位は岐阜県と島根県、2位に佐賀県、1位は?

完全失業率が最も高いのは「沖縄県」で3.7%となっており、「大阪府」が3.5%で46位、「埼玉県」が3.1%で45位となっている。完全失業率が3.0%以上なのは、これら3府県を含めて9都道府県となっている。

沖縄県で完全失業率が高い理由としては、そもそも求人数が不足していることなどが挙げられる。沖縄県では雇用を多く創出する製造業の企業なども少なく、慢性的な仕事不足が続いている。「若年者の就業意識の低さ」を指摘する専門家もいる。

なお、先ほど紹介した海外のデータにおいて、沖縄県と近い完全失業率の国としては、トンガ(3.63%)、ブータン(3.65%)、ドイツ(3.81%)、モルドバ(3.82%)、オランダ(3.82%)などが挙げられる。

完全失業率から見えてくる地域経済の実情

あなたが住んでいる都道府県の完全失業率は何%だっただろうか。日本の首都である東京都の完全失業率は3.0%で、2021年の日本の平均値である2.8%より若干高くなっている。

失業率は経済の状況を示す指標のひとつだ。国単位の数値はもちろんだが、都道府県別の数字を分析すると、地域経済が都道府県ごとにかなり異なる様子が見えてくる。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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