コールセンター,AI,2019年
(写真=Alliance Images/Shutterstock.com)

コールセンターにおけるAIの活用は進んでいるものの、音声まで含めたオペレーター業務の全てをAIが代替できるようになるのは当面先になる見込み

株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越 孝)は、国内のコールセンターサービス提供事業者におけるAIの活用状況について調査を実施し、オペレーター業務の支援・代替状況について明らかにした。

1.調査結果概要

国内コールセンターではオペレーターの人材不足が深刻化しており、オペレーション品質の平準化と業務の効率化を支援するAIの活用状況が注目されている。
コールセンターサービス提供事業者、コールセンターサービスのユーザー企業、BPO事業者、コールセンター向けソリューション提供事業者を対象とした調査をしたところ、コールセンターにおけるAIの活用は進んでいるものの、音声まで含めたオペレーター業務の全てをAIが代替できるようになるのは当面先になる見込みである。

2.注目トピック

~AIを活用したオペレーター支援の取り組みは進展、オペレーター業務代替の実現は当面先になると予測

コールセンターにおけるAIの役割は、大きく「オペレーター業務の支援」、「オペレーター業務の代替」の二つに分類できる。
まず、「オペレーター業務の支援」については、オペレーター人材の不足が深刻化する環境下において、多くのコールセンターサービス提供事業者がオペレーションの効率化や品質向上を目的にAIを活用したオペレーター支援に取り組むようになってきており、AIの利用が進んでいる。一方、「オペレーター業務の代替」についても、顧客対応時間の延長を目的に、多くのコールセンターサービス提供事業者がAIチャットボットによるテキストベースでの顧客対応に取り組むようになってきており、AIの利用が進んでいる。但し、音声ベースでの顧客対応については、現状の音声の認識率がまだ低いため、AIの利用は進んでいない。

書籍やメディアでは、「将来的にAIに取って代わられる職業」として「コールセンターのオペレーター」が挙げられることが多いが、現状では、オペレーター業務の中でAIが代替しているのは、テキストベースでの対応又は定型の一次回答のレベルに留まっており、音声まで含めたオペレーター業務の全てをAIが代替できるようになるのは、当面先になると予測する。